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女子会。
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陽平さんの家に泊まらせてもらってから数週間の時間が流れた。
年は明け、新年ムードが治まって・・・通常運転の毎日だ。
エスカレーターの事故の時、特に恐怖感がなかった私は後遺症(?)に悩まされることなく普通の生活を過ごせている。
業者側からすぐに連絡があり、治療費は全額支払ってもらえた。
あのひ、陽平さんにもらったネックレスをつけて仕事に行き、休みの日は陽平さんとデート。
カフェ開業の勉強もしつつの毎日を送っていた。
そんなある日・・・
「あれ?メール?・・・美香ちゃんだ。」
仕事帰りに美香ちゃんからメールが来たのだ。
内容は・・・
『やっほー!今度の木曜日って暇??涼子さんと里美さんと一緒にランチかディナー行かない?返事待ってるねー!!』
と、いうものだった。
「木曜かー・・・休みだったような気がする。」
予定を開いて確認すると、仕事は休みになっていた。
そして陽平さんは仕事と書いてある。
「・・・まぁ、みんな集まるなら彼氏たちは仕事だよねぇ。」
私はランチでもディナーでもどちらでも行ける旨をメールで送った。
初めての『女子会』に心が躍る。
「楽しみだなー。」
そのあと美香ちゃんからメールが来て、ランチ兼ディナーをすることに決まった。
そして女子会当日・・・。
「ちとせちゃーん!こっちだよー!」
待ち合わせの場所であるご飯屋さんに行くと、美香ちゃんと涼子さんがもう来ていた。
手を振ってくれてる美香ちゃんのもとへ行き、私はコートを脱いで席に座った。
「すごいオシャレなレストランですねー・・・。」
今日のお店は里美さんセレクトらしく、小物がたくさん並べられてるお店だった。
各テーブルは木の板で仕切られていて、背の届かない高さに棚が作られてる。
その棚には置物や、スワッグ、洋風の本なんかが並べられていて、すべての席に違うものが飾られていた。
床も木が貼られていて、歩くとコツコツといい音が鳴ってる。
「ここね、里美と迅くんが出会った場所なんだよ?」
辺りを見回してる私に、涼子さんが言った。
「えぇ!?そうなんですか!?」
「正確に言うと私も司くんと出会った場所なの。・・・つまり『合コン』ってこと。」
「あ、なるほどー・・・。」
「まー、付き合うことになるとは思わなかったけどねー・・・ふふっ。」
涼子さんは笑いながら話をしてくれた。
このお店の奥にある大人数用のスペースで5対5の合コンをし、そこで宮下さんと佐々木さんに出会ったのだとか。
「あの時は喋ってて楽しいなーくらいにしか思ってなかったんだけどね?お持ち帰りされたのがきっかけで付き合うことになったのよねー・・。」
「お持ち帰っ・・!?」
「まぁお互いに仕事の理解もあるし、今となっては司くん以外の人なんてナイけどね。」
大人な話に驚きを隠せないでいると、里美さんが合流してきた。
「ごめんねー?待ったー?何の話してたの?」
コートを脱ぎながら涼子さんの隣に座った里美さん。
涼子さんは頬杖をつきながら里美さんを見ていた。
「あ、私と里美とあの子たちとの出会いを喋ってた。」
「え?あぁ、持ち帰りのやつ?」
「そそ。里美はどうだったっけ?」
「私はほら、あれだよあれ。合コンの何日か後に迅がケガして病院に来て・・・」
里美さんは佐々木さんが仕事中に負ったケガの治療のために訪れた病院で看護師をされていたそうで、そこで再会したのがきっかけでご飯に行くようになったらしい。
そして付き合うようになったのだとか・・・。
「お互い仕事が長引くことが多いし、突然駆り出されることもあるから理解がないと長続きしないのよ。休みも不定だから会えない時も多いし。」
「もう結婚しちゃったほうが楽かなとかも思うけどねぇ。」
そうしんみりしながら言う二人は、お互い目線を合わせた。
「でも一緒に住んだら住んだでさー・・・ついていけるかが心配だよね。」
「そうだよねー・・・それが問題・・・。」
悩むようにしていう二人の言葉の意味が分からず、私は口を開いた。
