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結婚式の話。
しおりを挟む慶side・・
かえでが俺に『ありがとう』って言った。
もう何度も言われてるけど・・・俺はその『ありがとう』を受け入れられずにいた。
慶「・・・あのな?かえで・・・」
かえで「私はもう元気だよ?怪我も無いし。・・・だからもう自分を責めないで・・。」
慶「・・・。」
ぎゅっと俺に抱きついてきたかえで。
細い細い身体は少しだけふっくらしてきたように感じる。
その腰元を抱きしめ返す。
慶「元凶は捕まえた。あの男の行方も掴んだ。もうあいつらに振り回されることはない。」
そう言うとかえではにこにこ笑いながら言った。
かえで「大丈夫。何かあったら・・・助けに来てくれるんでしょ?」
慶「!!・・・あぁ、もちろん。かえで以上に大事なやつなんていないからな。」
腰元を持っていた手を離してかえでの両頬を捕まえた。
そのまま顔を引き寄せて・・・唇を重ねる。
ちゅ・・・
かえで「・・・・ふふ。」
慶「ははっ。・・・抱けるのはもう少し後だな。」
かえで「大好きだよ。」
慶「俺の方がな。」
のぼせてはいけないから、かえでを露天風呂から出させる。
二人で体を拭いてると、かえでが気まずそうに俺に聞いてきた。
かえで「あのね・・?慶さん・・・その・・・翔太って・・・」
慶「あぁ、あいつはかなり遠いところにいた。ここから・・・500キロくらい離れたとこ。」
かえで「500キロ・・・。」
慶「そこで借金作って・・・まぁ、労働者として管理されてる。あそこから逃げることはできないだろう。」
かえで「そ・・うなんだ?」
慶「逃げようとしたやつは殺される。あそこはそういう町だ。」
かえで「・・・。」
どう答えていいのかわからないのか、かえでは黙り込んでしまった。
慶「・・・物騒でごめん。」
かえで「あっ・・そうじゃなくて・・・もう翔太に会わずに済むなら・・・よかったなと・・思って・・。」
慶「・・・うん。」
かえでがあいつに会わなくて済むことを喜んだ。
喜んだけど・・・他の男のことを考えられて・・・俺は嫉妬した。
かえでは俺のことが好きだ。
そんなことはわかってるけど・・・俺でいっぱいにしたい欲求が生まれる。
慶「・・夢にうなされなくなったら・・式挙げようか。」
かえでの興味を逸らすために言った。
もともと考えてることだから別に支障はない。
かえで「・・・え!?」
慶「どこがいい?国内?海外?島とか買う?」
かえで「!?!?」
慶「ちょっとでいいから考えてて?」
俺は体を拭き終わり、服を着た。
そのまま仕事に向かうためにかえでに言う。
慶「俺、このまま出るから。かえでは出るなよ?しばらくはこの敷地にいること。わかった?」
かえで「・・・うん。」
慶「じゃ、行ってきます。あとで春斗に来させるから。」
かえで「いって・・らっしゃい・・。」
ぼーっと手を振るかえでの頬にキスをして、俺は離れを出た。
慶(今日1日くらいは結婚式のこと考えてくれるかなー。)
かえでの頭の中を俺でいっぱいにしたいだけだったのに、まさかこれがあとで悩みの種になるなんて・・・思いもしなかった。
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