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第3話 男は弟一人だけで複数の女性と旅行

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「旅行のお土産みやげを忘れたの?」
「そんな大事なことを忘れるわけないだろう。フローラには特にたくさん買ったよ。とても喜んでくれた」

一応確認するために姉は聞いた。まさか彼女へのプレゼントを忘れたんじゃないの?弟はすぐに少しムキになって否定した。行きたくても予定が合わなくて旅行に行けなかった愛情ある婚約者なんだからお土産を忘れるはずがない。

例え旅行のお土産を買い忘れていたとして、ひどいと怒られるかもしれないけど婚約を取りさげるまではないだろうし……弟は彼女の事を喜ばせたかったのでお土産は大量に買ったみたい。

「ハリーそれは良かったね」

その結果フローラもこんなにもらっていいの?と驚いた顔をしながらも笑顔を見せる。弟も嬉しそうにはしゃぐ彼女の顔に心が動かされて微笑んだ。その話を聞いた姉も思わず笑みがこぼれる。マイケルも彼女に贈り物を喜んでもらえて良かったねと笑顔で頷いている。

「旅行は誰と行ったの?」

何も問題ないような気がするが、なにかがあるに違いないと姉は質問を続ける。

「普通の友達だよ」
「当たり前だけど男の友達だよね?」

旅行は友達と行ったと弟は平然とした感じで答える。聞くまでもない事と思いながらアリスは聞いた。

「いや、だよ」
「え?」

何も問題ないよね?弟はそんな顔でたいしたことない雰囲気で女性と旅行に行ったと返してくる。次の瞬間、姉夫婦は声を上げる。二人は本当に驚いたという声を出して少しの間ぽかんとした表情を浮かべていた。

「アリス姉さんどうしたの?」

固まっている姉とマイケルを見てハリーは頭の中には疑問が往復した。なんで二人とも驚いたリアクションをするの?自分は何かおかしな事を言ったのかと思い弟は不思議な顔で姉に聞く。

「それは良くないと思う」
「ハリーそれは駄目だよ」

アリスとマイケルは今は恐ろしいくらいの厳しい表情になっている。婚約しているのに別の女性と旅行に行くなんてあり得ない。しかも旅行は二泊三日でその間は一緒に過ごすことになる。普通は嫌がるよね?そう考えればフローラが怒るのも当然じゃないか。

逆の立場ならハリーはどう思うのだろうか?姉は弟に問い詰めたい気持ちになるが、今は口に出さず様子を見ることにした。他の異性と遊びたいなら婚約しなければいいのに……結婚が向いてないよと言いたくなる。だがさらに弟は信じられない言葉を口にした。

「何人で行ったの?」
「僕を入れて6人で行ったかな」
「男女の比率は?」

姉はふと気になる。そもそも旅行には何人で行ったのか?弟を入れて6人で行ったらしい。二人きりで行ったわけではないと分かりアリスとマイケルは少し安心する。それなら男女三人ずつかな?

「全員女友達だよ。男は僕ひとりだけで後はみんな女の子」
「なぁっ」

だがしかし弟から返ってきた言葉に綺麗なアリスお姉さんは思わず間抜けな声を出した。
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