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救助。

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満員に近いエレベーターの中。

壁に寄りかかるようにして1階に着くのを待った。



義母「大丈夫?」

ひなた「大丈夫ですよ。そんな心配しないでください。」




お義母さんの前で倒れるわけにはいかない。




ひなた(救護室でちょっと休ませてもらえば・・・マシになるハズ。)





そう思いながらエレベーターに乗ってると、突然エレベーターが止まった。





ガタンっ・・・!!





ひなた「?」

乗客「・・・なんだ?」

乗客「どうした?」





ざわつくエレベーターの中。

誰かが非常用の連絡ボタンを押した。




ピーッ・・・ピーッ・・・ピーッ・・・





『はい、どうかされましたか?』

乗客「なんか止まっちゃったみたいなんですけど・・・。」

『すぐに対処いたします。しばらくお待ちください。』





そのアナウンスが流れ、乗客たちはイラつきながらも待った。




乗客「ちっ・・・まだかよ・・・。」

乗客「遅いなぁ・・・。」

ひなた「・・・・・・。」





数分経ったのち、エレベーターからアナウンスが流れた。




『電気系統の不具合のため、停止したようです。こちらからの操作もきかないので、外部より救助に向かいます。今しばらくお待ちください。』

乗客「おいおい、まじかよ・・・。」

乗客「いつになったら出れるのよ・・・。」





ざわつくエレベーター内。

でもそんな声が遠くに聞こえるくらい、私の体調は悪化していった。





ひなた「はぁ・・・はぁ・・・う・・・。」

義母「・・・ひなたちゃん?大丈夫!?」

ひなた「だい・・・じょぶ・・・。」





立ってるのも辛くなり、私はエレベーターの隅っこで座り込んた。





義母「降りたらすぐに救護室に行こうね?」



私の背中を擦ってくれるお義母さん。

遠のいていきそうな意識をなんとかとどめながら、降りれるようになるのを待った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





閉じ込められて30分後・・・





ガンガンッ・・・!ガンガンッ・・・!





大きな音が鳴り、エレベーターのドアが少し開いた。





翔馬「救助隊です!もう少しで開きますからもうちょっと待ってください!」

ひなた(翔馬さんの声・・・。)





エレベーターに響く機械の音。

ほどなくして開いたであろうドアに、乗客たちは一斉に向かった。




乗客「俺が先だ・・・!」

乗客「子供が先でしょ!?」

乗客「私が先に降りるわ!」




そんな中、お義母さんが叫ぶ。




義母「ここに病人がいるんですっ。先に降ろしてくださいっ。」




必死にお義母さんは叫ぶけど、機械の音と乗客たちの声に書き消されてしまって届かなかった。




義母「どうして誰も聞いてくれないの・・・。」

ひなた「お義母さん・・・たぶん、優弥さんがいる・・・。」

義母「優弥が!?」

ひなた「だから・・・最後がいい・・・。呼ばないで・・・。」

義母「でも・・・。」

ひなた「お願い・・・。仕事の邪魔は・・・できな・・・・・」





必死にお義母さんに伝えたあと、私は意識を手放した。




義母「ひなたちゃん?・・・ひなたちゃん!?」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






優弥side・・・





署に出勤命令が入って、俺たちはショッピングモールに来た。

電気系統の不具合でエレベーターが止まったらしい。



優弥「中、何人くらいいるんだ?」

翔馬「20人近くって聞いてる。」

宏斗「おー・・・でかいエレベーターだな。」

航平「モール自体がでかいからなー。」





機械を使ってこじ開けていく。

幸いにも階のあるとこで止まったようで、救出には苦労しなさそうだった。




翔馬「そろそろ開くぞー!」

優弥「出てきた人を保護。体調を聞いて救急車に乗せるか判断しろ。念のため、全員の連絡先を聞いとくように。」

宏斗「リョーカイ!」

航平「リョーカイ!」





ガコンッ・・・と、機械が止まり、俺たちは力でエレベーターのドアをこじ開けた。

中から『我先に』と人があふれでてくる。




翔馬「慌てないでください!署員の指示に従ってください!」

優弥「気分の悪い人はおられませんか!?」

宏斗「一旦こちらにお願いします!」

航平「押さないでくださいっ!」





エレベーターから出てきた人を必死に誘導してると、微かに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。




母「・・・弥っ!」

優弥「?・・・翔馬、呼んだ?」

翔馬「いや?」

優弥「気のせいか?」




そう思ったとき、今度は確実に聞こえた。




母「優弥っ!!」

優弥「!?・・・かぁさん?」




声のするほう・・・エレベーターの中を覗き込む。

そこには母親と・・・ぐったり倒れてるひなたの姿があった。




優弥「・・・ひなたっ!!」

翔馬「え!?」








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