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ーーーーー
その翌日の朝、目が覚めたステラは自分の体に違和感を感じていた。
なんとも言えない気だる感が抜け切れてないのだ。
「?・・まぁいっか。」
ベッドから体を起こして服の袖をまくり上げた。
窓から落ちたときの傷はもう全て治り、気だる感以外は特に問題はなさそうだ。
「寝てた方がいいのか、動いた方がいいのか悩むなぁ・・・。」
そんなことを思いながらベッドから降りた私は服を着替え、部屋の窓を開けた。
朝の爽やかな風が部屋に入ってきて、空気を入れ替えてくれる。
「・・・ふふ。おはよう。」
まるで踊ってるかのように吹き抜ける風は意思をもってるように感じられ、思わず声をかけた。
その私の声に返事をするかのように、風はカーテンを揺らしていく。
「姿が見えたら・・・きっとかわいいんだろうなぁ・・・。」
風を擬人化するなんて想像すら追い付かないけど、もし、この部屋にいる風が姿を現したら・・・
「明るい緑色の髪の毛に、妖精さんの羽が似合いそう・・・。」
そんなことを思いながら部屋を吹き抜ける風を眺めた。
そして窓の外に視線を移すと、眩しく輝く太陽が目に入る。
この世界は・・・今日もいい天気だ。
「・・・♪~」
『青い空の下 笑い合える街
手を伸ばせばほら 誰かが助けてくれる
輝く太陽は すべての人たちに
笑顔を届ける 光を降らす』
ふと思い出した歌だった。
この国に来た時、慣れるまでは大変だったけどみんなが優しくしてくれた。
手を伸ばしていたつもりはないけど、声をかけてもらって・・・私の人生がガラッと変わったように思った。
前の世界では経験してないことをたくさんさせてもらって・・・この世界にきてよかったと心から思ったくらいだ。
「二番って・・歌詞、どんなのだっけ・・・?」
思い出すように口ずさむと、私の背後から手がひゅっ・・!と、伸びてきて私の口を塞いだ。
「んぅっ・・!?」
「歌うな、ステラ。」
その声に真上を向くと、タウさんがいたのだ。
悲しそうな表情で私を見ながら口を塞いでる。
「んーっ・・んーっ!」
「歌うなよ?いいな?」
真剣な表情で言われ、私は首を縦に振った。
するとタウさんはそっと手を離してくれたのだ。
「ぷはっ・・・!」
「二度と歌うな。いいな?」
「え・・どうして・・・」
「どうしてもだ。」
真剣な表情で言うタウさんは、どこか悩みというか焦りみたいなものがあるように見えた。
私の歌を『好きだ』と言ってくれていたタウさんでは・・・ない。
「・・・ごめんなさい。」
自分が何かしでかしてしまったのだと思い、私は謝った。
でも何をしでかしてしまったのかわからず、問われると困ることになる。
「?・・・なんで謝るんだ?」
「それは・・・その・・・私が悪いからタウさんにそんな表情させてると思うんで・・・」
笑ってない時は機嫌の悪い時。
それは誠也さんで勉強したことだった。
「あ・・!違う!違うから・・・!」
「違う・・?」
「怒ってるとか思ったんだろ?俺がステラに怒るわけないじゃないか。」
そう言うとタウさんはいつもと同じように笑った。
よしよしと私の頭を撫でてる。
「じゃあ何か・・・心配事でも・・?」
「!」
私の言葉にタウさんは困ったような顔をした。
何かあることは確かだけど、言いたくはなさそうだ。
「・・・。」
『言えないことなら大丈夫です』と伝えるべきか悩んだ時、私の視界がぐらっと揺れた。
「あ・・・」
貧血のような症状を感じ、タウさんに向かって倒れ込んでいく。
「ステラっ・・・!大丈夫か!?」
「だ・・だいじょうぶ・・・・貧血かな・・・」
ふらついたものの、足にはしっかり力が入った。
床を踏み直すように足に力を入れ、自分の足で立つ。
「具合悪いか?寝る?」
「いや・・大丈夫ですよ。」
「寝たほうがいいんじゃないか?」
「え?」
「あ、椅子に座るか?」
明らかに心配しすぎな様子を見せるタウさん。
どう見ても不振すぎる態度に、私は彼の袖を掴んだ。
「タウさん・・・!私、大丈夫ですよ!?」
両手を広げてジャンプして見せてみた。
でもタウさんは心配そうに私を見てるだけだ。
「倒れたりして心配はかけたと思いますけど・・・もう大丈夫ですよ?」