「え・・?転勤・・とかですか?」
消防士さんも転勤がある世界だ。
一緒に暮らすなら転勤の時、ついていかないといけないだろう。
「え?・・・あ!違う違う、転勤じゃなくて『夜』よ、『夜』。」
「へっ・・?」
「ちとせちゃん、陽平くんともうシた?」
「し・・・シ!?」
あまりにもオープンな話し方に驚きながらも、私は首を縦に振った。
すると涼子さんは私に顔を近づけてこそっと話し始めた。
「・・・大変じゃなかった?」
「!!」
「司くんも迅くんも、夜が凄すぎてついていけない時があるのよ。」
涼子さんの話に、里美さんに美香ちゃんも顔を近づけてこそっと話し始める。
「航太くんもすごいんですー・・終わりが見えないっていうか・・・」
「わかる・・!」
「でも嫌がることしないでしょ?ねぇ、ちとせちゃん?」
突然振られた内容に、どう答えたらいいのかわからず私は固まった。
「えっ・・・」
「陽平くん、ちとせちゃんのこと大事に抱きそうだなぁ・・・」
涼子さんにそう言われ、私は陽平さんとの夜を思い出した。
何度も何度も優しく体を触ってもらった夜を・・・。
「~~~~っ。」
「あらあらあら。ちとせちゃん、顔まっかだよ?」
熱くなる顔を両手で押さえると、涼子さんと里美さんはくすくす笑っていた。
「まー、まだ付き合って半年くらいでしょ?なら本気じゃないだろうからこれからが楽しみだねぇ。」
里美さんのその言葉に、私は顔を上げた。
「え!?」
「?・・・陽平くん、夜は本気じゃないと思うよ?迅も本気の夜は滅多にないし・・・」
「えぇっ・・!?」
驚く私に涼子さんも美香ちゃんも頷いて見てる。
「航太くんもいっつも余裕な感じ・・・」
「司くんもだよ。あの子たち体力化け物だからねぇ・・・。」
涼子さんたちの話の内容に、私は陽平さんに愛されてる時のことを思い出した。
いつもいつも・・・私ばかりいっぱいいっぱいになってることを・・。
「!?!?」
「あー・・まぁがんばれ。嫌がることとか無理やりってことはないと思うし。」
その言葉の通り、陽平さんは私の嫌がることはしないし、暴力なんて絶対ない。
喋り方も優しく、暴言なんてものもないのだ。
(でもすべて肯定するわけでもないから・・・)
そう考えると安心な気もするけど、今以上の快楽を与えられるとどうなってしまうかの不安と期待がよぎる。
「さ!この話はここまでにしといて、だらだらご飯食べながら喋ろうか!」
「そうだね!みんな何食べたい?メニューあるよー。」
そう言って涼子さんと里美さんは私と美香ちゃんに見えるようにメニューを見せてくれた。
「ガーリックトーストもおいしいんだけど、アヒージョもいいよ?」
「グラタンとか適当に頼む?・・・あ、支払いは気にしなくていいからね。今日はお姉さんたちの奢りだから。」
その言葉に私と美香ちゃんは口を揃えて言った。
「えっ!?」
「えっ!?」
「正確に言うと、あの子たちがカンパしてくれてね、あまり支払いはないのよ。」
今日、私たちが食事することを知ってる彼氏たちは、里美さんにお金を預けてくれたらしい。
『使い切れるように』と一律でお金を出してくれたらしく、オーバーする分を涼子さんと里美さんで支払うことに決めたのだとか。
「えぇぇ・・・・申し訳なさすぎるんですけど・・・。」
ここにいないのにお金だけ出してもらうことに抵抗を感じた私に、涼子さんと里美さんは手をひらひら振りながら言った。
「毎回じゃないだろうからいいんじゃない?」
「そうそう、次は内緒でご飯すればいいんだし。」
「えぇぇぇ・・・」
「気にするならさ、またクッキー作っていってあげてよ。」
「あれ、すっごくおいしかったって喜んでたよ?」
「!!」
前に差し入れを持って行ったことを思い出した私は、今日のこともお礼をすればいいことに気が付いた。
支払ってもらうのは申し訳ないけど、用意してもらったものを使わないのも好意を無駄にしてしまうのだ。
「わかりました!いっぱい作ります!」
そう言うと美香ちゃんが私の服をつんつんと引っ張った。
「美香も一緒に作っていい・・?美香、お料理ぜんっぜんできないから・・・。」
少し不安そうに私を覗き込む美香ちゃんがかわいくて、私は首を何度も縦に振った。
