溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

文字の大きさ
上 下
24 / 41

知らないことはない。

しおりを挟む
圭「ごちそうさまでした。」



モーニングセットを食べ終わった俺は会計をするために席を立った。

レジに行くと雪華ちゃんが立っていて・・・俺は伝票を差し出す。




雪華「500円になります。」

圭「はい。」



財布から500円玉を取り出してトレイに置いた。

雪華ちゃんはその500500円玉を取り、レジの中に入れた。

代わりにレシートをくれた。



雪華「ありがとうございました。また来てくださいね。」

圭「うん、ごちそうさま。」

雪華「あ、雄大さんにはナイショにしててね?お昼には終わるし・・・。」

圭「わかってるよ。でも2~3日は無理はしないこと。いい?」

雪華「はいっ。」




素直に答える彼女に胸を高鳴らせながら、俺はカフェから出た。

雪華ちゃんと秘密の話ができて・・・なんだか優越感に浸る。




圭「・・・へへっ。」




家に帰ろうと足を一歩進めたとき、カフェの横に知った顔を見つけた。

あれは・・・雄大さんだ。



圭「・・・へ!?」

雄大「・・・お疲れ。」

圭「『お疲れ』って・・・何してるんですか・・・?」




近くの電柱にもたれながら缶コーヒーを飲んでいた雄大さん。

チラチラとカフェを見てる。




雄大「雪華、働いてたんだろ?」

圭「えっ・・・・。」

雄大「最近、人が少ないって言ってたし・・・きっと出勤するだろうと思って見に来た。まぁ、大丈夫だと思うけど。」




そう言って缶コーヒーを口につけた。



圭(雄大さんって・・・確か連勤だったはず・・・)




消防隊は忙しいのか、常に署にいる雄大さん。

いつ休んでるのかと思うくらい動いてるのを・・・俺は知っていた。

仮眠室にいるところなんて・・・見たこともない。




圭「ゆ・・雄大さん・・・睡眠は・・・?」

雄大「うん?・・・あぁ、10分くらい寝たから大丈夫。」

圭「じゅ・・・!?」



雄大さんが立ってる場所からは・・・カフェの中が見えない。

とういうことは、カフェの中からも雄大さんの姿は見えないことになる。

つまり・・・雪華ちゃんは雄大さんが来てることを知らないままだ。




圭「・・・伝えてきましょうか?雄大さんがいること・・・。」

雄大「言わなくていいよ。出てきたら声かけるし。それより・・・・」

圭「?」





雄大さんはもたれていた電柱から体を起こした。

持っていた缶コーヒーを指3本でつまむようにして持ち・・・俺を見据えた。





雄大「雪華は俺のものだから。誰にも渡さない。」

圭「!?」

雄大「誰にも・・・な。」




じっと見られ、俺は雄大さんと視線を合わせることができなかった。


圭「し・・・失礼します・・・。」


その言葉だけをなんとか言い、俺は足を進めた。

通り過ぎた雄大さんを、振り返って見たかったけど・・・そんな勇気がなかった。



圭(怖えぇぇ・・・・。)




目に焼き付いて離れない雄大さんの顔。

ただでさえ頭がキレる雄大さんに言われた言葉が頭の中を巡る。



圭(なんでバレた・・・?気になったのなんて昨日とか今日とかじゃん・・・!)


