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お兄ちゃんside・・・
鈴を寝かせてから病室を出た俺、翔平は1つ気になることがあった。
翔平「・・・父さん?」
朝比奈 光一「うん?」
翔平「鈴ってさ、・・・わかんなくなる・・・ってか、不安になるとだな、そうなると体が揺れるの?」
朝比奈 光一「うん。施設長からそう聞いてる。」
翔平「墓、行ったんだろ?・・・鈴、泣いた?」
朝比奈 光一「父さんの前では泣いてないけど・・・ほかは知らないなぁ。聞いとこうか?」
翔平「うん。お願い。」
年に1回開示される情報に『鈴が待ってる』って書いてあった。
母親の『死』を知らないまま12年。
泣かずに待ってたとしたら『心』の方が心配だ。
そう思った。
父さんは、ケータイを取り出して施設に電話をかけ始めた。
ピッ・・ピッ・・ピッ・・・
朝比奈 光一「もしもし?朝比奈です。・・・えぇ、鈴ちゃん目が覚めました。明日には帰れますので送ります。あと、鈴ちゃんって今までよく泣いたりしました?・・・はい・・・はい・・・分かりました。ありがとうございます。では。」ピッ・・
翔平「なんて?」
朝比奈 光一「『小さいころに、こけて泣いたくらい』だってさ。」
翔平「あー・・なら、ちゃんと泣かさないとな。」
『泣け』と言われて泣けるものじゃないからきっかけがあった時に。
そう決めて、俺は仕事に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーー
翌日・・・
寝れずに一晩中起きてた私、鈴。
この先をどうするかずっと考えてた。
鈴(優しそうなお父さんと、お兄ちゃんだった。)
お母さんを死なせてしまった原因の私を怒らなかった。
それどころか『一緒に暮らそう』って言ってくれた。
鈴(施設も出なきゃならない。なら・・・。)
そう考えてた時、病室のドアを叩く音が聞こえた。
コンコン・・・
鈴「?・・・はい。」
ガラガラと戸が開き、入ってきたのは『お父さん』だ。
朝比奈 光一「そろそろ行こうか?」
鈴「はい・・・。」
私は車に乗せてもらい、施設まで送ってもらった。
その途中の車内で・・・
鈴「あの・・・。」
朝比奈 光一「うん?」
鈴「私、一緒に暮らしていいんでしょうか・・・。」
朝比奈 光一「・・・鈴ちゃんさえよければね。うちは大歓迎だよ?」
鈴「あの・・・よろしく・・お願いします。」
私の言葉にお父さんは喜び、私は頭をこれでもかっていうくらい撫でられた。
『お父さん』「よろしくね、鈴。」
鈴「はい。・・・おとう・・さん。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
私が病院を退院してから1週間。
今日は施設を卒業する日で朝から荷物を運んでいた。
施設長「忘れ物は無い?あっても取りに来たらいいんだけど・・・。」
鈴「無いですよ。大丈夫。」
施設長「寂しくなるけど・・・幸せになってね。」
鈴「・・・お世話になりました。」
私は玄関前に荷物を置いて、迎えを待った。
その時、ふと、昔を思い出した・・・。
鈴(・・小さいとき、こうやってお母さん待ってたことがあったなぁ。)
お母さんが恋しくなったときはよく外で施設長と待っていた。
鈴「あ・・・来た。」
見たことある車が坂を上ってくる。
鈴「『お母さん』じゃなくて『お父さん』が私を迎えに来てくれた。」
施設以外での暮らしがどんなものなのか想像がつかない。
私はどきどきしながら車を待った。
お父さん「お待たせ、鈴。」
施設の前に車を横付けしたお父さん。
運転席から下りてきたのと同時に助手席と後部座席のドアも開いた。
ガチャ・・・
翔平「よ、鈴。」
恭吾「荷物はまとめたか?」
そういって下りてきたのは『お兄ちゃん』だ。
会うのは1週間ぶり2回目。
鈴「こ・・こんにちは。」
翔平「荷物はそこにあるので全部?」
鈴「はい。」
恭吾「んじゃ。俺、運ぶから挨拶してきな?」
そう言われ、私はお父さんと一緒に施設長のもとに行った。
お父さん「12年、お世話になりました。」
鈴「ありがとうございました。」
施設長「寂しくなるけど・・・また遊びにきてね?」
鈴「はいっ。」
少ししかない私の荷物を一瞬で積み終わったお兄ちゃんたちが私を待ってくれていた。
翔平「もういいのか?」
鈴「はい。」
恭吾「・・・来たくなったらいつでも言いな?連れてきてやるよ。」
鈴「ありがとうございます・・・。」
私は車に乗り込み、今まで生きてきた人生の大半を過ごした『家』と別れた。
鈴(今までありがとう、私の『家』。)
