お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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素直に。

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直哉side・・・




翔平と恭吾がプレゼントを喜んでくれてる中、俺は鈴が廊下の壁にもたれかかってるのが気になった。



直哉(?・・・調子、悪いのか?)




そう思ってると、鈴が靴を履いて玄関から出てきた。




翔平「鈴?出掛けちゃダメだろ?」

恭吾「ほら、戻ろうな?」



翔平たちが鈴を止める中、鈴は俺の体に抱きついてきた。



直哉「!?」

翔平「!?」

恭吾「!?」

鈴「・・・直哉お兄ちゃんとちょっとお散歩してくる・・。」





翔平たちは鈴を唖然と見ていた。

瞬時に俺のことも見る。




直哉「す・・すず?あの・・翔平たちの視線が怖いんだけど・・・?」

鈴「お願い・・ちょっとだけでいいから・・。」

直哉「・・・10分だけ・・な?いいか?」

鈴「うんっ。」



直哉「翔平、恭吾、ちょっと借りてく。」

翔平「あ・・あぁ。」

恭吾「すぐに帰って来いよ?」

鈴「いってきまぁすっ。」




翔平と恭吾を玄関に置き去りにしてドアを閉めた。

その途端、鈴が地面に崩れ落ちていった。






直哉「鈴!?」





とっさに鈴の腕を掴む。

細っこい腕だった。


俺は玄関の階段に座って、鈴を自分の足の上に座らせた。




直哉「大丈夫か?」

鈴「大丈夫・・じゃない。」

直哉「翔平たち呼ぶからちょっと待ってろ?」




立ち上がろうとしたとき、鈴が止めた。



鈴「ダメっ。もうちょっとしたら大丈夫になるから・・・。」




ぐったりしてる鈴。

どう考えても翔平たちに診てもらった方がいいんだけど・・・。




直哉「・・・なんで翔平たちに言わないんだ?」

鈴「だって・・心配かけたくない・・・。」

直哉「うーん・・『心配』ってそうじゃないんじゃないか?」

鈴「え・・?」

直哉「何も・・言わないほうが『心配させる』んじゃないか?きっと、些細なことでも言って欲しいと思うよ?鈴が苦しい思いをしてるほうが・・ずっと心配する。」

鈴「・・・・・・・。」

直哉「一人で決めることもいいんだけど、家族に相談することも大事だと思うよ?」




鈴は俺の腕の中でじっと考えたみたいだった。

一点を見つめて悩んでる。





鈴「・・・・お兄ちゃんとこに行く。」

直哉「ん。いい子だな。」

鈴「直哉お兄ちゃん・・。」

直哉「うん?」




鈴は俺の腕の中から俺の目を見た。




鈴「・・・ありがと。へへっ。」

直哉「---っ!」





俺の膝の上にすっぽりハマる小さい身体。

潤んだ大きな目。

屈託のない笑顔。

素直な行動。



・・・・俺の心が跳ねるには十分な材料だった。



直哉(やばい・・・。鈴のこと妹に見れなくなる・・。)




気のせいだと思い込み、俺は『兄』として鈴を抱きかかえ、玄関のドアを開けた。






ガチャ・・・





翔平「鈴っ!」

恭吾「だから言ったのに・・!」



玄関でずっと待っていたっぽい翔平と恭吾。




直哉「体が重たそうだ。」




恭吾に鈴の体を渡した。




恭吾「鈴?大丈夫か?」

鈴「だいじょ・・・・」



恭吾の腕の中から俺を見た鈴。

言いかけた言葉を言い直した。




鈴「体が・・重くて・・・立ってられないの・・ごめんなさい。」

恭吾「『重い』か。」




鈴は恭吾と一緒に奥に消えていった。



翔平「・・・ありがとな、直哉。」



翔平が俺に言った。




直哉「・・・もしかして聞いてた?」

翔平「ドアの前で喋ってたら聞こえるよ。」

直哉「あー・・・それもそうか。」

翔平「でも助かった。鈴は・・俺らに『体調不良』は言わないから。」

直哉「ふーん?俺には素直に言ったけどなぁ・・・。」





そう言った時、翔平は俺の肩に手を乗せてきた。




直哉「?」

翔平「鈴・・かわいいだろ?でもやらないからな?」

直哉「!?・・だれも『くれ』なんて言ってないだろ!?」

翔平「・・・・ふーん?」

直哉「・・・・帰るわ。またな。」

翔平「おぅ。ありがとなー。」





俺は朝比奈家をあとにした。















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