いろんな意味で胸がどきどきする中、俺は家に向かって真っすぐ・・・真っ直ぐ帰った。







ーーーーー





雪華side・・・





雪華「お疲れさまでしたー。お先でーす。」





昼、1時まで勤務の私は仕事が終わり、着替えを済ませて店の裏口から出た。


鞄からケータイを取り出してメールや着信の確認をする。

夜勤明けの雄大さんはもう自分の家で寝てる頃だ。




雪華「夜勤明けだから・・・夕方くらいまで寝てるよね。17時くらいにご飯誘おっかな。」



昨日、迷惑をかけたお詫びを兼ねて・・・夕食に誘おうと思っていた私は頭の中でメニューを考えた。

和食にしようか中華にしようか頭を悩ませ始めた時・・・目の前に雄大さんの姿を見つけた。




雪華「・・・え!?」

雄大「お疲れ。送ってくよ。」




そう言って私の鞄をひょいと取り上げた雄大さん。

空いてる手で・・・私の手を握った。




雪華「雄大さん!?なんでここに!?」

雄大「うん?・・・働いてると思ったから・・・かな?」

雪華「まさか・・・ずっといたの!?」




私のシフトは基本的に雄大さんに伝えてある。

もし・・・もし、何か災害が起きた時に私の居場所が推測できるようにって・・・シフトが出たら全部伝えてあった。

私自身、仕事と家の往復以外に出歩くことはあんまりないし、あっても買い物かミヤとご飯くらいなものだから。




雄大「今日13時上がりだろ?『休む』とか言ってんの聞いてなかったから出勤したと思った。・・・ほら、帰るよ。」




にこっと笑いながら私の手を引いて歩き始めた。



雪華「雄大さん、ちゃんと寝た?」




歩く足取りはいつも通り。

でもここ連日仕事だったのを聞いていた。

ちゃんと休めてるのか・・・心配になる。




雄大「仮眠取ったから大丈夫。」

雪華「・・・どれくらい?」

雄大「10分・・・は寝たと思うけど?」

雪華「じゅ・・・!?それは寝てないっていうんだよ!?」

雄大「平気平気。いつも2分とかだし。」

雪華「に・・・!?」




呆れてしまうくらい仮眠を取ってない雄大さん。

このまま睡眠不足を重ねてしまうと・・・いつか倒れそうで怖くなってくる。




雪華「・・・今日は帰るの?家に。」

雄大「うん。久しぶりに明日丸々休みになったから・・・まとめて寝るよ。だから大丈夫。」

雪華「明日休みなんだ・・・。」




きっと雄大さんは私のケガを気にしてカフェまで来たに違いない。

せっかくの休める時間を・・・私を待つために使っていた。

その事を申し訳なく思った。



雪華「・・・わかった。今日、うちに泊まって行って?」

雄大「それは・・・また大胆なお誘いだな。」

雪華「ちゃんと休めるように・・・ご飯作るから!」

雄大「・・・え、そっち?」





雄大さんは別のことを考えてたようだけど、私の頭の中はメニューでいっぱいだった。

今、冷蔵庫にあるものでお昼ご飯を作って雄大さんを休ませないといけない。



雪華「チャーハン・・・じゃお腹いっぱいにならない?でも他にできるのはパスタと・・・うーん・・・。」

雄大「お、パスタ食べたい。」

雪華「え?でも『チキンのトマトクリームパスタ』くらいしかできないよ?卵無いし・・・。」

雄大「全然大丈夫っ。」

雪華「うーん・・・わかった。」





雄大さんはなぜか足取りが機嫌よくなった。

別にさっきまで悪かったわけじゃないけど・・・なんだか足取りが軽そうだ。



雪華(まぁ・・・雄大さんが食べたいならいいか。)




私は雄大さんの手をきゅっと握り、一緒に歩いてアパートに戻った。






















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

救助隊との色恋はご自由に。

すずなり。
恋愛
22歳のほたるは幼稚園の先生。訳ありな雇用形態で仕事をしている。 ある日、買い物をしていたらエレベーターに閉じ込められてしまった。 助けに来たのはエレベーターの会社の人間ではなく・・・ 香川「消防署の香川です!大丈夫ですか!?」 ほたる(消防関係の人だ・・・!) 『消防署員』には苦い思い出がある。 できれば関わりたくなかったのに、どんどん仲良くなっていく私。 しまいには・・・ 「ほたるから手を引け・・!」 「あきらめない!」 「俺とヨリを戻してくれ・・!」 「・・・・好きだ。」 「俺のものになれよ。」 みんな私の病気のことを知ったら・・・どうなるんだろう。 『俺がいるから大丈夫』 そう言ってくれるのは誰? 私はもう・・・重荷になりたくない・・・! ※お話に出てくるものは全て、想像の世界です。現実のものとは何ら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ただただ暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しく思います。 すずなり。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

処理中です...