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ジニアの後悔。

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家の中に入ったのは、セダム、ライム、ジニア・・・それにニゲラだ。

4人はほぼ同時にアイビーの姿が目に入った。

部屋の隅で眠ってるアイビーは身体の至る所に包帯を巻いてる。

その痛々しい姿に・・・4人は顔を歪めた。


「近くにいくなよ?気づくときっと暴れる。」


アイビーから少し距離を置いたところで5人は集まった。

シャガがニゲラに話したことを・・・ジニアたちにも伝えていく。


「アイビーだけど・・・あいつは前世の記憶持ちなんだ。」


その言葉にニゲラ以外の3人が『意味がわからない』というような表情を見せた。

最初に誰が何を聞くのか皆が様子を見ていた中で、ジニアが口火を切った。


「前世って・・・生まれる前のことですか?」

「そうだ。アイビーはこことは違う前の世界で・・・21歳で死んだらしい。」


シャガはニゲラに話した内容をそのまま話した。

前の男のことは伏せたままで。


「じゃあ・・・アイビーは学校に通い始めた時も中身は大人だった・・・?」


セダムが昔のことを思い出しながらシャガに問いた。

思い返せば5歳だったアイビーが10歳のセダムたちと同じ問題を解いてたことに気がついた。

喋り方も普通の5歳児とは違うことに・・なぜか当時は気づけなかったのだ。


「アイビーは俺が拾った時から21歳のままだ。言葉も何もかも・・・赤ん坊のころからわかってた。」

「・・・それでデートの時にわざわざ気を使ってくれたりしてたんですね・・。」


ライムはジニアとデート内容がかぶってしまったことをずっと気にしていた。

でもアイビーはライムが落ち込まないように気を利かせて『もう一度船に乗ってみたかった』と言った。

そのおかげでライムは自己嫌悪にならなくて済んだのだ。


「アイビーの前の世界は・・・結婚は一人の女に一人の男だけだったらしいんだ。アイビーはそのことをずっと気にしてる。」


シャガの言葉に、3人はぽかんとした顔を見せた。

この世界は女の人は何人の男と結婚しても構わない。

耳飾りさえ守れば・・・10人だろうが20人だろうが構わないのだ。

それが『普通』なことだ。


「一人って・・・俺たちのうちの誰かしかアイビーと結婚できないってことですか!?」


ジニアが声を荒げながらシャガに言った。


「そうじゃない。でもアイビーは何人とも結婚することに抵抗を持ってる。それだけ覚えといてくれ。あと・・・アイビーは耳が聞こえてない。目もそんなに見えてなくて・・・しばらく外には出せれない。」


その言葉を聞いて・・・ジニアの顔が青くなっていった。

アイビーに無理を言ったのはジニア。

足を滑らせて落ちた時に助けれなかったのもジニア。

探し足りずにアイビーが川に落ちる羽目になったのもジニアだ。


「お・・俺、アイビーに謝りたい・・んですけど・・・。」


今更ながら自分のしたことの重大さを理解してきたジニア。

ニゲラとアイビーに勝手に嫉妬をし、あまつさえ『自力で帰った』と自分の物差しで物事を計った。

アイビーが好きすぎるあまり、『アイビーのことが一番』というこの世界での当たり前ができなかったのだ。

その事を・・・アイビーのケガの状況を見て身に染みて理解したジニアはただただアイビーに謝りたかった。


「今はダメだ。耳と目が回復したら・・・アイビーに聞く。」

「・・・わかりました。失礼します。」


ジニアは顔を地面に向けながら家から出て行った。

そのジニアを追うようにしてセダムとライムも帰っていく。


「また来ます!失礼します!」

「僕も薬持ってきます・・・!失礼します・・!」


バタバタと走りながら家を出たセダムとライムはジニアを追いかけた。

前を歩くジニアの肩をがしっと掴み、その足を止めさせる。


「ジニア!」

「・・・なに?帰りたいんだけど。」

「お前、どう責任取るつもりだ!?アイビーにあんなケガ負わせて・・・!」

「そんなの決まってるだろ?アイビーが俺を許してくれるなら一生愛する。許してもらえなくても、俺はアイビー以外を愛さない。」


アイビーが学校に行くきっかけを作ったのはジニアだ。

ダリアが死んで、落ち込んでいたアイビーの遊び相手に抜擢された。


(最初は憧れのシャガさんからの頼みだったから喜んで引き受けたけど・・・いつの間にかアイビーのことが好きになってた。・・・まだ5歳だったのに。)


5歳らしからぬ喋り方に違和感は覚えなかった。

話を聞くのも話すのも上手だったアイビー。

時々子供っぽいとこもあって、目を奪われることもよくあった。

将来・・ずっと一緒にいれたらどれほど幸せだろうと何度も考えたものだ。


(あの時・・・俺のほうが相手をされていたなんて考えもしなかったけど・・・。)


中身が21歳のアイビーは、当時12歳のジニアの相手なんて楽なものだった。

年の割に大人びたジニアは、アイビーの相手をしてたつもりだったけど、よくよく思い返せば相手を『してもらっていた』ことに気がついたのだ。


(年上だったから惹かれたのか・・・?)


例えアイビーが年上だとしても、自分がアイビーを守りたいことに変わりはない。

変な嫉妬で道を少し間違えてしまったけど・・・それも戻ればいいことだ。


「セダムたちは?アイビーが前世の記憶持ちって聞いて諦めることにした?」


ジニアの言葉に、セダムとライムは怒り気味に反論をした。


「・・・はぁ!?お前なんかにアイビーを任せること何てできないから諦めるなんて選択肢はねーよ!!」

「ぼ・・僕も諦めないよ!!」

「・・・ふーん。」


男同士がにらみ合う一方で、シャガの家ではニゲラがアイビーの側に座っていた。

痛々しい姿を見ながらそっと頭を撫でてる。


「ごめんな・・ジニアがアイビーの事聞いてきたときに気づけれてればこんなことにならなかったのに・・。」







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