異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。

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セダムとのデート。

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私が熱を出してから4日が過ぎた。

日に日に熱は下がり、4日目の今日はもう自分でお粥を作れるまでに元気になっていた。


「今日の夜からご飯を戻そうかな。」


そんなことを思いながらお昼ご飯になるお粥を作ってると、突然家の戸が開いた。


「アイビーが倒れたって!?」


そう言って家の中を覗き込んだのは・・・セダムだ。


「せ・・セダム・・?」

「アイビー!?倒れたんじゃなかったのか!?」

「た・・倒れたというか・・・熱出しただけだけど・・・?」


お粥の味見をしようと木のスプーンを口に放り込みながら言うと、セダムはホッとしたかのように話し始めた。

どうやらセダムは町で私のことを耳に挟んだらしく、心配して様子を見に来たんだとか。


「あ・・ごめん。わざわざ来てもらって・・・。」


風邪をうつすわけにもいかないから玄関先で話をした。

もうほとんど元気になってることと、約束してるデートがまだできそうにないことを。


「いいよ。元気にならなきゃいけないとこだし。」

「?・・・どこ行く気なの?」


そう聞くとセダムはニヤッと笑った。


「山!」

「・・・へ?やま?・・やまって・・・あの山?」


家を出て見回せばたくさん見えるものだ。

そこらじゅうにある。


「そうだ。俺の仕事場の一角なんだけど・・アイビーも楽しめそうなとこがあるんだよ。」

「?・・・ふーん?」

「だから完全に治ってからのほうがいい。治ったら・・・依頼屋に連絡してくれ。」

「うん、わかった。」


セダムはそれだけ言って、帰っていった。


「・・・セダムってどんな仕事してたんだっけ・・?」


聞くのを忘れていたセダムの職業。

それはデートの時に聞けばいいと思っていたけど・・・

私の考えが甘いことを後日に知ることになる。




ーーーーー




セダムがうちに来てから1週間後。

私は依頼屋に手紙を出した。

あて先は『セダム』だ。


「もうすっかり元気になったし・・・まだニゲラとのデートもあるし。」


早く終わらせてしまおうと思い、空いてる日を書いて依頼屋にお願いした。

その返事は思いのほか早く返ってきて・・・私はセダムと遊びに行く日が決まった。




ーーーーー




「そろそろ来るかな。」



セダムとのデートの日。

セダムから指定のあった服装に身を包んだ私は家の前でセダムを待っていた。

女の子にしては珍しいパンツスタイルだ。


「パンツを穿いて行くのって・・・この辺じゃあんまりないんだけど・・・。」


畑仕事をするときか、山に登るときの服装が女の子もパンツスタイルになる。

セダムが前に言ってた『山!』から考えたら妥当だろうけど・・・何をするのか気になるところだ。


「行き先が山ならお弁当があった方がいいのかと思っておにぎりも作ったけど・・・。」


手に持った鞄を見てると、セダムの声が聞こえてきた。


「おーい!アイビーっ!」


視線を上げると、セダムがこちらに向かって駆けてくるのが見える。

茶色い鞄を斜めにかけ、いつもと同じ服装だ。

そして足の速いセダムはあっという間に私の前まで来て私の手を取った。


「よし!行くぞ!」


そう言って山に向かって足を進め始めた。


ーーーーー



しばらく歩いたのち、セダムの仕事が気になった私は聞いてみることにした。


「ねぇ、セダム?」

「なんだ?」

「セダムってどんな仕事してるの?運動系?」


学校にいた時からハキハキと話していたセダム。

『体育会系』って印象を受けていたから就職先も身体を使うものかと思った。


「自警団だ。」

「自警団?」

「アイビーは知らないだろ?女は入れないからな。自警団っていうのはーーー」


セダムの説明によると、自警団は警察や消防のようなものらしい。

悪事を働く人を捕まえたり、火災の時には消火にあたる。

救助もこなし、まさに『人助け』みたいな職業だ。


「へぇー・・・でもセダムに合ってそう。」

「だろ?訓練とかキツいときもあるけど・・・楽しいからさ!」

「・・・ふふ。だと思うよ。」


セダムはなんかスイッチが入っちゃったのか、仕事内容を細かく話始めた。

初めての仕事は山で遭難した人を助ける仕事だったとか、町の病院まで担いでいったとか・・・。

目を輝かせながら喋るセダムはほんとに嬉しそうで・・・見てる私まで救助した気になってしまうほどだった。