心配そうに見てるタウさんを覗き込むようにして言うとタウさんはしばらく悩み、手をポケットに入れた。
そして・・・私にとって見覚えのある物を取り出した。
「それ・・・・ハマルおばぁちゃんの時の・・・・」
見覚えがあった物は時計だ。
『残された時間を表す時計』。
ハマルおばぁちゃんの最期を知ることができて、ちゃんと見送れたものだった。
「ステラの脈が弱くて・・・安心したくて使ったんだ。」
「その時計を・・・?」
「あぁ。そしたら・・・『55』を指していた。」
その言葉を聞いて、私の心臓がひと際うるさく鳴った。
数字が『0』でない時点で私の余命は60日以内。
数字が『55』なら私は55日後に砂になるのだろう。
「・・・そうなんですか。」
驚いたけど、特に不安には襲われなかった。
不思議と・・・こうなることが決まってたと思ってる自分がいる。
「嫌じゃないのか・・・!?怖くないのか!?」
怒るようにして聞いてきたタウさんだったけど、私は首を横に振った。
「それはまぁ・・・でももう十分かなって思ったりもしますし。」
「は・・・?」
「こっちの世界に来て、ハマルおばぁちゃんに育ててもらえて・・・すごく幸せでした。レイスさんとかタウさんにも会えて・・・私は幸せです。」
初めての好きな人と想いが通じ合ったことも奇跡だし、大事にしてもらったことも初めてで、思い返せば私は満たされることばかりだった。
だから死が近づいてきても・・・受け入れることはできそうだ。
(一回死んでるし・・・。)
そんなこと考えてると、タウさんが私の両肩をがしっと掴んだ。
「お前は俺と離れてもいいのか・・・?」
「それは・・・・」
タウさんは取り出した時計のチェーンを私の手首にかけた。
そしてその時計部分を私に見えるように持ってくれてる。
「見てみろ。数字の減りが異様に早いぞ?」
そう言われて覗き込むと時計の針は『29』を指していた。
「・・・・え?」
「ステラの歌とヒールが原因だ。お前が歌うたびに異様な速さで時間が短くなっていってる。昨日の夜は『39』だった。」
タウさんの推測では、私がヒールを使うと対象者のケガを治すことができて、歌を歌うと足すことのできない魔力を増やすことができるらしい。
自分の歌にそんな作用があることに驚いた。
「え・・じゃあもっと歌えばこの国の人たちみんなの魔力を回復させられるんじゃ・・・」
生活に必要な魔法を使うくらいじゃ枯渇して死んでしまうことはないらしいけど、減った分を足せるなら足した方がいい。
そう思ったのにタウさんは悲しい顔をしていた。
「なんでそんなことを言う・・?」
「だって・・・・」
「お前はこの世界から消えてもいいのか・・・!?」
『消えてもいいのか』と聞かれて・・・私は答えられなかった。
食堂の仕事はまだ全然手伝えてない。
友達になったヌンキさんともまだいっぱい喋りたいことがある。
もらったお給金で買い物だってしたい。
そんなことが頭に浮かぶけど、何より・・・タウさんのことをまだ全然知れてないのだ。
好き以上の気持ちなんて簡単に捨てれるハズもなく、私は前の世界以上にこの世界に未練があるのだ。
「諦めるな!自分の欲しいものは自分の手で掴め!それが生きてる証だろ!?」
「!!」
タウさんの言葉に心が揺れる。
前の人生は諦めることしかしてこなかったことを思い出し、ぼろぼろと大粒の涙が零れていった。
「でもっ・・諦めなきゃ・・私の時間も少ないし・・・」
現実は現実。
いくら足掻いてもその時は来てしまうのだ。
「・・・方法はある。」
「方法・・・?」
「あぁ。ただどうなるかわからないから・・・一度みんなと相談したい。・・・いいか?」
真剣な表情で言うタウさんに私は小さく頷いた。
するとタウさんはすぐに部屋から出ていき、みんなが集まる場を設けた。
ーーーーー
「・・・で?みんなを集めてどうしたんだ?タウ。」
部屋に集められたのは私とタウさんの他、トゥレイスさんとアダーラさん、ミンカルさん、ワズンさん、それに王様だ。
みんなが怪訝な顔でタウさんを見つめてる中、王様が淡々と話を聞いていく。
「ご相談があります。ここにいる全員に。」
「相談?なんだ?」
王様が手にペンを持ち、くるっと回した。
その時、タウさんが全員に聞こえるように大きな声でハッキリと言った。
「・・・救い人であるステラと契りを交わしたい。」
その翌日の朝、目が覚めたステラは自分の体に違和感を感じていた。
