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第11話 弟の嘘と体臭に限界!姉は本質を指摘する

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「じゃあ何で彼女を大切にしないの?」
「大事にしてるよ」

数日前にアリスはフローラと話をして、ハリーが悪い事を示す証拠とされている会話の音声を聞いている。アリスはハリーに正直に話してもらいたくて、フローラに全部聞いたことはまだ言ってなくて質問を続けていた。

きっかけは旅行かもしれないけど、ハリーの冷たい態度とか色々あって積み重なった。その結果フローラはこんな男はいらないと婚約破棄を決めた。

そのがハリーはちゃんと分かっているのか?

「どんな風に大事にしてるの?」
「どんなって?いつも大事にしてるけど?とにかくフローラのことは丁寧に扱ってるよ」

本当に自分に具合の悪いことは言わないハリーに、アリスは眉間にしわを寄せてフローラを大切にしているのか細かく尋ねた。

この時アリスは旅行に行くのを止めて!と言って説得していたフローラに、切れ気味に対応していたハリーの言葉を思い出していた。

何が丁寧に扱っているんだ?ただの浮気旅行だったんじゃないの?アリスは心にひっかかったまま話を聞いていた。

「アリス姉さんなんでそんなこと聞くの?恋人を大事にするなんて当たり前の事じゃないか」
「それはあなたが大切にしてないからでしょ?」

現に大切にしてないから聞いているんでしょーが!いつまで寝言みたいなことを言っているの?とアリスはハリーを怒りたくなる。旅行に行かないって言ってくれるとフローラは信じたかったんだよ。でも本当に行っちゃったから幻滅した。

旅行から帰って来ても何も反省がないんだから愛想尽きてたんだよ?フローラに婚約破棄を決断させるまで追い詰めてしまったんだよ?ハリーはまだつもりか?

「僕がフローラを大事にしてないって言いたいの?いくら姉さんでも怒るよ?」

ハリーは姉がとても好きで切ない思いに駆られていますが、いくらなんでもフローラを大事にしてないと言われれば舌打ちしたい気分になって、わずかに怒った感じの口調で言っている。

アリスはを指す言葉を放つ事に決めた。ハリーがいつまでも声と顔を取りつくろう態度に、心を入れ替える気持ちはないなとアリスは確信した。

「それなら聞くけど……どうしてついてるの?」
「え?」

ハリーは明らかに演技をしている。魔道具で聞いたフローラと話していた暴力的な感じが一切見られない。言葉に真実とは異なる匂いがするし、弟のワキガという体臭も少し臭くて匂いが鼻先に漂ってくる。

異性に恋の感情を抱くような姉に会うのだから臭いと思われたくない。ハリーは自分の体臭に問題がある事を結構前から自覚しているので、洗浄力の強いボディソープを使って特に念入りに身体を洗って来た。

ついでに姉が香りがいいね!と言って喜んでくれた香水をつけてきた。ハリーは自分の身体に浴びるほどつけておいたのに自分の体臭には全く通用しなかったようだ。
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