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別れ。
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ーーーーー
翌週・・・
今日は朝から雨が降っていた。
狩りの仕事に行けないシャガは家で私と一緒に朝ご飯を作り、食べていた。
「今日は何するの?雨だし・・・ダリアおばーちゃんのとこ行ってから掃除する?」
「うーん・・そうだな。仕事も行けないし・・ダリアんとこの帰りにアイビーの学校の手続き取りに行こうか。」
この世界も学校というものがあるらしく、6歳になればそこに通うことになるらしい。
入学式みたいなものはなく、適当な時期から編入みたいな形で通うらしい。
私も今、5歳だからそろそろ学校に行く準備を進めないといけないらしいのだ。
「学力は大丈夫だと思うから・・・通わなくていいなら家のことしたいんだけど・・・。」
学校に通うとなればお金がかかる。
養ってもらってる身だし、できるだけお金をかけたくないと思った。
「・・・金か?心配すんな。お前が思ってるより俺は稼いでるんだよ。」
「でも・・・・」
「それに『友達』も必要だろ?お前は外で遊ばないから知ってるやつといえば俺とニゲラとダリアくらいだし。」
友達と言われても私自身、中身は21歳だ。
それに小学生の友達とか・・・会話が成り立つとは思えなかった。
「・・・3人知ってたら十分だし。」
そう言うとシャガは私のご飯をひょいと取り上げた。
「あっ!」
「学校行くって言うまでメシは返さない。それにこの町は子供はみんな学校に行ってる。行かないのは・・・俺のメンツが潰れる。」
「むー・・・行く。」
仕方なしに返事をすると、シャガはご飯を返してくれた。
そのご飯を守るようにしてばくばくと口に放り込んでいく。
「あとで黒い実飲みたい。」
拗ねながら答えるとシャガは笑いながら言った。
「ははっ、白い実もたっぷり入れてやるよ。」
まるで『兄と妹』のような感じだ。
シャガは立ち上がり、キッチンに向かって行った。
カップを手に取り、カチャカチャとコーヒーを淹れ始めた時、家の戸が開いた。
「シャガ!アイビー!」
息を切らして入ってきたのはニゲラだった。
(前もあったような・・・?)
そんなことを思いながらニゲラを見ると、青ざめた顔をしていた。
嫌な予感がする。
「どうした?ニゲラ。」
「ダリアが・・・!」
その言葉にシャガは手に持っていたカップをその場に置き、ダッシュで私を抱えに来た。
「うわぁっ・・!」
「行くぞ!」
ひょいと肩に乗せられ、シャガはそのまま家を飛び出た。
(ドロボーとかいないっていうのすごい世界だよね・・・。)
鍵をかけるという習慣がないこの世界。
家の戸に鍵自体が無い。
始めは驚いていたけど、この町の人たちはみんな『盗む』という発想が無いようだった。
「アイビー!落ちるなよ!?」
「うん!」
ダッシュで駆けるシャガの後ろを、ニゲラがついてくる。
シャガの肩の上で揺れながら見たニゲラ表情は曇っていて、目の端に光るものが見えた。
(もしかして・・・・)
先週倒れて入院することになったダリア。
それから毎日お見舞いには行ってるものの入院した日から食べ物を食べてないことをお医者さんから聞いていた。
私とシャガがお見舞いに行ってるときは元気に起きてるように見せてくれてるけど、私たちが帰ったあとはずっと眠ってるらしい。
どくどくと嫌な音を立てる胸をぎゅっと押さえながらシャガと共に病院に向かった。
ーーーーー
「だ・・ダリアおばーちゃん・・・?」
ダリアの病室に入ると、お医者さんがダリアのベッドの側に立っていた。
痛い空気が病室を支配してる。
「もう・・意識がなくなりそうなので・・・お話できるのはこれが最後かと。」
「!!」
その言葉の意味を理解した私は両手で口を押えた。
溢れてくる涙をこぼさないように堪えてると、シャガが私を抱いてダリアの側にいった。
枕に頭を置いて、眠ってるように静かに息をするダリアの耳元に顔を近づけ、シャガはそっと言った。
「ダリア、アイビー連れて来た。」
