溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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指輪。

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雄大「わかった。こっちおいで。」




私は雄大さんに連れられ、消防署の中を進んだ。

右に左に通路を曲がって現れたドア。

雄大さんはそのドアを開けて・・・私を中に引き入れた。




雄大「そこ、座って?」

雪華「・・・はい。」





入った部屋には小さなテーブルが一つと、椅子が二つあった。

回りは棚で囲われていて、いろんな道具や機械が置かれてるのが見える。

雄大さんはそれらの道具の中から・・・少し大きめなレンチみたいなものを取り出してきた。




雄大「この指輪さ、彼氏からもらったの?」

雪華「え?そうですけど・・・」

雄大「切っていいの?」

雪華「はい。」



私の向かいに座った雄大さん。

レンチみたいな工具をことんっとテーブルに置いて、私の手にある指輪をそっと触った。



雄大「・・・別れた?」

雪華「・・・そうですけど?」

雄大「じゃあ、切ってあげるから別れた理由教えてくれる?」

雪華「なんで・・・・」

雄大「俺が知りたいから。」



私は自分の右手を見つめた。

雄大さんの質問に答える義務はない。

でも、このまま指輪が取れないと・・・困ったことになる。



雄大「昨日お酒を飲み過ぎたって言ってたのって別れたから?」

雪華「・・・はい。」

雄大「振った?振られた?」

雪華「いや、ほんとに言わないと切ってくれないんですか!?」





私は左手でテーブルをバンバンっと叩きながら聞いた。




雄大「うん、俺が知りたいから。」

雪華「~~~~。・・・振られたんです。」




にこにこ笑いながら聞いてくる雄大さんに負けた気がして・・・

私は観念して話始めた。




雄大「なんで?」

雪華「なんでって・・・わかんないですけどたぶん・・・キスより先に進めなかったからかなーって。」

雄大「え?」

雪華「1年ちょっと付き合ってたんですけど・・・その・・・キスより先がどうしても怖くて・・・愛想つかされたみたいです。」

雄大「へぇー・・・。」

雪華「もういいですか?こんな話、恥ずかしすぎる・・・。」




私は両手で自分の顔を隠した。

きっと顔が赤くなってるはずだから・・・。




雄大「あぁ、ごめん。手、出して?」

雪華「はい・・・。」





雄大さんはテーブルに置いた道具を手に取り、私の右手にある指輪にあてがった。

そのままグッと力が込められ・・・ぱきんっと音と立てて指輪が切られた。



雪華「・・・取れた!」

雄大「切ったからね。・・・はい、指輪。」



割られた指輪は雄大さんが私の手の上に置いてくれた。

その指輪を取って眺める。




雪華「・・・・私が我慢すればよかったんですよね。」

雄大「え?」

雪華「怖くても・・・先に進めれば彼と別れなくて済んだのかもしれない。」




指輪に詰まった思い出は、もう彼と共有することはできない。

割れた指輪みたいに・・・繋がることはもう無い。




雄大「無理して付き合うくらいなら別れて正解じゃない?」

雪華「・・・・。」

雄大「じゃあ俺と付き合うってのはどう?」

雪華「・・・へ!?」

雄大「別れたんでしょ?今、フリーってことだよね?」

雪華「ま・・まぁ、そうですけど・・・・」

雄大「俺もフリーだし。どう?」





『どう?』って言われても・・・





雪華「いや、私、雄大さんのこと全く知りませんし・・!」

雄大「これから知ればいいんじゃない?」

雪華「昨日知り合ったばっかりだし・・・!」

雄大「どのカップルも初めて出会った日ってあると思うけど?」

雪華「~~~~っ。」




何を言っても正論で返してくる雄大さん。

私は反論することを諦めた。



雪華「・・・そもそもなんで私なんですか?雄大さんほどかっこいい人ならすぐに彼女とかできるんじゃないんですか?」

雄大「・・・・・。」




私は部屋から出ようと思い、ドアノブに手をかけた。

引くタイプのドアをぐいっと引いた時、雄大さんがドアに手をついた。




バンッ・・・。




雪華「ちょ・・!?」

雄大「俺と一緒にいるの・・・嫌?」

雪華「---っ!・・・嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて・・っ。」

雄大「・・・嫌?」

雪華「~~~~っ。・・・嫌じゃないですよ。今朝のお話も楽しかったし・・・。」







吸い込まれる話術・・・みたいな感じで楽しかったのは事実だ。





雄大「なら友達からだな。」

雪華「友達・・・。」

雄大「『飲み友』からでどう?」

雪華「!!・・・はい!」



お酒が好きな私はつい『はい』と返事をしてしまった。

すぐに『しまった!』!と思ったけれども、にこっと笑う雄大さんには抵抗できないような気がしていた。




雄大「じゃ、さっそく今日飲みに行こうか。」



雄大さんはにこにこ笑いながらドアを開けてくれた。

私は雄大さんの言葉に驚いて、開けてもらったドアをまた閉める。



バンっ・・・!



雪華「・・・今日!?」

雄大「俺、もうすぐ上がりなんだよ。どう?この近所に美味い居酒屋あるけど?」

雪華「うっ・・・。」




この近所に居酒屋があることを知らなかった私は、雄大さんの話に乗るかどうか悩んでいた。

場所を知りさえすれば一人で行くこともできるようになる。

それに・・・




雄大「ん?」

雪華「---っ!」




にこっと笑う雄大さんのイケメン力がすごすぎて断れそうになかった。




雪華「い・・きます・・・!」

雄大「ははっ。じゃあ署の入り口のとこにあるベンチで待ってて?すぐ行く。」

雪華「はい・・・。」




私が閉めたドアを、雄大さんがまた開ける。

そのドアを支えてくれ、部屋の外に出た。

私は入り口に向かい、雄大さんは帰り支度をするためか奥に消えていった。




雪華「・・・やばいくらいイケメンでしょ・・。」



くっきり二重にシャープな顔立ち。

キレイな鼻筋はうらやましいくらいだ。


春樹と違って優しい言葉遣い。

少し茶色がかった髪が・・・猫っ毛のようで柔らかそうだ。




雪華「あんなイケメンが・・・なんで私?」



頭を悩ませながらベンチに腰かけていると、結構な時間が過ぎるもので・・・

気がつけば雄大さんが私服姿で歩いてくるのが目に入った。



雄大「雪華、お待たせ。」

雪華「あ・・・。」

雄大「?・・考えごと?行こうか。」

雪華「はい・・・。」




私は雄大さんと一緒に消防署を出た。

そのまま左に曲がると私が住んでるアパートに向かうことになるけど・・・雄大さんは道路を渡って真っ直ぐ歩き始めた。



雄大「この先の住宅街って行ったことある?」

雪華「あー・・越してきたばかりの時にちょっと探検したことはあります。」

雄大「雪華が引っ越してきたのって何年前?」

雪華「3年前ですね。大学出てすぐに・・・。」




大学在学中に両親が事故で他界し、卒業と同時に実家を売って引っ越してきた私。

安いアパートも見つけれて、仕事先もすぐに見つかって・・・順風満帆だった。




雄大「3年前じゃまだあの居酒屋はできてないな。去年の今くらいにオープンしたところだから。」

雪華「そうなんですか!楽しみです。」




新しい居酒屋さんがどんなところか、想像を膨らませながら歩いてると、雄大さんが歩きながら私の顔を覗き込んできた。



雪華「?」

雄大「俺さ・・・雪華のこと、どっかで見た気がするんだけど・・・・。」










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