鈴を寝かせてから病室を出た俺、翔平は1つ気になることがあった。
翔平「・・・父さん?」
朝比奈 光一「うん?」
翔平「鈴ってさ、・・・わかんなくなる・・・ってか、不安になるとだな、そうなると体が揺れるの?」
朝比奈 光一「うん。施設長からそう聞いてる。」
翔平「墓、行ったんだろ?・・・鈴、泣いた?」
朝比奈 光一「父さんの前では泣いてないけど・・・ほかは知らないなぁ。聞いとこうか?」
翔平「うん。お願い。」
年に1回開示される情報に『鈴が待ってる』って書いてあった。
母親の『死』を知らないまま12年。
泣かずに待ってたとしたら『心』の方が心配だ。
そう思った。
父さんは、ケータイを取り出して施設に電話をかけ始めた。
ピッ・・ピッ・・ピッ・・・
朝比奈 光一「もしもし?朝比奈です。・・・えぇ、鈴ちゃん目が覚めました。明日には帰れますので送ります。あと、鈴ちゃんって今までよく泣いたりしました?・・・はい・・・はい・・・分かりました。ありがとうございます。では。」ピッ・・
翔平「なんて?」
朝比奈 光一「『小さいころに、こけて泣いたくらい』だってさ。」
翔平「あー・・なら、ちゃんと泣かさないとな。」
『泣け』と言われて泣けるものじゃないからきっかけがあった時に。
そう決めて、俺は仕事に戻った。
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翌日・・・
寝れずに一晩中起きてた私、鈴。
この先をどうするかずっと考えてた。
鈴(優しそうなお父さんと、お兄ちゃんだった。)
お母さんを死なせてしまった原因の私を怒らなかった。
それどころか『一緒に暮らそう』って言ってくれた。
鈴(施設も出なきゃならない。なら・・・。)
そう考えてた時、病室のドアを叩く音が聞こえた。
コンコン・・・
鈴「?・・・はい。」
ガラガラと戸が開き、入ってきたのは『お父さん』だ。
朝比奈 光一「そろそろ行こうか?」
鈴「はい・・・。」
私は車に乗せてもらい、施設まで送ってもらった。
その途中の車内で・・・
鈴「あの・・・。」
朝比奈 光一「うん?」
鈴「私、一緒に暮らしていいんでしょうか・・・。」
朝比奈 光一「・・・鈴ちゃんさえよければね。うちは大歓迎だよ?」
鈴「あの・・・よろしく・・お願いします。」
私の言葉にお父さんは喜び、私は頭をこれでもかっていうくらい撫でられた。
『お父さん』「よろしくね、鈴。」
鈴「はい。・・・おとう・・さん。」
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私が病院を退院してから1週間。
今日は施設を卒業する日で朝から荷物を運んでいた。
施設長「忘れ物は無い?あっても取りに来たらいいんだけど・・・。」
鈴「無いですよ。大丈夫。」
施設長「寂しくなるけど・・・幸せになってね。」
鈴「・・・お世話になりました。」
私は玄関前に荷物を置いて、迎えを待った。
その時、ふと、昔を思い出した・・・。
鈴(・・小さいとき、こうやってお母さん待ってたことがあったなぁ。)
お母さんが恋しくなったときはよく外で施設長と待っていた。
鈴「あ・・・来た。」
見たことある車が坂を上ってくる。
鈴「『お母さん』じゃなくて『お父さん』が私を迎えに来てくれた。」
施設以外での暮らしがどんなものなのか想像がつかない。
私はどきどきしながら車を待った。
お父さん「お待たせ、鈴。」
施設の前に車を横付けしたお父さん。
運転席から下りてきたのと同時に助手席と後部座席のドアも開いた。
ガチャ・・・
翔平「よ、鈴。」
恭吾「荷物はまとめたか?」
そういって下りてきたのは『お兄ちゃん』だ。
会うのは1週間ぶり2回目。
鈴「こ・・こんにちは。」
翔平「荷物はそこにあるので全部?」
鈴「はい。」
恭吾「んじゃ。俺、運ぶから挨拶してきな?」
そう言われ、私はお父さんと一緒に施設長のもとに行った。
お父さん「12年、お世話になりました。」
鈴「ありがとうございました。」
施設長「寂しくなるけど・・・また遊びにきてね?」
鈴「はいっ。」
少ししかない私の荷物を一瞬で積み終わったお兄ちゃんたちが私を待ってくれていた。
翔平「もういいのか?」
鈴「はい。」
恭吾「・・・来たくなったらいつでも言いな?連れてきてやるよ。」
鈴「ありがとうございます・・・。」
私は車に乗り込み、今まで生きてきた人生の大半を過ごした『家』と別れた。
鈴(今までありがとう、私の『家』。)
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