溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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再会。

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雪華「お待たせしましたー!はい、どうぞ・・・・・・」





俺たちのテーブルにランチを持って来たのは・・・雪華だった。



雄大「・・・・雪華。」

雪華「・・・雄大さん!?・・・え!?」



雪華の驚きっぷりに署員たちが俺と雪華を交互に見る。



署員「・・・お知り合いですか?」

雄大「あとで話す。・・・雪華、話がある。」



雪華はランチを置いたあと、おろおろし始めた。

急な俺との再会に・・・戸惑ってるんだろう。




雪華「え・・あの・・・その・・・・」



その時、他の客が雪華を呼んだ。



お客「せっちゃーん!コーヒーおかわりーっ!」

雪華「あ、はーい!今行きまーす・・・・」



テーブルを離れようとした雪華の手をがしっと掴んだ。



雄大「今日、仕事が終わったら来るからここで待ってて。」

雪華「・・・・・・はい。」



俺は雪華の手を解放した。

雪華はキッチンに戻って行き・・・俺と署員たちは顔を見合わせた。




署員「・・・知り合いだったんですね。」

雄大「知り合いっていうか・・・俺の彼女。」

署員「えぇ!?でもこの喫茶店のこと・・知りませんでしたよね?」

雄大「・・・帰りの車の中で説明するから・・・食べようか。」


署員「・・・いただきます。」

雄大「いただきます・・・。」




俺は久しぶりに・・・ほんとに久しぶりに雪華のご飯を口に入れた。



雄大「---っ!・・・やっぱ美味いな。」



1年以上・・・食べてなかったけど・・・雪華のご飯は相変わらず美味かった。






ーーーーーー






会計を済ませ、署に戻る道中で雪華のことを署員たちに話した。





署員「・・・え!?せっちゃん、行方不明だったんですか!?」

雄大「病院から・・・忽然と姿を消して1年。ずっと探してた。」

署員「そういえば・・・せっちゃんって海外から来たって言ってなかったっけ?」

署員「・・・あ、そうだそうだ!で、帰国してから友達と喫茶店始めたって聞いたことがある。」


雄大「海外・・・・あ、ユキくんと一緒にいたのか。」




頭の中でパズルがくっつきそうだ。

でも・・・本人の口から聞きたかった。




雄大「俺、今日は定時で上がるから。」

署員「リョーカイっ!」







ーーーーー






仕事を定時で終わらせ、俺は雪華の喫茶店に向かって車を走らせた。

頭の中は・・・雪華のことでいっぱいだ。




雄大(雪華に・・・・会えた・・・。)




もう会えないことを覚悟してから数か月。

もう一度会えたことに心が躍る。




雄大(いろいろ聞きたいことがある。)



なぜ俺の前から姿を消したのか。

なぜ一言相談をしてくれなかったのか。

なぜ・・・連絡をしてくれなかったのか。



でも・・・・最初に聞きたいことは決まっていた。




そんなことを考えてるうちに俺は喫茶店についた。

駐車場には車が1台だけ止まってる。




俺は車から下りて喫茶店のドアを開けた。



カランカラン・・・




雪華「いらっしゃいませ、雄大さん。」

雄大「雪華・・・・お客さんは?」




店内を見回すと誰もいなかった。

それどころか照明も落とされていて薄暗い。



雪華「もう閉店してる時間なの。お客さんは地元に人ばかりだから・・・みんな知ってる。」

雄大「そっか・・・。」

雪華「・・・コーヒー淹れるから・・・好きなとこ座って?」

雄大「うん。」




俺は昼に座った席を選び、そこに腰かけた。

ほどなくして雪華はコーヒーを持って来て、俺の向かいに座った。




雪華「はい、どうぞ。」

雄大「ありがとう。」

雪華「ふふ・・・驚いたなー・・まさか雄大さんが来るなんて・・・。あ、消防署のみんなは元気?圭くんとか・・・。」

雄大「リーダーは署長になったよ。圭は・・・半年前に異動した。」

雪華「そうなんだー・・・。」



雪華はコーヒーを一口飲んだ。

さっきから雪華は・・・俺と目を合わせないようにしてる。



雄大「俺も驚いたよ。・・・聞きたいことがあるんだけど・・・いい?」




雪華は手に持っていたコーヒーカップをソーサーの上に置いた。

そのまま外を見るように顔を背けて返事をした。



雪華「・・・うん、いいよ?なに?」

雄大「体の調子は・・・大丈夫か?」

雪華「・・・・・え?」

雄大「もう1年以上前だけど・・・熱・・・大丈夫?」





ずっと気になっていた雪華の身体。

退院したってことはもう大丈夫なことくらいわかっていたけど・・・どうしても本人に確認したかった。




雪華「待って・・・私、何も言わずに姿を消したんだよ?」

雄大「うん。それはこの後で聞くよ。・・・体は?」

雪華「・・・・元気だよ。」

雄大「よかった・・・。」





俺は雪華が淹れてくれたコーヒーを口に含んだ。

ごくっと飲み込めば・・・雪華がよく淹れてくれたコーヒーの味がした。




雪華「ごめん・・・ちゃんとお別れするべきだったのに・・・・」

雄大「俺は別れたつもりないけど?」




俺の言葉に・・・雪華は自分自身の身体を抱きしめた。




雪華「・・・雄大さん、言ったよね。『俺を最初で最後の男にして』って・・・。」

雄大「うん。」

雪華「襲われて・・・ごめんなさい・・・。」





雪華は今にも泣き出しそうなくらい・・・目に涙を溜めていた。




雄大「ユキくんに聞かなかった?雪華・・・襲われてないんだよ?」

雪華「聞いた。でも・・・雄大さんに愛してもらう資格なんて・・・ないよ・・・。」




無理矢理キスをされて熱を出した雪華。

襲われてないとわかっていても・・・襲われかけたという事実が・・・彼女を苦しめてるようだった。




雄大「俺は雪華と一緒にいたい。」

雪華「・・・・。」

雄大「・・・・もう無理?」

雪華「・・・・・。」





何を聞いても無言になってしまった雪華。

嫌な言い方で・・・雪華の本音を聞き出す。




雄大「なら俺が他の女を抱いてもいいんだよな?」









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