なんとも言えない気だる感が抜け切れてないのだ。
「?・・まぁいっか。」
ベッドから体を起こして服の袖をまくり上げた。
窓から落ちたときの傷はもう全て治り、気だる感以外は特に問題はなさそうだ。
「寝てた方がいいのか、動いた方がいいのか悩むなぁ・・・。」
そんなことを思いながらベッドから降りた私は服を着替え、部屋の窓を開けた。
朝の爽やかな風が部屋に入ってきて、空気を入れ替えてくれる。
「・・・ふふ。おはよう。」
まるで踊ってるかのように吹き抜ける風は意思をもってるように感じられ、思わず声をかけた。
その私の声に返事をするかのように、風はカーテンを揺らしていく。
「姿が見えたら・・・きっとかわいいんだろうなぁ・・・。」
風を擬人化するなんて想像すら追い付かないけど、もし、この部屋にいる風が姿を現したら・・・
「明るい緑色の髪の毛に、妖精さんの羽が似合いそう・・・。」
そんなことを思いながら部屋を吹き抜ける風を眺めた。
そして窓の外に視線を移すと、眩しく輝く太陽が目に入る。
この世界は・・・今日もいい天気だ。
「・・・♪~」
『青い空の下 笑い合える街
手を伸ばせばほら 誰かが助けてくれる
輝く太陽は すべての人たちに
笑顔を届ける 光を降らす』
ふと思い出した歌だった。
この国に来た時、慣れるまでは大変だったけどみんなが優しくしてくれた。
手を伸ばしていたつもりはないけど、声をかけてもらって・・・私の人生がガラッと変わったように思った。
前の世界では経験してないことをたくさんさせてもらって・・・この世界にきてよかったと心から思ったくらいだ。
「二番って・・歌詞、どんなのだっけ・・・?」
思い出すように口ずさむと、私の背後から手がひゅっ・・!と、伸びてきて私の口を塞いだ。
「んぅっ・・!?」
「歌うな、ステラ。」
その声に真上を向くと、タウさんがいたのだ。
悲しそうな表情で私を見ながら口を塞いでる。
「んーっ・・んーっ!」
「歌うなよ?いいな?」
真剣な表情で言われ、私は首を縦に振った。
するとタウさんはそっと手を離してくれたのだ。
「ぷはっ・・・!」
「二度と歌うな。いいな?」
「え・・どうして・・・」
「どうしてもだ。」
真剣な表情で言うタウさんは、どこか悩みというか焦りみたいなものがあるように見えた。
私の歌を『好きだ』と言ってくれていたタウさんでは・・・ない。
「・・・ごめんなさい。」
自分が何かしでかしてしまったのだと思い、私は謝った。
でも何をしでかしてしまったのかわからず、問われると困ることになる。
「?・・・なんで謝るんだ?」
「それは・・・その・・・私が悪いからタウさんにそんな表情させてると思うんで・・・」
笑ってない時は機嫌の悪い時。
それは誠也さんで勉強したことだった。
「あ・・!違う!違うから・・・!」
「違う・・?」
「怒ってるとか思ったんだろ?俺がステラに怒るわけないじゃないか。」
そう言うとタウさんはいつもと同じように笑った。
よしよしと私の頭を撫でてる。
「じゃあ何か・・・心配事でも・・?」
「!」
私の言葉にタウさんは困ったような顔をした。
何かあることは確かだけど、言いたくはなさそうだ。
「・・・。」
『言えないことなら大丈夫です』と伝えるべきか悩んだ時、私の視界がぐらっと揺れた。
「あ・・・」
貧血のような症状を感じ、タウさんに向かって倒れ込んでいく。
「ステラっ・・・!大丈夫か!?」
「だ・・だいじょうぶ・・・・貧血かな・・・」
ふらついたものの、足にはしっかり力が入った。
床を踏み直すように足に力を入れ、自分の足で立つ。
「具合悪いか?寝る?」
「いや・・大丈夫ですよ。」
「寝たほうがいいんじゃないか?」
「え?」
「あ、椅子に座るか?」
明らかに心配しすぎな様子を見せるタウさん。
どう見ても不振すぎる態度に、私は彼の袖を掴んだ。
「タウさん・・・!私、大丈夫ですよ!?」
両手を広げてジャンプして見せてみた。
でもタウさんは心配そうに私を見てるだけだ。
「倒れたりして心配はかけたと思いますけど・・・もう大丈夫ですよ?」
心配そうに見てるタウさんを覗き込むようにして言うとタウさんはしばらく悩み、手をポケットに入れた。
そして・・・私にとって見覚えのある物を取り出した。
「それ・・・・ハマルおばぁちゃんの時の・・・・」