「うんうんっ!もちろん!一緒にいっぱい作ろうねっ。」
「うんっ!!」
私と美香ちゃんで差し入れをすることに決めたとき、里美さんが手を挙げて店員さんを呼んだ。
「すみませーん!オーダーお願いしまーす!」
「ちとせちゃんも美香ちゃんも里美も、今日はいっぱい楽しもうね!」
「はいっ。」
「はーいっ。」
来てくれた店員さんに、里美さんと涼子さんはたくさん注文をした。
おススメしてくれたガーリックトーストに、アヒージョ、クリームチーズとトマトのカナッペや串にささったサラダなんかがテーブルを埋め尽くしていく。
「ふぁ・・・」
「すごいー・・・。」
「ほらほら!いっぱい食べるわよー!」
「そして喋るわよー!」
取り皿を渡され、私たちの女子会が始まった。
涼子さんが取り分けてくれたサラダやアヒージョを食べながらみんなの仕事の話を聞いていく。
里美さんと涼子さんは同じ病院で働いてるらしくて、仕事内容や患者さんの話、それに風邪の予防の話なんかも聞かせてもらった。
美香ちゃんは大学生ということもあって、講義やサークルの話なんかを聞かせてくれて、みんな楽しそうというか充実した毎日を送ってることがよくわかった。
驚くような話もあったけど、実家を出てから女の子たちだけの集まりなんて無かった私は楽しくて仕方なかった。
陽平さんたちの仕事の話も聞かせてもらい、美香ちゃんと頷きっぱなしの時もあったのだ。
「ねぇねぇ、これからも時々こうやって集まらない?すっごく楽しいからさぁ。」
ガーリックトーストを手で割いて、口に入れながら里美さんが言った。
「いいね!また呼びかけてもいい?美香ちゃんとちとせちゃん。」
「もちろんですー!」
「来たいですっ!」
「オーケー。次はどこのお店にしようかなー。」
みんなでシェアして食べるご飯は楽しくておいしくて・・・私は時間を忘れて楽しんだ。
美香ちゃんや涼子さん、里美さんも終始笑っていて楽しそうだ。
(いつかみんなでうちの旅館に泊まってもらうのもいいなぁ・・・。)
その時は一番広い部屋を用意して、部屋食も豪華にして・・と、そんな未来を思い浮かべながら私は今日を過ごしていった。
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陽平さんの家に泊まらせてもらってから数週間の時間が流れた。
年は明け、新年ムードが治まって・・・通常運転の毎日だ。
エスカレーターの事故の時、特に恐怖感がなかった私は後遺症(?)に悩まされることなく普通の生活を過ごせている。
業者側からすぐに連絡があり、治療費は全額支払ってもらえた。
あのひ、陽平さんにもらったネックレスをつけて仕事に行き、休みの日は陽平さんとデート。
カフェ開業の勉強もしつつの毎日を送っていた。
そんなある日・・・
「あれ?メール?・・・美香ちゃんだ。」
仕事帰りに美香ちゃんからメールが来たのだ。
内容は・・・
『やっほー!今度の木曜日って暇??涼子さんと里美さんと一緒にランチかディナー行かない?返事待ってるねー!!』
と、いうものだった。
「木曜かー・・・休みだったような気がする。」
予定を開いて確認すると、仕事は休みになっていた。
そして陽平さんは仕事と書いてある。
「・・・まぁ、みんな集まるなら彼氏たちは仕事だよねぇ。」
私はランチでもディナーでもどちらでも行ける旨をメールで送った。
初めての『女子会』に心が躍る。
「楽しみだなー。」
そのあと美香ちゃんからメールが来て、ランチ兼ディナーをすることに決まった。
そして女子会当日・・・。
「ちとせちゃーん!こっちだよー!」
待ち合わせの場所であるご飯屋さんに行くと、美香ちゃんと涼子さんがもう来ていた。
手を振ってくれてる美香ちゃんのもとへ行き、私はコートを脱いで席に座った。
「すごいオシャレなレストランですねー・・・。」
今日のお店は里美さんセレクトらしく、小物がたくさん並べられてるお店だった。
各テーブルは木の板で仕切られていて、背の届かない高さに棚が作られてる。
その棚には置物や、スワッグ、洋風の本なんかが並べられていて、すべての席に違うものが飾られていた。
床も木が貼られていて、歩くとコツコツといい音が鳴ってる。
「ここね、里美と迅くんが出会った場所なんだよ?」
辺りを見回してる私に、涼子さんが言った。
「えぇ!?そうなんですか!?」
「正確に言うと私も司くんと出会った場所なの。・・・つまり『合コン』ってこと。」
「あ、なるほどー・・・。」
「まー、付き合うことになるとは思わなかったけどねー・・・ふふっ。」
涼子さんは笑いながら話をしてくれた。
このお店の奥にある大人数用のスペースで5対5の合コンをし、そこで宮下さんと佐々木さんに出会ったのだとか。
「あの時は喋ってて楽しいなーくらいにしか思ってなかったんだけどね?お持ち帰りされたのがきっかけで付き合うことになったのよねー・・。」
「お持ち帰っ・・!?」
「まぁお互いに仕事の理解もあるし、今となっては司くん以外の人なんてナイけどね。」
大人な話に驚きを隠せないでいると、里美さんが合流してきた。
「ごめんねー?待ったー?何の話してたの?」
コートを脱ぎながら涼子さんの隣に座った里美さん。
涼子さんは頬杖をつきながら里美さんを見ていた。
「あ、私と里美とあの子たちとの出会いを喋ってた。」
「え?あぁ、持ち帰りのやつ?」
「そそ。里美はどうだったっけ?」
「私はほら、あれだよあれ。合コンの何日か後に迅がケガして病院に来て・・・」
里美さんは佐々木さんが仕事中に負ったケガの治療のために訪れた病院で看護師をされていたそうで、そこで再会したのがきっかけでご飯に行くようになったらしい。
そして付き合うようになったのだとか・・・。
「お互い仕事が長引くことが多いし、突然駆り出されることもあるから理解がないと長続きしないのよ。休みも不定だから会えない時も多いし。」
「もう結婚しちゃったほうが楽かなとかも思うけどねぇ。」
そうしんみりしながら言う二人は、お互い目線を合わせた。
「でも一緒に住んだら住んだでさー・・・ついていけるかが心配だよね。」
「そうだよねー・・・それが問題・・・。」
悩むようにしていう二人の言葉の意味が分からず、私は口を開いた。
「え・・?転勤・・とかですか?」
消防士さんも転勤がある世界だ。
一緒に暮らすなら転勤の時、ついていかないといけないだろう。
「え?・・・あ!違う違う、転勤じゃなくて『夜』よ、『夜』。」
「へっ・・?」
「ちとせちゃん、陽平くんともうシた?」
「し・・・シ!?」
あまりにもオープンな話し方に驚きながらも、私は首を縦に振った。
すると涼子さんは私に顔を近づけてこそっと話し始めた。
「・・・大変じゃなかった?」
「!!」
「司くんも迅くんも、夜が凄すぎてついていけない時があるのよ。」
涼子さんの話に、里美さんに美香ちゃんも顔を近づけてこそっと話し始める。
「航太くんもすごいんですー・・終わりが見えないっていうか・・・」
「わかる・・!」
「でも嫌がることしないでしょ?ねぇ、ちとせちゃん?」
突然振られた内容に、どう答えたらいいのかわからず私は固まった。
「えっ・・・」
「陽平くん、ちとせちゃんのこと大事に抱きそうだなぁ・・・」
涼子さんにそう言われ、私は陽平さんとの夜を思い出した。
何度も何度も優しく体を触ってもらった夜を・・・。
「~~~~っ。」
「あらあらあら。ちとせちゃん、顔まっかだよ?」
熱くなる顔を両手で押さえると、涼子さんと里美さんはくすくす笑っていた。
「まー、まだ付き合って半年くらいでしょ?なら本気じゃないだろうからこれからが楽しみだねぇ。」
里美さんのその言葉に、私は顔を上げた。
「え!?」
「?・・・陽平くん、夜は本気じゃないと思うよ?迅も本気の夜は滅多にないし・・・」
「えぇっ・・!?」
驚く私に涼子さんも美香ちゃんも頷いて見てる。
「航太くんもいっつも余裕な感じ・・・」
「司くんもだよ。あの子たち体力化け物だからねぇ・・・。」
涼子さんたちの話の内容に、私は陽平さんに愛されてる時のことを思い出した。
いつもいつも・・・私ばかりいっぱいいっぱいになってることを・・。
「!?!?」
「あー・・まぁがんばれ。嫌がることとか無理やりってことはないと思うし。」
その言葉の通り、陽平さんは私の嫌がることはしないし、暴力なんて絶対ない。
喋り方も優しく、暴言なんてものもないのだ。
(でもすべて肯定するわけでもないから・・・)
