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第12話
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お互いの両親は大声を上げて怒り興奮していた。アンドレ殿下も妊娠は初めて聞かされたようで驚きを隠せない表情をしている。
結局のところ話し合いでエレナ令嬢は子供を産むことになり、二人は自然な流れで結婚すると思っていた。
そうなるとヴィオラ令嬢は無意識のうちにアンドレ殿下と別れられて、今でも好きな元恋人のレオナルド令息と晴れて結婚できると。
その期待は幻のように裏切られる――
どういうわけかアンドレ殿下はヴィオラ令嬢との婚約破棄には決して応じないと言い出し、両親の説得にも話を聞こうとしない。
「エレナが子供を産むことには反対もしないし勝手にしたらいい。お父様とお母様のお好きなように養子にするのもいいでしょう。でも僕はヴィオラと結婚するからな!」
ヴィオラ令嬢は、この男は頭がいかれてるのではないか?何を血迷ったことを言っているのだと呆れ果てる。
「私はアンドレ殿下と結婚するつもりはございません!」
「ヴィオラどうしてだ?」
「どうしてって? 言われなければご理解いただけないのですか?」
「はっきり言ってくれ!」
「それなら遠慮なく申し上げます!殿下のことが心の底から大嫌いだからですよ!」
「そ、そんな……」
アンドレ殿下の脳裏に絶望の色が浮かび体から力が抜けへたりこんだ。
「私一人が犠牲になってこの国の平和が保たれるならと思っていました…」
「ヴィオラ……好きなんだ……」
消え入りそうな声でアンドレ殿下がつぶやく。
「好きな恋人と別れてこんな醜い豚と婚約して…とても辛く悲しかった……」
「ヴィオラ僕は本気で愛してるんだ……」
「婚約も渋々了承したんです! それなのに妹と関係を持ち妊娠までさせて…そんな下品な男とは無理です!」
ヴィオラ令嬢は涙を浮かべながら語る。
結局のところ話し合いでエレナ令嬢は子供を産むことになり、二人は自然な流れで結婚すると思っていた。
そうなるとヴィオラ令嬢は無意識のうちにアンドレ殿下と別れられて、今でも好きな元恋人のレオナルド令息と晴れて結婚できると。
その期待は幻のように裏切られる――
どういうわけかアンドレ殿下はヴィオラ令嬢との婚約破棄には決して応じないと言い出し、両親の説得にも話を聞こうとしない。
「エレナが子供を産むことには反対もしないし勝手にしたらいい。お父様とお母様のお好きなように養子にするのもいいでしょう。でも僕はヴィオラと結婚するからな!」
ヴィオラ令嬢は、この男は頭がいかれてるのではないか?何を血迷ったことを言っているのだと呆れ果てる。
「私はアンドレ殿下と結婚するつもりはございません!」
「ヴィオラどうしてだ?」
「どうしてって? 言われなければご理解いただけないのですか?」
「はっきり言ってくれ!」
「それなら遠慮なく申し上げます!殿下のことが心の底から大嫌いだからですよ!」
「そ、そんな……」
アンドレ殿下の脳裏に絶望の色が浮かび体から力が抜けへたりこんだ。
「私一人が犠牲になってこの国の平和が保たれるならと思っていました…」
「ヴィオラ……好きなんだ……」
消え入りそうな声でアンドレ殿下がつぶやく。
「好きな恋人と別れてこんな醜い豚と婚約して…とても辛く悲しかった……」
「ヴィオラ僕は本気で愛してるんだ……」
「婚約も渋々了承したんです! それなのに妹と関係を持ち妊娠までさせて…そんな下品な男とは無理です!」
ヴィオラ令嬢は涙を浮かべながら語る。
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