12 / 52
雑貨デート。
しおりを挟む
ーーーーー
陽平side
夏目さんが署に差し入れを持って来てくれてから数日が経った火曜日。
俺は久しぶりにルルーシュを訪れていた。
エアコンのきいた店内から、外の熱そうな太陽を眺めてる。
「高森さん、お待たせいたしました。アイスブレンドコーヒーです。」
「ありがとう。」
笑顔でテーブルにアイスコーヒーを置いてくれた夏目さんを見てると、少し離れた席にいた客が彼女を呼んだ。
「ねぇねぇ!ちとせちゃん!」
「?・・・どうしたんですか?中川さま。」
彼女はそのお客のテーブルまで行き、向かいに腰かけた。
「ほら!これ見て!!」
お客は鞄からチラシのようなものを取り出して、夏目さんに見えるようにテーブルに置いた。
「!!・・・『北欧雑貨フェア』!!」
「そう!好きでしょ?」
「大好きですぅっ・・!」
テーブルに置かれたチラシを手に取り、まじまじと見つめる彼女。
遠目から見ても目が輝いてるのが見える。
「予定がつくならどう?今週末の金・土・日でやってるよ?」
「うーん・・行きたいんですけどちょっと場所が遠そうですね・・・。」
「あー・・フェアの場所の最寄り駅はここから40分くらいだけど下りてから遠いかー・・。」
「ですね、下車後も徒歩30分って書いてるんで・・・。」
夏目さんは残念そうに微笑み、チラシをお客に返した。
同じく残念そうにそのチラシを受け取ったお客は、そのチラシを鞄にしまってる。
その様子を見て俺は、二人に声をかけた。
「・・・あの、夏目さんが金曜日行けるなら、俺、車出せるんだけど・・・どう?」
俺の言葉に夏目さんは驚いた顔をしていた。
お客も驚いた表情をしていたけど、すぐに嬉しそうな表情に変わった。
「やっ・・それは申し訳ないので・・・・」
彼女が『断りの言葉』を言おうとしたとき、その声を遮るようにしてお客が口を開いた。
「いいじゃない!連れて行ってもらいなよ!」
「えぇぇっ・・?」
「金曜は休みなの?」
「休み・・ですけど・・・」
「ならいいじゃない!」
「でも高森さんがご迷惑なんじゃ・・・」
彼女の言葉に、お客は食い入るように俺と夏目さんを見た。
「え!?知り合いなの!?」
「知り合い・・・というか、友達の彼氏の同僚の方で・・・」
夏目さんは大まかに俺との関係を説明してくれた。
バーベキューや海も一緒に行ったことも・・・。
「なら知らない関係でもないんだしいいんじゃない?」
「でも・・・」
夏目さんにしては、珍しく煮え切らない態度に不安を覚えた俺は恐る恐る聞いてみた。
「俺と出掛けるのは・・・いや?」
「---っ。・・・嫌とかじゃなくてですね・・・えっと・・・」
夏目さんは言うか言わないかを悩むようなそぶりを見せた後、両手で自分の顔を隠した。
「雑貨のショッピングは夢中になっちゃうんですぅぅ・・・」
「え?」
彼女はショッピングが大好きらしく、好きな雑貨なら何時間でもウィンドウショッピングをしてられるらしい。
それに人を付き合わせるのが申し訳ないのだと話してくれた。
「特に北欧雑貨が好きで・・・これからのシーズンで欲しいものとかありますし、絶対時間かかっちゃうと思うんで一人のほうが・・・」
そう言って彼女が俺に頭を下げようとした。
でもそれくらいのことなら『迷惑』の部類に入らない。
「俺は大丈夫だけど?」
「・・・え?」
「何時間でも付き合うよ?俺もウィンドウショッピングは好きだし。」
「え?え?」
困惑する夏目さんに追い打ちをかけるようにお客が口を開いた。
「じゃあ決まりね!金曜日の朝10時!ちとせちゃんちまで迎えに行ってあげて!」
「リョーカイです。」
「えぇぇ・・・!?」
こうして俺は運よく夏目さんとの『デート』の約束をとりつけた。
この機会に、署に持って来てくれた差し入れのお礼もしたいところだ。
(楽しみだ。)
でもその金曜日に夏目さんへの想いが加速してしまうなんて・・・
この時は思ってもいなかった。
陽平side
夏目さんが署に差し入れを持って来てくれてから数日が経った火曜日。
