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誤解。

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家の最寄り駅まで帰ってきた私は、ロータリーでスマホを見ていた。

『今日帰る』と陽平さんにメールで連絡したところ、『駅まで迎えに行く』と返事が来ていたのだ。


「時間も伝えてあったから・・・もう来てるかな?」


そう思って辺りを見回すと、知った車が視界に入った。

あれは・・・陽平さんの車だ。


「久しぶりに会うからちょっと緊張しちゃう・・・。」


そんなことを思いながら車に近づいて助手席側から覗き込むと、陽平さんが手を振ってくれていた。

ドアを開けて足元に荷物を置かせてもらう。


「お帰り、ちとせ。」

「ただいま、陽平さん。迎えに来てくれてありがとう。・・・お仕事は今日はお休みだったの?」

「あぁ、今朝終わったから今日は非番。明日は休みだよ。」

「あー・・・私、明日はお昼からルルーシュで仕事なの・・・。」


ゆっくり会えないことを残念に思ってると、陽平さんが私の手をぎゅっと握ってきた。


「どしたの?」

「ちとせ、ちょっといろいろ聞きたいことあるんだけど・・・いい?」

「?・・・いいけど・・・荷物も解きたいから、よかったらうち来る?」


いろいろ聞きたいことがあるなら外で聞くよりうちで聞くほうがいいかと思って提案した。

陽平さんも連日仕事だったし、ゆっくりしてもらいたい思いもあったのだ。


「!!・・・行きたい。」

「ふふ。・・・あ、陽平さん、ごはん食べた?私、まだだから家で作ろうと思うんだけど・・・」


今の時間は午後7時。

帰ってくる道中で食べてきてもよかったけど、電車の乗り継ぎがちょうどいいタイミングで来てくれてて食べる時間がなかったのだ。


「食べる・・!ちとせのご飯、食べてみたい・・!!」


思いのほか食い気味に答えてくれた陽平さん。

その姿に少し笑ってしまう。


「ふふっ・・・!じゃあ、私のお家まで送っていただいてもよろしいでしょうか?」

「もちろん。安全運転でお送りさせていただきます。」


そう言って陽平さんは車を走らせ始めた。

会話があまりにも面白くて私が止まらない私に、陽平さんもずっと笑顔でいてくれてる。


(こんな時間がずっと続いたら・・・幸せだなー・・。)


そんなことを思いながら、久しぶりに会えた陽平さんとの時間を楽しんだ。

景色を早送りするように走る車は、あっという間に家に着く。


「ちとせ、駐車場とかある?なければ近くのコインパーキングに止めてくるけど・・・」

「あ、あるある。あるの。伝えるの忘れてたんだけど・・・」


私はアパートについてる駐車場の場所を陽平さんに伝えた。

アパートから住宅2軒分ほど開けた先に、専用の駐車場があるのだ。


「ここか。離れてるから気づかなかったな。」

「今、住人さんも少ないから、車も少ないんだよ。・・・あ、1番がうちの駐車場だよ。」

「リョーカイ。」


3階建てのアパートだけど、1階に住んでるのは私だけだ。

2階に1軒と3階に4軒住んでるらしいけど、姿はあまり見たことがなかった。


「え、そんな少ないの?」

「うん。この前引っ越して行ったから・・・。多分ここより安いアパートに行ったんじゃないかな。結構高いから・・・。」


そんな話をしてるうちに車は駐車場に止まった。

車から降りると陽平さんが荷物を持ってくれ、私たちは歩き始めた。

もう暗くなってしまってる道でも、陽平さんと一緒だったら怖くもなんともない。


「2週間も空けてたからちょっと埃っぽいかもしれないけど・・・ごめんね?」


そう言いながら私は鞄からカギを取り出した。

もう見えてる玄関の扉にカギを向ける。


「大丈夫。掃除するなら俺も手伝うよ?」

「ふふ、ありがとう。とりあえずご飯の準備しながら考えようかな?」


私は玄関のカギを開け、扉を開けた。


「電気つけるからちょっと待ってー・・・。」


靴を脱ぎ、一歩入ったところで手を伸ばす。

そして壁にある電気のスイッチを手探りで探し、パチッとつけた。


「え・・!?」



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