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目覚め・・・?
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病院に着いた俺はナースステーションに寄ってお菓子を持って行った。
ここに来る前にケーキ屋に寄って焼き菓子を買っておいたやつだ。
慶「いつもお世話になってます。みなさんでどうぞ。」
看護師「毎日ありがとうございます。」
廊下を歩き進め、かえでの病室の前で立ち止まった。
深呼吸をして・・・ノックをする。
コンコン・・・ガラガラガラ・・・
慶「かえでー。来たよー。」
病室の中に入ってドアを閉めた。
いつも通りかえでが寝てるベッド脇の椅子に腰かける。
慶「今日は起きるかなー・・?」
そう言ってかえでの手を握る。
刺激も大事かと思ってゆっくりと擦った。
慶「筋肉もだいぶ落ちてるな・・・。はやく起きないと歩けなくなるぞ?」
腕を擦り、足も擦る。
体中を擦っていると・・・かえでの手がぴくっと動いた。
慶「・・・え?」
動いた手を握って・・・かえでの顔を覗き込む。
慶「・・・かえで?・・・かえで?」
顔を擦ると・・・かえでは薄っすらと目を・・・開けた。
慶「!!・・・かえで!!」
かえで「ぅ・・・・?」
慶「ちょっとそのままな!?待ってろ!?」
俺は病室を飛び出てナースステーションに駆け込んだ。
慶「目を覚ましました!!目を覚ましたんです!!」
看護師「!!・・・すぐに先生を呼びます!」
医者を呼びに行った看護師。
俺は踵を返してかえでのところに戻る。
慶(目が覚めた・・・目が覚めた・・・!)
俺は嬉しさのあまり、廊下を走った。
もしかしたら二度と目覚めないんじゃないかと思ったこともある。
二度と話さないんじゃないかと・・・。
でもかえでは目覚めた。
もう・・・大丈夫だ。
慶「かえで・・・!」
かえでの病室を開けて中に入った。
かえでの目は・・・まだ開いたままだ。
慶「かえで・・俺がわかる?」
手を握りしめて聞く。
かえではゆっくり俺のほうを向いた。
慶「俺が・・・わかる・・?」
かえではじーっと俺を見て・・・頷いた。
慶「よかった・・!本当によかった・・・!」
かえで「ぅ・・・?ぁ・・・?」
慶「ちょっと待ってな?今、医者が来るから・・・それで説明してもらうからな?」
かえでの手を握って・・・擦ってると医者が病室に入ってきた。
俺は部屋の隅に移動し、医者の診察が終わるのを待つ。
医師「・・・うん。目が覚めてよかったですね。」
かえで「・・・?」
医師「?・・・聞こえにくいかな?目・が・覚・め・て・よ・か・った。」
医者がゆっくり言うと、かえでは頷いた。
医師「紙のほうがわかりやすかな?」
医者はメモ用紙を取り出して、簡単にかえでの身体のことを書いた。
・耳が聞こえにくい。
・声が出しにくい。
・1カ月以上眠っていた・・・などなど。
それらをかえでに見せて、状況を伝えた。
慶「もう・・・大丈夫なんですよね・・?」
そう聞くと医者は俺に説明を始めた。
医師「少しずつ体を回復させましょう。しばらくは起きてるだけで体力も尽きるでしょうし・・・。」
慶「あ・・そうですよね。ずっと食べてないし・・動いてもいない・・。」
医師「『目は覚めた』。あとは・・・回復するだけですよ。大丈夫。」
診察が終わった医者は病室から出て行った。
代わりに看護師が入ってきてこれからのことを説明してくれた。
食事は重湯からスタート。
歩く練習をするために毎日療法士が病室で訓練することなどを。
慶「どれくらいで・・・もとに戻れますか?」
看護師「そうですね・・・半年くらいあれば大丈夫じゃないかと思います。」
慶「半年・・・。」
随分長い時間だ。
でもこの2カ月のことを考えたら妥当な期間かもしれない。
看護師「神楽さんはご自宅に医師がいますよね?ならある程度回復した後はご自宅でも大丈夫ですよ?」
自宅で出来たらそのほうがいい。
専門家はいないけど・・・家だからこそできることもある。
慶「!!・・・そうします!」
看護師「わかりました。・・・早く回復するといいですね。」
病室から看護師も出て行き、かえでと二人になった。
顔を覗き込むと、うとうととしてる。
慶「寝たほうがいい。・・・また起きて?早く回復して家に帰ろう。」
かえで「・・・zzz。」
その日、俺は家に帰ってみんなに報告をした。
みんなは声をあげて喜んだ。
中には涙を流す奴も・・・。
春斗「お嬢・・よかった・・・。」
かえでが目を覚ましたことで春斗も少しは自分を責めなくなる。
