お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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買い物2。

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服屋さんに一歩足を踏み入れた瞬間から私の心は躍った。



右を見ても服。

左を見ても服がある。

デザインも・・色も・・・種類がたくさんあって・・・まるで宝箱の中に入ったように思えた。



鈴「・・・かわいい服がいっぱい!」

翔平「好きなの見て来いよ。俺も鈴に合いそうなの見るから。」


私はお兄ちゃんと別れて服を見て歩いた。



どれもこれも可愛くて時々手に取りながら一通り見て回る。

そのあとに自分の持ってる全財産と相談した。




鈴(えっと・・・欲しいのは、スカート。あと帽子と・・・。)



隅っこで財布の中身を確認してると、私の後ろから手が伸びてきて財布を取り上げた。



鈴「えっ・・?」



振り返ると翔平お兄ちゃんが立っていた。



翔平「なんの計算してんだ?」

鈴「?・・服を買うための計算?」




翔平お兄ちゃんは私の財布を自分のポケットに入れてしまった。



鈴「あ・・・。」

翔平「俺との買い物で財布は持たないこと。・・・ってか、妹なんだし。」

鈴「でも・・・・・。」

翔平「お前が欲しいものならなんだって買ってやる。服は?どれだ?」



お兄ちゃんは私の手を引いてお店の中を歩き始めた。

次から次に服を手に取って私の体にあてていく。



翔平「これ、いいんじゃないか?これもいいし・・・。」

鈴「え?・・あの・・・。」

翔平「鈴、サイズは?」

鈴「え・・XSですけど・・。」

翔平「ちょっと大きいほうが俺は好きだなー。」




そう言ってお兄ちゃんはたくさん服を手に持ち出した。



パンツ、スカート、ショートパンツ、ワンピースに、チュニック。

帽子も頭に乗せては、いろいろ手に持ったままだ。




翔平「鈴は夜寝る時どんな格好?」

鈴「えっと・・・ショートパンツに・・薄手のトレーナー・・。」

翔平「部屋着の延長みたいな感じか。じゃあこれだな。」



そう言って服をまた取り出した。

腕にいっぱいのってる服を全部レジに持って行ったお兄ちゃん。



翔平「これください。」

店員「ありがとうございます。」



お会計をし始めた。



鈴「え!?こんなに!?」



いくらなんでも多すぎる量だ。



翔平「ん?足りない?」

鈴「多いよっ。」




ピッ、ピッ・・とレジに通されていく服たち。

金額を表示してる数字がすごい勢いで増えていってる。




翔平「ま、どうせ恭吾も父さんも買ってると思うけど。」




そう言ってお会計を済ませたお兄ちゃん。

パンパンに入った袋を手に下げ、お店をあとにする。



店員「ありがとうございましたー。」




翔平「車に乗せてからちょっと歩こうか。」

鈴「いや、あの・・・。」

翔平「買わせてよ。今まで会えなかったんだし。」




お兄ちゃんは荷物を車に乗せた。

たくさんの・・・私の服。

それもお兄ちゃんが全部選んでくれた服だ。



こんなに買ってもらうのは申し訳ない。

でもお兄ちゃんの気持ちは・・・受け取りたい。



鈴(こんなときに言う言葉はちゃんと知ってる。)



私はお兄ちゃんの背中にそっとしがみついた。




鈴「・・・ありがとう、お兄ちゃん。」

翔平「--っ!・・・どういたしまして。あー・・やっぱ妹っていいな。」










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








そのあともいろんなお店を二人で覗き、アイスを買ってもらって歩きながら食べたりした。

日も傾き始めた頃、家に帰ってきた私は驚いた。

私の部屋に荷物がびっしり詰まれていたのだ。




鈴「なに・・これ・・?」




驚いてると、お父さんが部屋に入ってきた。




お父さん「届いてた高校の勉強道具と参考書一式、ノート型パソコン1台、あと、お母さんの遺品ね。」

鈴「わ・・私に・・?」

お父さん「うん。足りないものはちゃんと言うんだよ?遠慮なんかいらないから。」

鈴「ありがとうございます・・・。」




驚きながらも私は荷物を整理し始めた。

翔平お兄ちゃんに買ってもらった服も、クローゼットにしまっていく。




鈴「一気に衣装持ちさんになっちゃった・・・。」



かわいい服を見ながらニヤついてると部屋をノックする音が聞こえた。



コンコン・・・




恭吾「ドア、開けっ放しだぞ?鈴。」

鈴「あ、恭吾お兄ちゃん。」




荷物がたくさんある部屋に、恭吾お兄ちゃんは入ってきた。




恭吾「翔平もとうさんもいっぱい買ったなぁ。」

鈴「うれしいですっ。」

恭吾「そっか。・・・俺のも喜んでくれるといいけど。」



そう言って私に大きな袋を渡してくれた。



鈴「?」

恭吾「開けてみ?」



両手で抱えきれないほどの袋。

一旦、床に置いてから袋を開けた。

中身は・・・・


鈴「!!・・・おっきいうさぎ!」



ものすごく大きいうさぎのぬいぐるみだった。



恭吾「どうかな?」

鈴「ありがとうっ!恭吾お兄ちゃんっ。」

恭吾「どういたしまして。そろそろ晩御飯だから下りて来いよ?」

鈴「はいっ。」



私はベッドにうさぎを寝かせてからリビングに向かった。

ダイニングのテーブルに、グラタンと・・・大きなケーキが置かれている。



鈴「?」

お父さん「鈴、誕生日だったろ?おめでとう。」









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