見覚えがあった物は時計だ。
『残された時間を表す時計』。
ハマルおばぁちゃんの最期を知ることができて、ちゃんと見送れたものだった。
「ステラの脈が弱くて・・・安心したくて使ったんだ。」
「その時計を・・・?」
「あぁ。そしたら・・・『55』を指していた。」
その言葉を聞いて、私の心臓がひと際うるさく鳴った。
数字が『0』でない時点で私の余命は60日以内。
数字が『55』なら私は55日後に砂になるのだろう。
「・・・そうなんですか。」
驚いたけど、特に不安には襲われなかった。
不思議と・・・こうなることが決まってたと思ってる自分がいる。
「嫌じゃないのか・・・!?怖くないのか!?」
怒るようにして聞いてきたタウさんだったけど、私は首を横に振った。
「それはまぁ・・・でももう十分かなって思ったりもしますし。」
「は・・・?」
「こっちの世界に来て、ハマルおばぁちゃんに育ててもらえて・・・すごく幸せでした。レイスさんとかタウさんにも会えて・・・私は幸せです。」
初めての好きな人と想いが通じ合ったことも奇跡だし、大事にしてもらったことも初めてで、思い返せば私は満たされることばかりだった。
だから死が近づいてきても・・・受け入れることはできそうだ。
(一回死んでるし・・・。)
そんなこと考えてると、タウさんが私の両肩をがしっと掴んだ。
「お前は俺と離れてもいいのか・・・?」
「それは・・・・」
タウさんは取り出した時計のチェーンを私の手首にかけた。
そしてその時計部分を私に見えるように持ってくれてる。
「見てみろ。数字の減りが異様に早いぞ?」
そう言われて覗き込むと時計の針は『29』を指していた。
「・・・・え?」
「ステラの歌とヒールが原因だ。お前が歌うたびに異様な速さで時間が短くなっていってる。昨日の夜は『39』だった。」
タウさんの推測では、私がヒールを使うと対象者のケガを治すことができて、歌を歌うと足すことのできない魔力を増やすことができるらしい。
自分の歌にそんな作用があることに驚いた。
「え・・じゃあもっと歌えばこの国の人たちみんなの魔力を回復させられるんじゃ・・・」
生活に必要な魔法を使うくらいじゃ枯渇して死んでしまうことはないらしいけど、減った分を足せるなら足した方がいい。
そう思ったのにタウさんは悲しい顔をしていた。
「なんでそんなことを言う・・?」
「だって・・・・」
「お前はこの世界から消えてもいいのか・・・!?」
『消えてもいいのか』と聞かれて・・・私は答えられなかった。
食堂の仕事はまだ全然手伝えてない。
友達になったヌンキさんともまだいっぱい喋りたいことがある。
もらったお給金で買い物だってしたい。
そんなことが頭に浮かぶけど、何より・・・タウさんのことをまだ全然知れてないのだ。
好き以上の気持ちなんて簡単に捨てれるハズもなく、私は前の世界以上にこの世界に未練があるのだ。
「諦めるな!自分の欲しいものは自分の手で掴め!それが生きてる証だろ!?」
「!!」
タウさんの言葉に心が揺れる。
前の人生は諦めることしかしてこなかったことを思い出し、ぼろぼろと大粒の涙が零れていった。
「でもっ・・諦めなきゃ・・私の時間も少ないし・・・」
現実は現実。
いくら足掻いてもその時は来てしまうのだ。
「・・・方法はある。」
「方法・・・?」
「あぁ。ただどうなるかわからないから・・・一度みんなと相談したい。・・・いいか?」
真剣な表情で言うタウさんに私は小さく頷いた。
するとタウさんはすぐに部屋から出ていき、みんなが集まる場を設けた。
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「・・・で?みんなを集めてどうしたんだ?タウ。」
部屋に集められたのは私とタウさんの他、トゥレイスさんとアダーラさん、ミンカルさん、ワズンさん、それに王様だ。
みんなが怪訝な顔でタウさんを見つめてる中、王様が淡々と話を聞いていく。
「ご相談があります。ここにいる全員に。」
「相談?なんだ?」
王様が手にペンを持ち、くるっと回した。
その時、タウさんが全員に聞こえるように大きな声でハッキリと言った。
「・・・救い人であるステラと契りを交わしたい。」
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