そう言うと、ダリアは目を薄っすらと開けた。
顔を動かすわけでもなく、そのまままっすぐ天井を見つめてる。
「あ・・アイ・・ビー・・・?」
私はシャガの腕から下ろしてもらい、ダリアに顔を近づけた。
「おばーちゃん・・・?」
ダリアはゆっくりと・・・ほんとにゆっくりと顔を傾け、私を見てくれた。
「アイビー・・・ありがとう・・・。」
「え・・・?」
「お前さんと出会えて・・・楽しかった・・。」
ダリアは布団から手を出し、ふるふると震えながら私の頬を撫でた。
その手はいつもよりしわしわで・・・ご飯を食べてないからか骨と皮だけに見える。
「わ・・わたしもたのしかったよ・・・?とうさんがしごとのとき・・・いっしょにいてくれてありがとう。」
涙を堪えるようにして伝えた。
私がこの世界にてすぐから面倒をみてくれたダリア。
気のいいおばーちゃんで・・・服を縫ってくれたり、お昼寝に付き合ってくれたり。
歩けるようになってからは私が危ないことをしないか近くでいつも見ててくれた。
そんな危ないことはしないんだけど。
「シャガと・・・仲良く・・な・・」
その言葉を最期に、ダリアの腕から力が抜けた。
「!!・・・お・・おばーちゃん・・・?」
お医者さんがすぐさまダリアの容態を確認する。
シャガとニゲラはもうわかってるのか、ぴしっと真っ直ぐに立ち、頭を下げていた。
私はどうしたらいいのか分からずにダリアの顔を覗き込んだ。
「お別れです。」
「!!・・・いやぁぁーーーっ・・!!」
私はダリアの身体に抱きついた。
人の死に対面するのは・・・前世でも経験がない。
初めてのことに涙が止まらない。
「・・・アイビー、来い。」
ダリアの身体に抱きついて涙を溢れさせる私を、シャガが抱き上げた。
私はシャガに抱きつき、わんわんと泣いた。
両手で交互に拭っても、止まることを知らないみたいに溢れ出てくる。
いくら涙を流しても、枯れてくれなかった。
「うわぁぁーーーん・・・!」
「よしよし、辛いな。」
私は泣き疲れて寝てしまうまでシャガに抱かれながら涙を流した。
ーーーーー
翌週・・・
今日は朝から雨が降っていた。
狩りの仕事に行けないシャガは家で私と一緒に朝ご飯を作り、食べていた。
「今日は何するの?雨だし・・・ダリアおばーちゃんのとこ行ってから掃除する?」
「うーん・・そうだな。仕事も行けないし・・ダリアんとこの帰りにアイビーの学校の手続き取りに行こうか。」
この世界も学校というものがあるらしく、6歳になればそこに通うことになるらしい。
入学式みたいなものはなく、適当な時期から編入みたいな形で通うらしい。
私も今、5歳だからそろそろ学校に行く準備を進めないといけないらしいのだ。
「学力は大丈夫だと思うから・・・通わなくていいなら家のことしたいんだけど・・・。」
学校に通うとなればお金がかかる。
養ってもらってる身だし、できるだけお金をかけたくないと思った。
「・・・金か?心配すんな。お前が思ってるより俺は稼いでるんだよ。」
「でも・・・・」
「それに『友達』も必要だろ?お前は外で遊ばないから知ってるやつといえば俺とニゲラとダリアくらいだし。」
友達と言われても私自身、中身は21歳だ。
それに小学生の友達とか・・・会話が成り立つとは思えなかった。
「・・・3人知ってたら十分だし。」
そう言うとシャガは私のご飯をひょいと取り上げた。
「あっ!」
「学校行くって言うまでメシは返さない。それにこの町は子供はみんな学校に行ってる。行かないのは・・・俺のメンツが潰れる。」
「むー・・・行く。」
仕方なしに返事をすると、シャガはご飯を返してくれた。
そのご飯を守るようにしてばくばくと口に放り込んでいく。
「あとで黒い実飲みたい。」
拗ねながら答えるとシャガは笑いながら言った。
「ははっ、白い実もたっぷり入れてやるよ。」
まるで『兄と妹』のような感じだ。
シャガは立ち上がり、キッチンに向かって行った。
カップを手に取り、カチャカチャとコーヒーを淹れ始めた時、家の戸が開いた。
「シャガ!アイビー!」
息を切らして入ってきたのはニゲラだった。
(前もあったような・・・?)