慶「かえでが帰ってきたらリハビリとか・・忙しくなる。そのつもりで待っててくれ。」
部下たち「はいっ!!」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
かえでが目を覚ましてから数日。
俺は今、かえでの病室にいる。
手にはスプーン。
スプーンには重湯がほんの少し乗ってる。
慶「ほら・・・口あけて?」
かえで「・・・・。」
ベッドの背もたれを起こしてかえでは横にいる俺を見てる。
正確には俺が持ってるスプーンを見てる。
じーっと見てるけど・・・口は開けてくれない。
慶「食べる練習しないと・・今日はこれだけだから・・・な?」
かえで「・・・・・。」
たった一口の重湯を見つめてもうすぐ1時間が経つ。
そろそろ体力が尽きて寝てしまう頃・・・。
寝る前にどうにかして食べさせたいところだ。
慶「ほら、あーん?」
かえで「・・・zzz。」
慶「・・・・寝ちゃったよ・・。」
俺の願いも空しく、
すぅすぅと眠ってしまったかえで。
せっかく始まった食事の訓練なのに、食べてくれない。
起きてられる時間は日に日に増えていってるけど・・・ご飯だけは食べてくれなかった。
慶「なんで食べないんだ?ご飯作るのも食べるのも好きだったのに。」
『美味しくできた』とか言ってつまみ食いしてたかえで。
早く回復させるためにも一口でも多く食べさせたい。
慶「うーん・・・医者に相談してみるか。」
俺はベッドの背もたれを倒して、かえでに布団をかぶせた。
そのまま病室をでてナースステーションに向かう。
慶「すみません、相談したいことがあって・・・先生呼んでもらえます?」
近くにいた看護師に頼んだ。
看護師「どういった内容でしょうか。私で答えれることでしたら・・・。」
慶「あ、実はーーーーーーーーー。」
俺はかえでのことを言った。
全然ご飯を食べてくれないことを。
看護師「・・・ずっと食べてなかったので・・・食べることが怖いのかもしれませんね。」
慶「怖い?食べることが?」
看護師「まぁ・・・いきなり食べるとお腹を壊してしまったりもしますし・・・重湯なんで大丈夫だとは思うんですけど・・・。最初の一口さえいけたらいいんですけどね。」
慶「そうですか・・・ありがとうございます。」
俺は看護師に礼を言って、かえでの病室に向かって歩き始めた。
もう2カ月も食べてないご飯。
かえでが恐怖を感じるのも無理はないけど食べないことにはなにも進まない。
慶「今日は絶対に食べさせる。」
俺はそう決めてかえでの病室に入った。
かえでの目が覚めるまで待つ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
2時間後・・・
目が覚めたかえでにスプーンを見せる。
重湯をさっきよりも減らして・・・今はスプーンに薄っすら乗ってる程度だ。
慶「これ食べないと家に戻れないんだよ。大丈夫。ほんのちょっとだから・・。」
かえで「・・・。」
かえでの口をつんつんしながら口を開けるのを待つ。
慶「お願いだから食べて・・・。」
かえで「・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ずっと待ってること30分。
また寝始めるかと思った時にかえでは口を開けた。
かえで「・・・ぁ。」
慶「!!・・・いい子だ。」
口にスプーンを入れ、ほんの少ししかない重湯を口に含ませた。
ゆっくりと口を動かすかえで。
久しぶりに口の中に食べ物を入れたからか・・・おいしそうに笑った。
慶「おいしい?」
そう聞くとかえでは頷いてくれた。
もう一口食べてほしいところだけど、欲張ってはいけないことくらいわかってる。
慶「明日はもうちょっと食べような。」
かえで「ぅ・・・ぁ・・・・・」
慶「無理に喋るな。ゆっくりでいいんだ。」
頭を撫でると、かえでが言った。
かえで「ま・・って・・た・・・よ・・。」
慶「・・・・え?」
かえで「あり・・が・・と・・。」
慶「・・・もう喋るな。話せるようになったら・・たくさん話そうな。」
かえで「ん・・・。」
重湯を一口食べれたかえでは、翌日からちゃんと食べるようになった。
毎日一口ずつ増やしていき、リハビリもしていく。
目が覚めてから1カ月もすればだいぶ喋れるようになり、何歩か歩けるようにもなった。
慶「かえで、そろそろ家に帰ろうか。」
リハビリに付き合うために病院に来ていた俺は、かえでの手を引いて廊下を歩かせていた。
かえで「かえ・・る・・・?」
慶「うん。ご飯もお粥になったし、家で続きしない?いつまでも病院っていうのも気が滅入るだろ?」
かえで「う・・ん・・・。か・・える・・っ。」
