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第9話 彼女の悩み告白に姉は心が痛み悲しむ

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最初に姉夫婦に相談に来た時から弟は自分が不利になる情報は言わなかった。彼女側の主張を聞きに来て正解だった。弟に限った事ではないけど、片方の意見だけ聞いて判断してはいけないと姉はしみじみと感じた。

弟のようなはサイコパスと言われるらしい。自分が悪くないと本気で思って姉夫婦に相談に来たのか?本人から聞いてみないと分からないが、彼女から事情を説明されてあの時の弟は何だったのか?と意味不明な気分になる。

若い男女数人で旅行して何もない訳がないのに、今回の場合は男性は弟が一人で後は女性5人。元恋人も二人いるみたいだし部屋で弟は腰を振りながら歓喜の声を放ち続けたのだろう。

「ハリーとの婚約解消を決断したことは後悔してません」
「私もだと思う」

ハリーの普段の行動から今さら言っても意味がないと、フローラは婚約解消の理由を話してくれてアリスは納得した。

フローラはハリーから自発的に旅行に行かないと言ってほしかった。でもフローラが一生懸命に頼み込んでハリーが旅行をキャンセルしても、魔道具で聞いたハリーの暴力的な態度ならいずれ別れる運命なのよきっと。

旅行中に例えハリーがフローラを裏切るようなことをしてなかったとしても、疑わしき事をするのは相手を悲しませているという思いやりがない人なので結婚は無理だったよ。アリスはぼんやり思いながらティーカップを手に取っていた。

「……実はハリーは夜の生活が下手なんです」
「え!?そ、そうなの?」
「はい」
「どんなところが?」

フローラは顔を赤くして恥ずかしそうにもじもじしながら言う。アリスは少々驚いた様子を見せるが聞き返して、フローラがはいと短く返事してアリスは冷静な口調で尋ねた。

要するにハリーは自分が絶頂に達して満足すればフローラの事は放置して勝手に終わるらしい。フローラは毎回どこか物足りない感じがしてしまっている。それに終わった後の冷たい態度も悲しいと不満を漏らした。

「ハリーはいつも聞いてくるんです」
「してる最中に?どういう事を?」
「感じるでしょ?みたいな感じで……」

ハリーはプライドが高く自分にテクニックがあると思い込んでいるようなことを言うみたいだ。フローラは心に思っていることを告白すると、痛いだけで全く気持ち良くないと答える。

ハリーは自信たっぷりに口を開いて凄かったでしょ?と言いますが、フローラはいつも気持ち良さそうな演技するのも疲れると話してくれた。

毎回お決まりのように演技をしているので彼にとって私ってなんだろう……?と寂しい気分になっている。ハリーの思いやりがない行動はベッドの上でも変わらないようだ。

「あと言いにくいんですけどちょっとんです……」
「ん?」

おまけにハリーは腋臭わきががひどく生ごみのような体臭が鼻をつき苦しいし、終わった後は部屋中が異様に臭くなって困るという。フローラは申し訳ないがあまり抱かれたくないと泣きそうな顔していた。

アリスは家族なので昔から薄々感じていた。その事は弟も理解しているらしく、一日に何度もシャワーを浴びて清潔にして気を付けていたと思う。

だがしかし自分の体臭にはなかなか気づかないので、まさかハリーも自分が激臭を放って恋人を苦しめているとは夢にも思ってないだろう?
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