上 下
58 / 68

勘違い・・?

しおりを挟む


かえでside・・・




ドレス姿から普段着に戻った私は離れの家に向かって歩いていた。



かえで「もー・・慶さんにバレちゃうなんて・・・。」



出来ればぎりぎりまで内緒にして『どう!?』って見せたかった。

でも、見られたものは仕方ない。



かえで「結婚式かー・・・私、呼べる人いないんだけどどうしよう。」



両親はいない。

友達も・・・。

仕事も辞めたし・・・。



かえで「その辺も相談かな。」



そんなことを考えながら、私は離れの家の玄関を開けた。



ガラガラガラ・・・



かえで「ただいまー。」

慶「おかえりー。」



部屋の方から聞こえてきた慶さんの声。

私はその部屋に足を進め、ふすまをあけた。



かえで「慶さん。ちょっと相談があるんだけど・・・。」



そう言って中に入ると、慶さんが私を手招きしてるのが見えた。



かえで「?」

慶「かえで。ちょっとおいで?」

かえで「?・・・うん。」



呼ばれるがままに近づいていき、私は慶さんの前に座った。

机もなく、本当に目の前に座った。




慶「2カ月も俺に隠し事?」

かえで「・・・え?」

慶「隠し事はいいとして、本買った時に見せてくれたの・・・ダミーだったんだ?」

かえで「・・・・!?」




にこにこ笑ってる慶さん。

その笑顔に・・・恐怖を感じた。




かえで「やっ・・騙してはいないよ!?」

慶「・・・嘘だな。」

かえで「ほんとだってば・・・!」

慶「だって前に見せてくれた本。『下着』の本だった。」




少しむくれたように言い、私の目をじっと見てる。

私は立ち上がってタンスを開け、中に隠してあった本を取り出した。



かえで「これでしょ?」



見せたのは『女の子のかわいい下着特集』の雑誌だ。




慶「・・・そう。でも見てたのは結婚関係なんだろ?これは俺を騙すためのダミー。」

かえで「違うよ?よく見て?」



ぱらぱらとページをめくり、私は慶さんに本を見せた。

そこに載ってるのは・・・




慶「『ブライダル専用の下着』・・・!?」

かえで「そうだよ?普通の下着じゃやっぱり心もとないから・・・でもどんなのかわかんないし・・・。」

慶「そんなのあるのか・・・。」

かえで「一人で浮かれてるの見られたら恥ずかしいし・・・ナイショにしてた。」

慶「そんな可愛い姿・・・見たかったのに・・・。」

かえで「え?」



慶さんは私から本を取り上げた。

ひょいと抱え上げ、膝に乗せられた。。



慶「式さ・・・どうする?かえでも俺も両親がいないんだけど・・・どこか行きたいとこある?」

かえで「うーん・・・」



行きたいとこは・・・そりゃあ考えたらたくさん出てくる。

でも、招待したい人のことを考えると・・・



かえで「私はここがいいかなー・・・?」



そう言うと慶さんは驚いた顔をして私を見た。



慶「・・・ここ!?」

かえで「うん。みんなにお世話になってるから・・・。」





招待するならここのみんなしかない。

そう思って慶さんに提案したのだ。



慶「よりにもよってここか・・・。」

かえで「慶さんがどこかあるなら・・・」



そう言うと慶さんは私を膝から下ろした。




慶「俺は行きたいとこがある。・・・でもそれは二人で行きたいから・・・あー・・・牧師呼んで式だけここでするか。」

かえで「・・・いいの?」

慶「ここを気に入ってくれてることは嬉しいしな。でも旅行は二人で行く。いい?」

かえで「はいっ。」




その日から始まった結婚式の準備。

リョウさんや春斗さんも驚いたけど、準備を手伝ってくれることになった。

料理は全て私が作る。






ーーーーーーーーーー








結婚式の準備も着々と進み、私は料理の買い出しにスーパーに来ていた。

春斗さんと一緒に買い物をしてる。



春斗「・・・お嬢・・どれだけ作る気だ?」



カゴに食材を放り込んでると、春斗さんが聞いてきた。



かえで「えーと・・・ローストビーフと、サラダ、パン焼いて・・魚はどうしようか・・。あとはデザートと・・。」

春斗「そんな作んなくていいんじゃないか?」

かえで「みんなにはお世話になってるから作りたいの。」

春斗「・・・そっか。」



たくさん買い物をして、私たちは家に戻った。

春斗さんは食材を冷蔵庫にしまっていってくれて、私は料理を作るのにかかる時間を計算する。




かえで「温かい状態で出すのは無理なんだよね。私が式に出てるんだし・・・。だからー・・・えーと・・・。」




ぶつぶつ言いながらノートに書き込んでると、慶さんがキッチンに入ってきた。



慶「料理人呼ぶ?」

かえで「・・・作りたい。」

慶「そう言うと思った。」




『お礼』も兼ねて作りたい料理。

私ができる最大限のことをしたい。




かえで「あ、そういえば行きたいとこってどこなの?」



慶さんが言ってた旅行のこと。

持ち物とかを考えたら行き先は聞いておきたいところだ。



慶「・・・ナイショ。」

かえで「ナイショって・・・荷物とかの用意しなきゃいけないんだけど・・・。」

慶「荷物はハンカチとメイク道具くらいでいいよ。出発は式のあと。帰宅は2週間後だ。」

かえで「・・・はい!?」

慶「服とかはいらない。オッケー?」





こう決めてしまったら慶さんは何を言っても聞かないことを私は知ってる。




かえで「わ・・わかった・・・。」

慶「ん。」

かえで「・・・。」




そのままキッチンを出て行った慶さん。

その姿を呆然と見てると、春斗さんが口を開いた。



春斗「まー・・・頑張れ。」

かえで「なにを!?」

春斗「新婚旅行な。がんばれー。」

かえで「・・・春斗さんは行き先知ってるの?」




ペンをくるくる回しながら聞いた。




春斗「知ってる。でも言わない。」

かえで「えぇぇ・・・教えてよー・・。」

春斗「俺も自分の命が大事だからな。それは言わない。・・・ほら、食材を冷蔵庫に入れたぞ?」

かえで「うぅぅ・・・ありがとう・・。」




春斗さんもキッチンから出て行ってしまい、私一人取り残されてしまった。




かえで「一体どこに行く気なんだろう・・・。」



そんなことを思いながらも時間は過ぎていく。

みんなのご飯を作る毎日に加えて結婚式の準備。

他にもいろいろすることはあって・・・あっという間に式の当日になってしまった。

緊張の一日が始まる・・・。
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

御曹司とお試し結婚 〜3ヶ月後に離婚します!!〜

鳴宮鶉子
恋愛
御曹司とお試し結婚 〜3ヶ月後に離婚します!!〜

再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです

星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。 2024年4月21日 公開 2024年4月21日 完結 ☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

処理中です...