慶「おっけ。先生に話してくるから病室で昼寝してな?」
病室に戻らせてベッドに寝かせる。
布団をかぶせるとかえではすぐに眠ってしまった。
かえで「・・・zzz。」
慶「だいぶ体力もついてきたけど・・・まだまだだな。」
俺は病室を出てナースステーションに向かう。
医者を呼びだしてもらい、『退院』の話をした。
医師「いいですよ?神楽さんとこには医師がいますし。何かあればうちに戻ってきてもらって大丈夫なんで。」
慶「本当ですか!?」
医師「えぇ。いつにしますか?来週くらいならもうちょっと体力もついてるでしょうし・・・来週にしましょうか。」
慶「はい!お願いします!」
来週に退院が決まったかえで。
家なら俺以外にもリハビリに付き合えるやつがいる。
やり方もみんな違うだろうから、かえでにとってもいい刺激になりそうだと思った。
慶「楽しみだな。」
ここに来る前にケーキ屋に寄って焼き菓子を買っておいたやつだ。
慶「いつもお世話になってます。みなさんでどうぞ。」
看護師「毎日ありがとうございます。」
廊下を歩き進め、かえでの病室の前で立ち止まった。
深呼吸をして・・・ノックをする。
コンコン・・・ガラガラガラ・・・
慶「かえでー。来たよー。」
病室の中に入ってドアを閉めた。
いつも通りかえでが寝てるベッド脇の椅子に腰かける。
慶「今日は起きるかなー・・?」
そう言ってかえでの手を握る。
刺激も大事かと思ってゆっくりと擦った。
慶「筋肉もだいぶ落ちてるな・・・。はやく起きないと歩けなくなるぞ?」
腕を擦り、足も擦る。
体中を擦っていると・・・かえでの手がぴくっと動いた。
慶「・・・え?」
動いた手を握って・・・かえでの顔を覗き込む。
慶「・・・かえで?・・・かえで?」
顔を擦ると・・・かえでは薄っすらと目を・・・開けた。
慶「!!・・・かえで!!」
かえで「ぅ・・・・?」
慶「ちょっとそのままな!?待ってろ!?」
俺は病室を飛び出てナースステーションに駆け込んだ。
慶「目を覚ましました!!目を覚ましたんです!!」
看護師「!!・・・すぐに先生を呼びます!」
医者を呼びに行った看護師。
俺は踵を返してかえでのところに戻る。
慶(目が覚めた・・・目が覚めた・・・!)
俺は嬉しさのあまり、廊下を走った。
もしかしたら二度と目覚めないんじゃないかと思ったこともある。
二度と話さないんじゃないかと・・・。
でもかえでは目覚めた。
もう・・・大丈夫だ。
慶「かえで・・・!」
かえでの病室を開けて中に入った。
かえでの目は・・・まだ開いたままだ。
慶「かえで・・俺がわかる?」
手を握りしめて聞く。
かえではゆっくり俺のほうを向いた。
慶「俺が・・・わかる・・?」
かえではじーっと俺を見て・・・頷いた。
慶「よかった・・!本当によかった・・・!」
かえで「ぅ・・・?ぁ・・・?」
慶「ちょっと待ってな?今、医者が来るから・・・それで説明してもらうからな?」
かえでの手を握って・・・擦ってると医者が病室に入ってきた。
俺は部屋の隅に移動し、医者の診察が終わるのを待つ。
医師「・・・うん。目が覚めてよかったですね。」
かえで「・・・?」
医師「?・・・聞こえにくいかな?目・が・覚・め・て・よ・か・った。」
医者がゆっくり言うと、かえでは頷いた。
医師「紙のほうがわかりやすかな?」
医者はメモ用紙を取り出して、簡単にかえでの身体のことを書いた。
・耳が聞こえにくい。
・声が出しにくい。
・1カ月以上眠っていた・・・などなど。
それらをかえでに見せて、状況を伝えた。
慶「もう・・・大丈夫なんですよね・・?」
そう聞くと医者は俺に説明を始めた。
医師「少しずつ体を回復させましょう。しばらくは起きてるだけで体力も尽きるでしょうし・・・。」
慶「あ・・そうですよね。ずっと食べてないし・・動いてもいない・・。」
医師「『目は覚めた』。あとは・・・回復するだけですよ。大丈夫。」
診察が終わった医者は病室から出て行った。
代わりに看護師が入ってきてこれからのことを説明してくれた。
食事は重湯からスタート。
歩く練習をするために毎日療法士が病室で訓練することなどを。
慶「どれくらいで・・・もとに戻れますか?」
看護師「そうですね・・・半年くらいあれば大丈夫じゃないかと思います。」
慶「半年・・・。」
随分長い時間だ。
でもこの2カ月のことを考えたら妥当な期間かもしれない。
看護師「神楽さんはご自宅に医師がいますよね?ならある程度回復した後はご自宅でも大丈夫ですよ?」
自宅で出来たらそのほうがいい。
専門家はいないけど・・・家だからこそできることもある。
慶「!!・・・そうします!」
看護師「わかりました。・・・早く回復するといいですね。」
