お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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昔話2。

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お父さん「うん。二人とも問題ナシ。」




結果を聞いた俺と恭吾は病院をあとにした。

家までの道のりを歩きながら、恭吾が言う。




恭吾「かあさんと・・・同じ病気の人もいるよね。」

翔平「きっと・・・な。」

恭吾「治らずに・・・死ぬ?」

翔平「・・・おそらく。」



どこかで誰かが、かあさんと同じ病気で苦しんでるかもしれない。

そう考えるといてもたってもいられない気持ちにかられた。




翔平「俺、医者になる。かあさんと同じ病気の人を助けたい。」




俺の呟きに恭吾は目を見開きながら俺を見た。




恭吾「俺も・・・同じこと考えてた。」





その日、俺と恭吾は同じ道を歩むことを決めて家に帰った。








ーーーーーーーーーーーー




翌年の3月3日。




父さんと恭吾と俺の3人は、パソコンの前に座っていた。

日付が変わると同時にファイルを開く。



お父さん「・・・開いた!」




『2回目ね。ふふっ。

翔平と恭吾は大きくなったかしら?翔平は来年高校生ね。恭吾は将来何になるのかしら。

光一さんは相変わらず仕事に忙しいんじゃない?

さて、前のファイルに書いてあった『姿を消した理由』なんだけど・・・翔平、恭吾に妹が産まれてます。

あっ、ちゃんと光一さんの子供よ?妊娠がわかったら・・・きっと堕胎をさせられていた。産むと・・・私の命が無くなるから。

でもね、私、産みたかったの。私の病気は治らない。数年後に死んじゃうなら、あなたたちに家族を増やしてあげたかった。

妹の話は、また来年ね?じゃ。お母さん。』







翔平「・・・妹?」

恭吾「どっかにいるの?」

お父さん「・・・そういうことか。」




父さんは納得したようだった。



お父さん「いや、妊娠・出産は知らなかったよ?徐々に情報を開示することで僕たちは考えることになる。母さんが亡くなって寂しい気持ちもあるんだけど、前に進みやすくなるんだよ。」

翔平「まぁ・・・でも妹って・・・。」

恭吾「かあさんが出ていってから産んだなら・・・今、3歳?4歳?」

お父さん「誰かに預けてるのか・・・施設にいるのか・・・。」





それから父さんは仕事の合間に『妹』のことを調べた。

でも、俺は受験生。

医者の道に進むには行く高校は限られてる。

父さんは家庭をサポートしながら仕事もして、なかなか『妹』の情報は集められなかった。





忙しい毎日を送りながら数ヶ月。

俺は高校に合格し、3回目の情報開示日の3月3日を迎えた。





お父さん「開くよ?」

翔平「うん。」

恭吾「うん。」




カチッとクリックしてファイルを開いた。




『三回目ね。・・・妹の情報は集まった?今、あの子は五歳。すっごく可愛い子なのよ?

施設に預けてるの。その施設の名前は最後のファイルに入ってるわ。

そういえば光一さん、私の病気の治療法は見つかった?

まだだったら・・・ちょっと急いで?お願いね。お母さん。』





翔平「・・・短いな。」

恭吾「五歳か・・・。」

お父さん「治療法・・・。」




父さんは考え込み出した。



翔平「父さん?」

お父さん「うん?」

翔平「治療法って・・・見つかったの?」




俺の質問に、父さんは困った顔をしながら答えた。



お父さん「まだ・・・なんだけど。」

翔平「けど?」

お父さん「なんで、かあさんは治療法を急かす?」

恭吾「もう死んでるのに・・・。」





治療法を急かされる理由は分からなかったけど、俺たちはまた1年を忙しく過ごした。




それから毎年開示される情報に、妹の名前が現れ、DNA鑑定書が添付されていたりして、鈴のことを知っていった。





そして最後のファイルの開示日・・・





『これが最後のファイルね。

まだ鈴を見つけれてないでしょ?私が絶対に見つけれないようにしたもの。

でも、あなたたちの中で、鈴は大切な存在になってるハズ。

まだ姿こそは見てないけど愛しい存在になってるわよね?

4人で・・・仲良く暮らしてね?鈴を・・・迎えにいってあげて?

場所は『丘の上養護施設』。

今日で15歳になったのよ?


鈴はまだ発症してないはず。光一さん、よろしくお願いします。

翔平、恭吾、いいお兄ちゃんになってね?お母さん。』






お父さん「丘の上養護施設か・・・明日行ってみるよ。」

翔平「鈴も・・・かあさんと同じ病気?」

お父さん「かあさんの口ぶりじゃ、そうだろうね。詳しく検査しないとわからないけど。」

恭吾「会える・・・鈴に会える。」







父さんは翌朝に施設に向かって出発した。

まぁまぁ近い場所だったけど、見つけれなかったのはかあさんの腕と施設長の腕のせいだったみたいだ。

俺たちと鈴は対面し、家族として生活をスタートさせた。







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