俺は久しぶりにルルーシュを訪れていた。
エアコンのきいた店内から、外の熱そうな太陽を眺めてる。
「高森さん、お待たせいたしました。アイスブレンドコーヒーです。」
「ありがとう。」
笑顔でテーブルにアイスコーヒーを置いてくれた夏目さんを見てると、少し離れた席にいた客が彼女を呼んだ。
「ねぇねぇ!ちとせちゃん!」
「?・・・どうしたんですか?中川さま。」
彼女はそのお客のテーブルまで行き、向かいに腰かけた。
「ほら!これ見て!!」
お客は鞄からチラシのようなものを取り出して、夏目さんに見えるようにテーブルに置いた。
「!!・・・『北欧雑貨フェア』!!」
「そう!好きでしょ?」
「大好きですぅっ・・!」
テーブルに置かれたチラシを手に取り、まじまじと見つめる彼女。
遠目から見ても目が輝いてるのが見える。
「予定がつくならどう?今週末の金・土・日でやってるよ?」
「うーん・・行きたいんですけどちょっと場所が遠そうですね・・・。」
「あー・・フェアの場所の最寄り駅はここから40分くらいだけど下りてから遠いかー・・。」
「ですね、下車後も徒歩30分って書いてるんで・・・。」
夏目さんは残念そうに微笑み、チラシをお客に返した。
同じく残念そうにそのチラシを受け取ったお客は、そのチラシを鞄にしまってる。
その様子を見て俺は、二人に声をかけた。
「・・・あの、夏目さんが金曜日行けるなら、俺、車出せるんだけど・・・どう?」
俺の言葉に夏目さんは驚いた顔をしていた。
お客も驚いた表情をしていたけど、すぐに嬉しそうな表情に変わった。
「やっ・・それは申し訳ないので・・・・」
彼女が『断りの言葉』を言おうとしたとき、その声を遮るようにしてお客が口を開いた。
「いいじゃない!連れて行ってもらいなよ!」
「えぇぇっ・・?」
「金曜は休みなの?」
「休み・・ですけど・・・」
「ならいいじゃない!」
「でも高森さんがご迷惑なんじゃ・・・」
彼女の言葉に、お客は食い入るように俺と夏目さんを見た。
「え!?知り合いなの!?」
「知り合い・・・というか、友達の彼氏の同僚の方で・・・」
夏目さんは大まかに俺との関係を説明してくれた。
バーベキューや海も一緒に行ったことも・・・。
「なら知らない関係でもないんだしいいんじゃない?」
「でも・・・」
夏目さんにしては、珍しく煮え切らない態度に不安を覚えた俺は恐る恐る聞いてみた。
「俺と出掛けるのは・・・いや?」
「---っ。・・・嫌とかじゃなくてですね・・・えっと・・・」
夏目さんは言うか言わないかを悩むようなそぶりを見せた後、両手で自分の顔を隠した。
「雑貨のショッピングは夢中になっちゃうんですぅぅ・・・」
「え?」
彼女はショッピングが大好きらしく、好きな雑貨なら何時間でもウィンドウショッピングをしてられるらしい。
それに人を付き合わせるのが申し訳ないのだと話してくれた。
「特に北欧雑貨が好きで・・・これからのシーズンで欲しいものとかありますし、絶対時間かかっちゃうと思うんで一人のほうが・・・」
そう言って彼女が俺に頭を下げようとした。
でもそれくらいのことなら『迷惑』の部類に入らない。
「俺は大丈夫だけど?」
「・・・え?」
「何時間でも付き合うよ?俺もウィンドウショッピングは好きだし。」
「え?え?」
困惑する夏目さんに追い打ちをかけるようにお客が口を開いた。
「じゃあ決まりね!金曜日の朝10時!ちとせちゃんちまで迎えに行ってあげて!」
「リョーカイです。」
「えぇぇ・・・!?」
こうして俺は運よく夏目さんとの『デート』の約束をとりつけた。
この機会に、署に持って来てくれた差し入れのお礼もしたいところだ。
(楽しみだ。)
でもその金曜日に夏目さんへの想いが加速してしまうなんて・・・
この時は思ってもいなかった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
271
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる