甘々彼氏はレスキュー隊!?溺愛の代償は本気の夜!?

すずなり。

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縁2。

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翌日午前9時。

仕事を終えた陽平さんが私の家にやってきた。

陽平さんの好きな銘柄のコーヒーを淹れてカウンター式のテーブルに置く。


「お仕事お疲れさま。」

「ありがと。・・・で?何があったの?」


私は昨日もらったメモを陽平さんに見せた。


「住所?・・・これ、消防署の近くじゃん。」

「うん。昨日見つけた不動産屋さんで一件紹介してもらったんだけど・・・・」


私は昨日のことを一通り、順を追って話した。

想像とは違う物件を紹介されたけど、理にかなってることを。


「へぇー・・・家賃が今より安くて広いのか・・・。」

「うん、購入ってなったらまた金額が違うから、計算しとくって言ってたんだけど・・・」

「そうなると固定資産税を払わないといけなくなる。でもここならそんなに高くないんじゃない?」

「そうなのかな・・・ちょっとわかんなくて・・・。」


家を買うとなった時に必要になるお金はちょっとわからない。

勉強不足だ。


「ここ、そんなに遠くないし、今から行ってみる?」


メモをひらひらさせながら陽平さんが聞いてきた。


「今から!?」

「中は見れないだろうけど、外観だけでも見れるよ?あと、周りも。」

「え・・え・・・!?」

「今9時すぎだろ?行って帰ってきて・・・ルルーシュの出勤には間に合うだろ。」

「え、でも陽平さん疲れてるんじゃ・・・」


24時間勤務明けの朝だ。

仮眠してるとはいえ、熟睡はしてない体で付き合ってもらうのは気が引けて仕方ない。


「大丈夫。5時間くらい運転するわけじゃないし、俺も見たいし?ほら、行こう。」


椅子から立ち上がった陽平さんは私の手を引いた。

もう行く流れになってしまい、私は鞄を手に陽平さんと一緒に家を出ることに・・。


「ちとせはその店の外観見た?写真とかで。」

「見た見た。古民家だった。」

「住所だけでも行けるけど一応ナビ入れるか。」


駐車場で車に乗り込んだあと、陽平さんは住所をナビに打ち込んだ。

そしてすぐに車を出してくれ、私たちは古民家に向かって出発した。


ーーーーー


「たぶんこの辺のハズ・・・。」


目的の古民家の近くまで来た私たちは車の窓からきょろきょろと辺りを見回していた。

大きい家がたくさん立ち並んでいるけど、そのほとんどに『空き家』と看板がかかっている。

歩いてる人も少なく、ひっそりした感じだ。


「あ、ちとせ、あそこじゃない?ナビはあそこなんだけど・・。」


そう言われて見ると、お店で見た写真の古民家があった。

2階建てでたくさんの植物に囲われてる『和』な家だ。


「あ!そうそう!ここ!」

「ちょっと待ってな、前に止めるから。」


陽平さんは家の前に車を寄せて止めてくれ、私たちは車から降りた。

家の正面に立つと、写真と同じ風景が目に映る。


「古そうに見えたけど・・・きちんとお手入れされてるみたい・・・。」


軒に蜘蛛の巣なんかもなく、落ち葉があまりない地面。

大きな木も剪定されていて、きれいな形を保っていた。


「道路も広いな。駐車場は・・・3台はいけそうだ。前面道路も狭いわけじゃないし、ここまでの道も特に難しいところもなかった。」

「3台・・・。」


急に現実味を帯びてくる感じに、胸がどきどきとうるさく鳴り始めた。

一人でするカフェは目立つことは避けなければいけない。

それでいて固定客を掴みたいところだけど、ここだったらそんなに人は来ないかもしれないのだ。


「ちとせ、ちょっとおせっかいかもしれないけど一ついい?」

「?・・なぁに?」

「席数を3席にしたらさ、駐車場の数と一緒になるから・・・満車になったら終了ってことにしたら席待ちの渋滞も起こらないんじゃない?」

「!!」


陽平さんの言う通りだった。

もし、ここでカフェをしたとして、仮に5組のお客さまがいらっしゃったら店の前が車でいっぱいになる可能性がある。

そうなればこの道は塞がってしまうことになってしまい、通ろうとした人の迷惑になってしまうのだ。

でも、3台で満席終了にしてしまえばあとから来たお客さまは諦めるしかなく、待つなんてことがない。


「それいいかも・・・。」

「まぁ、選択肢の一つとして考えといて?」

「うん・・・ありがとう・・・。」


急に想像がつき始めたカフェ計画。

このまま話を進めたい気持ちと、もう少し考えたほうがいいのかという気持ちが入り混じる。


(どうしよう・・・。)


外観を見ながら悩んでると、陽平さんが私の頭をぽんぽんっと叩いた。


「とりあえず今度内覧させてもらったら?それから考えても時間はあると思うよ?」

「・・・そうだね。」


私が悩んだ時、ゆっくり考えれるように言葉をくれる陽平さん。

年上だからか包容力もあって・・・相談すると安心がもらえる。


(『やっぱだめだった』なんてことにできないんだから・・・しっかり考えないと。)


私はじっと古民家を見つめた。

陽平さんは古民家の周りを見たり、少し遠くまで歩いて行ったりしてるようだったけど、ぐるぐるっと見回ってから戻って来た。


「ちとせ、そろそろ行こうか。」

「そだね、連れてきてくれてありがとう。」

「どういたしまして。」




この次の休みの日、私はあの不動産屋さんに足を運んだ。




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