そう考えると安心な気もするけど、今以上の快楽を与えられるとどうなってしまうかの不安と期待がよぎる。
「さ!この話はここまでにしといて、だらだらご飯食べながら喋ろうか!」
「そうだね!みんな何食べたい?メニューあるよー。」
そう言って涼子さんと里美さんは私と美香ちゃんに見えるようにメニューを見せてくれた。
「ガーリックトーストもおいしいんだけど、アヒージョもいいよ?」
「グラタンとか適当に頼む?・・・あ、支払いは気にしなくていいからね。今日はお姉さんたちの奢りだから。」
その言葉に私と美香ちゃんは口を揃えて言った。
「えっ!?」
「えっ!?」
「正確に言うと、あの子たちがカンパしてくれてね、あまり支払いはないのよ。」
今日、私たちが食事することを知ってる彼氏たちは、里美さんにお金を預けてくれたらしい。
『使い切れるように』と一律でお金を出してくれたらしく、オーバーする分を涼子さんと里美さんで支払うことに決めたのだとか。
「えぇぇ・・・・申し訳なさすぎるんですけど・・・。」
ここにいないのにお金だけ出してもらうことに抵抗を感じた私に、涼子さんと里美さんは手をひらひら振りながら言った。
「毎回じゃないだろうからいいんじゃない?」
「そうそう、次は内緒でご飯すればいいんだし。」
「えぇぇぇ・・・」
「気にするならさ、またクッキー作っていってあげてよ。」
「あれ、すっごくおいしかったって喜んでたよ?」
「!!」
前に差し入れを持って行ったことを思い出した私は、今日のこともお礼をすればいいことに気が付いた。
支払ってもらうのは申し訳ないけど、用意してもらったものを使わないのも好意を無駄にしてしまうのだ。
「わかりました!いっぱい作ります!」
そう言うと美香ちゃんが私の服をつんつんと引っ張った。
「美香も一緒に作っていい・・?美香、お料理ぜんっぜんできないから・・・。」
少し不安そうに私を覗き込む美香ちゃんがかわいくて、私は首を何度も縦に振った。
「うんうんっ!もちろん!一緒にいっぱい作ろうねっ。」
「うんっ!!」
私と美香ちゃんで差し入れをすることに決めたとき、里美さんが手を挙げて店員さんを呼んだ。
「すみませーん!オーダーお願いしまーす!」
「ちとせちゃんも美香ちゃんも里美も、今日はいっぱい楽しもうね!」
「はいっ。」
「はーいっ。」
来てくれた店員さんに、里美さんと涼子さんはたくさん注文をした。
おススメしてくれたガーリックトーストに、アヒージョ、クリームチーズとトマトのカナッペや串にささったサラダなんかがテーブルを埋め尽くしていく。
「ふぁ・・・」
「すごいー・・・。」
「ほらほら!いっぱい食べるわよー!」
「そして喋るわよー!」
取り皿を渡され、私たちの女子会が始まった。
涼子さんが取り分けてくれたサラダやアヒージョを食べながらみんなの仕事の話を聞いていく。
里美さんと涼子さんは同じ病院で働いてるらしくて、仕事内容や患者さんの話、それに風邪の予防の話なんかも聞かせてもらった。
美香ちゃんは大学生ということもあって、講義やサークルの話なんかを聞かせてくれて、みんな楽しそうというか充実した毎日を送ってることがよくわかった。
驚くような話もあったけど、実家を出てから女の子たちだけの集まりなんて無かった私は楽しくて仕方なかった。
陽平さんたちの仕事の話も聞かせてもらい、美香ちゃんと頷きっぱなしの時もあったのだ。
「ねぇねぇ、これからも時々こうやって集まらない?すっごく楽しいからさぁ。」
ガーリックトーストを手で割いて、口に入れながら里美さんが言った。
「いいね!また呼びかけてもいい?美香ちゃんとちとせちゃん。」
「もちろんですー!」
「来たいですっ!」
「オーケー。次はどこのお店にしようかなー。」
みんなでシェアして食べるご飯は楽しくておいしくて・・・私は時間を忘れて楽しんだ。
美香ちゃんや涼子さん、里美さんも終始笑っていて楽しそうだ。
(いつかみんなでうちの旅館に泊まってもらうのもいいなぁ・・・。)
その時は一番広い部屋を用意して、部屋食も豪華にして・・と、そんな未来を思い浮かべながら私は今日を過ごしていった。
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