そんなことを思いながらニゲラを見ると、青ざめた顔をしていた。
嫌な予感がする。
「どうした?ニゲラ。」
「ダリアが・・・!」
その言葉にシャガは手に持っていたカップをその場に置き、ダッシュで私を抱えに来た。
「うわぁっ・・!」
「行くぞ!」
ひょいと肩に乗せられ、シャガはそのまま家を飛び出た。
(ドロボーとかいないっていうのすごい世界だよね・・・。)
鍵をかけるという習慣がないこの世界。
家の戸に鍵自体が無い。
始めは驚いていたけど、この町の人たちはみんな『盗む』という発想が無いようだった。
「アイビー!落ちるなよ!?」
「うん!」
ダッシュで駆けるシャガの後ろを、ニゲラがついてくる。
シャガの肩の上で揺れながら見たニゲラ表情は曇っていて、目の端に光るものが見えた。
(もしかして・・・・)
先週倒れて入院することになったダリア。
それから毎日お見舞いには行ってるものの入院した日から食べ物を食べてないことをお医者さんから聞いていた。
私とシャガがお見舞いに行ってるときは元気に起きてるように見せてくれてるけど、私たちが帰ったあとはずっと眠ってるらしい。
どくどくと嫌な音を立てる胸をぎゅっと押さえながらシャガと共に病院に向かった。
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「だ・・ダリアおばーちゃん・・・?」
ダリアの病室に入ると、お医者さんがダリアのベッドの側に立っていた。
痛い空気が病室を支配してる。
「もう・・意識がなくなりそうなので・・・お話できるのはこれが最後かと。」
「!!」
その言葉の意味を理解した私は両手で口を押えた。
溢れてくる涙をこぼさないように堪えてると、シャガが私を抱いてダリアの側にいった。
枕に頭を置いて、眠ってるように静かに息をするダリアの耳元に顔を近づけ、シャガはそっと言った。
「ダリア、アイビー連れて来た。」
そう言うと、ダリアは目を薄っすらと開けた。
顔を動かすわけでもなく、そのまままっすぐ天井を見つめてる。
「あ・・アイ・・ビー・・・?」
私はシャガの腕から下ろしてもらい、ダリアに顔を近づけた。
「おばーちゃん・・・?」
ダリアはゆっくりと・・・ほんとにゆっくりと顔を傾け、私を見てくれた。
「アイビー・・・ありがとう・・・。」
「え・・・?」
「お前さんと出会えて・・・楽しかった・・。」
ダリアは布団から手を出し、ふるふると震えながら私の頬を撫でた。
その手はいつもよりしわしわで・・・ご飯を食べてないからか骨と皮だけに見える。
「わ・・わたしもたのしかったよ・・・?とうさんがしごとのとき・・・いっしょにいてくれてありがとう。」
涙を堪えるようにして伝えた。
私がこの世界にてすぐから面倒をみてくれたダリア。
気のいいおばーちゃんで・・・服を縫ってくれたり、お昼寝に付き合ってくれたり。
歩けるようになってからは私が危ないことをしないか近くでいつも見ててくれた。
そんな危ないことはしないんだけど。
「シャガと・・・仲良く・・な・・」
その言葉を最期に、ダリアの腕から力が抜けた。
「!!・・・お・・おばーちゃん・・・?」
お医者さんがすぐさまダリアの容態を確認する。
シャガとニゲラはもうわかってるのか、ぴしっと真っ直ぐに立ち、頭を下げていた。
私はどうしたらいいのか分からずにダリアの顔を覗き込んだ。
「お別れです。」
「!!・・・いやぁぁーーーっ・・!!」
私はダリアの身体に抱きついた。
人の死に対面するのは・・・前世でも経験がない。
初めてのことに涙が止まらない。
「・・・アイビー、来い。」
ダリアの身体に抱きついて涙を溢れさせる私を、シャガが抱き上げた。
私はシャガに抱きつき、わんわんと泣いた。
両手で交互に拭っても、止まることを知らないみたいに溢れ出てくる。
いくら涙を流しても、枯れてくれなかった。
「うわぁぁーーーん・・・!」
「よしよし、辛いな。」
私は泣き疲れて寝てしまうまでシャガに抱かれながら涙を流した。
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