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アイビーとジニア。

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俺は胸にしまった嫌な予感を引き出した。

それを持ってジニアの家に向かう。


(まさかまたジニアが・・・!?)


前科があるジニアは疑いやすい。

アイビーにケガを負わせてからは危険なことはしないだろうと考えていた。

でも今、アイビーの姿はない。

町にもいないことから・・・ジニアしか疑えるものがいなかった。

アイビーがいることを祈りながら走り、俺はジニアの家に着いた。


「おい!ジニア!!」


ジニアの家の戸を豪快に開けた。

あまりの力の込めように戸が壊れるかと思ったくらいだ。


「・・・シャガさん?どうしたんですか?」


ジニアはカップを持ちながら部屋の中で立っていた。

部屋の中を見まわしながら入り、ジニアの胸ぐらを掴み上げる。


「アイビーはどこだ!?」


掴み上げた衝撃でジニアは持っていたカップを落とした。

足元にカップが転がり、入っていたであろう飲み物が足元にかかる。

服が濡れるけどそんなことどうでもよかった。


「ちょ・・!シャガさん!なんのことですか!?」

「アイビーだよ!!どこだ!!どこにいる!!」


ジニアは困ったような、驚いた表情でシャガを見た。

その表情を見たシャガは掴み上げていたジニアの胸ぐらから手を離した。


「ごほっ・・!・アイビーなら来てませんよ。」


乱れた服をなおすようにしながらジニアは言った。

辺りを見回してもアイビーの姿はない。

ジニアの家はシャガの家とほぼ同じ造りになってるから小部屋などはない。

アイビーが隠れれるところも、隠せれるところもどこにもなかった。


「・・・本当に知らないのか?」


疑えるのはここだけだ。


「知らないですよ。・・・もしかしていないんですか!?」


慌てたように聞いてくるジニアの表情は本気で心配してる顔だった。


「あぁ。町にもいなくて・・・・」


そう言うとジニアは考えるようにしてから提案をしてきた。


「・・・もう夜になるのでセダムたち自警団に依頼しましょう。俺も探します!」

「・・・あぁ、頼む。」


ジニアはセダムたち自警団に連絡をしにいき、俺は町の中を端から端まで走り回って探した。


「アイビー・・っ!!どこだーっ・・!!」


もしかしたら町の中にある店の奥にいてて俺の声が聞こえないのかもしれない。

だから片っ端から店に入って隈なく探すのに、アイビーの姿はどこにもなかった。


(出て行った・・・?いやそんなはずはない。)


前の世界と違うことはあっても、アイビーはここで18年以上も暮らしてる。

山から落ちるようなこともあったけど・・・今は何事もなかったように暮らしてる。


(・・・前世のことを忘れたような真似はしてるけど・・・まさかそれが関係してるのか?)


頭をぶつけてるから記憶がごちゃごちゃになってしまうのは仕方ない。

でもなぜか記憶を失ったアイビーの仕草に違和感を覚えた俺はニゲラに相談した。

すると・・・『嘘をついてるかもしれない』ことが判明したのだ。


(一体何のために・・・いや、それよりもアイビーを探し出すほうが先だ。)


俺は心あたりのある所をもう一度と、心当たりのないところを探して回った。




ーーーーー




一方その頃、アイビーの捜索依頼をかけにジニアがセダムたち自警団のところに向かって歩いていた。

表情は硬く、心配してるようにみせかけているけれども・・・腹の中は全く違うことを考えている。


(思ってた通り・・・シャガさんはアイビーを探し始めた。これからどうするかだな・・・。)


ジニアはアイビーを眠らせたあと、山奥に用意しておいた小屋に連れて行っていた。

アイビーの両手を縄で縛り、杭にくくりつけてある。

その杭はアイビーの背よりもはるかに高く、小屋の天井近くまであるから縄を抜くことはできない。


(目が覚めたら叫ぶだろうけど・・・まぁ、あそこじゃ外に聞こえない。)


アイビーを閉じ込めてるのは川の近く。

鬱蒼と茂った木々に紛れるようにして小屋はある。

木に同化するようにして造ってあるから目をよく凝らさないと小屋だとは認識できない上に、叫んでも川の音で声がかき消される。

監禁するにはもってこいの場所だった。


(狩りに出た時によく使ってた場所がこんな形で役に立つなんてな・・・。)


アイビーを独り占めしたいがために思い付いた策。

それはアイビーを『外に出さなければいい』という自分勝手な案だった。

ニゲラやセダム、ライムの目にとまらなければ、アイビーはジニアしかみることはない。

アイビーが水色以外の耳飾りをつけることもないと考えたのだ。


(セダムたちに依頼をかけて・・・まぁ、見つからないだろうから夜に小屋に戻るか。アイビーの目も覚めてるだろう。)


アイビーの目が覚めたらすることは山ほどある。

小屋から出ないように躾けて・・・自分だけを見るように教え込む。


(あのきれいな髪も・・・ちいさな唇も・・・潤んだ瞳も・・・全部俺のだ。)


笑みをこぼさないように堪えながら、ジニアは自警団のもとへ向かった。



ーーーーー








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