「アイビー、山登りキツくないか?大丈夫か?」

「平気だよ?ゆっくりなら大丈夫だから。」


話をしてるうちにいつの間にか山に突入していた私たち。

セダムは獣道じゃなくて人が通るところをゆっくりめに歩いてくれた。

私の手を引き、ペースを確認しながら。


「ライムとジニアとは何したんだ?」

「え?・・・あぁ、湖で小舟に乗ったよ?」

「二人とも?」

「うん。」


私はジニアとライムのデート内容がかぶってしまった話をした。

ライムが同じデート内容になってしまったことに少しショックを受けてたようだから、小舟を漕がせてもらったり、ご飯の内容を少し変えて見たりとかでなんとかしたことを。


「へぇー。喜んだんじゃね?ライム。」

「うん。小舟漕ぐのって難しかったんだけど・・・ライムが上手くしてくれて楽しかったよ?」


初めてのことは上手くできなくて当然。

そのサポートが完璧だったライムは、将来すごい研究者になりそうだと思った。


「アイビーは運動も好きだろ?」

「好きっていうか・・・その内容にもよるけど?走り続けるのは好きじゃないし。」

「大丈夫。アイビーが好きそうなやつだから。」


そう言われながら私とセダムは歩き続けた。

キツい斜面を登り、道は無くなり、草に覆われた道なきところを歩いて行く。


「ま・・まだ・・?」

「もうちょっと。」


手を引かれて息を切らせながら山を登った。

そろそろ限界かもと思った時、セダムは私に言った。


「ほら、着いたぞ。」

「え・・?うわぁ・・・・。」


着いたと言われ、目線を上げるとそこには・・・『アスレチック』が広がってあった。

ロープを使って登ったりするものや、不安定に作られた台。

ブランコみたいなものや、飛び石もあるのが見える。


「すごい・・・!」

「だろ?訓練で使うんだけど・・・アイビーが好きかもって思って今日は使わせてもらえるように許可取ってある。」


そう言ってセダムはポケットから紙を一枚取り出して私に見せてくれた。

おそらくそれが許可証なのだろう。


「どれからする?」

「えーっと・・・飛び石!」

「了解。」


私とセダムはアスレチックを順番に遊んでいった。

この世界じゃ『アスレチック』って言わないだろうけど、ロープにぶら下がったりすることなんて普段はないし、楽しくて仕方なかった。


「セダムはこの壁、上まで登れるの?」

「あたりまえだろ?」

「じゃあ登って?見て見たい!」

「任せろ!」


ひょいひょいと登って行くセダムを見て、純粋に『かっこいい』と思った。

身軽で・・なのに筋肉もあって・・・


(なんで私なんかをデートに誘うんだろ・・・。)


セダムのことをほっとかない女の人はたくさんいそうだった。

女の人が少ない世界だからもしかしたらセダムの魅力が埋もれてるだけかもしれないけど。


「登ったぞーっ!アイビーも来るかーっ!?」


私は壁を見上げてセダムを見た。

太陽を背中に背負い、身体の端がきらきらと輝いてる。


「ふふっ・・・無理だよーっ!登ったら下りれないーっ!」

「じゃあ下りるからちょっと待ってろー!」


セダムは近くにあったのかロープを手に取った。

大きな木に括り付け、ロープをもって飛び降りてきた。


「ひゃっ・・!?」

「よっ・・と!」


ひょいひょいと壁を蹴りながら降りてくるセダム。

ゆっくりかと思いきやものすごいスピードで駆け下りてくる。

落ちてきてるんじゃないかと思えるくらい早く、怖くて思わず両手で目を覆った。


「?・・・どうした?アイビー。」


どん!という音と共に地面に着地したセダム。

その無事に私はほっと胸を撫でおろした。


「もー・・・落ちたかと思ったよ・・。」


そういうとセダムは意味がわからないといった表情を見せた。


「は?落ちる?誰が?」

「セダムだよっ。」

「落ちるわけないだろ?ほぼ毎日登ってるんだし。」

「毎日!?」


セダムたち自警団は体力勝負というところもあるのか、ひたすら動き回る訓練をしてるらしい。

このアスレチックを走り回って、壁を登って下りて・・・

『慣れ』も含めて体力をつけていくのだとか。


「『夜』の訓練とかもあるしなー。まだまだできないことも多いんだよ。」

「そうなんだー・・・。私は無理だな。今遊んだだけでもう疲れてるもん。」

「ははっ。・・・っと、そろそろメシの時間じゃね?」


セダムはそう言うと東屋のようなところに足を向けた。

どうも練習の時に使う休憩所のようなところだ。


「この辺はメシを食いにいけるとこ無いからな。」


そう言って茶色い鞄から布に包まれた何かを取りだした。







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