病室から看護師も出て行き、かえでと二人になった。
顔を覗き込むと、うとうととしてる。
慶「寝たほうがいい。・・・また起きて?早く回復して家に帰ろう。」
かえで「・・・zzz。」
その日、俺は家に帰ってみんなに報告をした。
みんなは声をあげて喜んだ。
中には涙を流す奴も・・・。
春斗「お嬢・・よかった・・・。」
かえでが目を覚ましたことで春斗も少しは自分を責めなくなる。
慶「かえでが帰ってきたらリハビリとか・・忙しくなる。そのつもりで待っててくれ。」
部下たち「はいっ!!」
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かえでが目を覚ましてから数日。
俺は今、かえでの病室にいる。
手にはスプーン。
スプーンには重湯がほんの少し乗ってる。
慶「ほら・・・口あけて?」
かえで「・・・・。」
ベッドの背もたれを起こしてかえでは横にいる俺を見てる。
正確には俺が持ってるスプーンを見てる。
じーっと見てるけど・・・口は開けてくれない。
慶「食べる練習しないと・・今日はこれだけだから・・・な?」
かえで「・・・・・。」
たった一口の重湯を見つめてもうすぐ1時間が経つ。
そろそろ体力が尽きて寝てしまう頃・・・。
寝る前にどうにかして食べさせたいところだ。
慶「ほら、あーん?」
かえで「・・・zzz。」
慶「・・・・寝ちゃったよ・・。」
俺の願いも空しく、
すぅすぅと眠ってしまったかえで。
せっかく始まった食事の訓練なのに、食べてくれない。
起きてられる時間は日に日に増えていってるけど・・・ご飯だけは食べてくれなかった。
慶「なんで食べないんだ?ご飯作るのも食べるのも好きだったのに。」
『美味しくできた』とか言ってつまみ食いしてたかえで。
早く回復させるためにも一口でも多く食べさせたい。
慶「うーん・・・医者に相談してみるか。」
俺はベッドの背もたれを倒して、かえでに布団をかぶせた。
そのまま病室をでてナースステーションに向かう。
慶「すみません、相談したいことがあって・・・先生呼んでもらえます?」
近くにいた看護師に頼んだ。
看護師「どういった内容でしょうか。私で答えれることでしたら・・・。」
慶「あ、実はーーーーーーーーー。」
俺はかえでのことを言った。
全然ご飯を食べてくれないことを。
看護師「・・・ずっと食べてなかったので・・・食べることが怖いのかもしれませんね。」
慶「怖い?食べることが?」
看護師「まぁ・・・いきなり食べるとお腹を壊してしまったりもしますし・・・重湯なんで大丈夫だとは思うんですけど・・・。最初の一口さえいけたらいいんですけどね。」
慶「そうですか・・・ありがとうございます。」
俺は看護師に礼を言って、かえでの病室に向かって歩き始めた。
もう2カ月も食べてないご飯。
かえでが恐怖を感じるのも無理はないけど食べないことにはなにも進まない。
慶「今日は絶対に食べさせる。」
俺はそう決めてかえでの病室に入った。
かえでの目が覚めるまで待つ。
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2時間後・・・
目が覚めたかえでにスプーンを見せる。
重湯をさっきよりも減らして・・・今はスプーンに薄っすら乗ってる程度だ。
慶「これ食べないと家に戻れないんだよ。大丈夫。ほんのちょっとだから・・。」
かえで「・・・。」
かえでの口をつんつんしながら口を開けるのを待つ。
慶「お願いだから食べて・・・。」
かえで「・・・。」
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ずっと待ってること30分。
また寝始めるかと思った時にかえでは口を開けた。
かえで「・・・ぁ。」
慶「!!・・・いい子だ。」
口にスプーンを入れ、ほんの少ししかない重湯を口に含ませた。
ゆっくりと口を動かすかえで。
久しぶりに口の中に食べ物を入れたからか・・・おいしそうに笑った。
慶「おいしい?」
そう聞くとかえでは頷いてくれた。
もう一口食べてほしいところだけど、欲張ってはいけないことくらいわかってる。
慶「明日はもうちょっと食べような。」
かえで「ぅ・・・ぁ・・・・・」
慶「無理に喋るな。ゆっくりでいいんだ。」
頭を撫でると、かえでが言った。
かえで「ま・・って・・た・・・よ・・。」
慶「・・・・え?」
かえで「あり・・が・・と・・。」
慶「・・・もう喋るな。話せるようになったら・・たくさん話そうな。」
かえで「ん・・・。」
重湯を一口食べれたかえでは、翌日からちゃんと食べるようになった。
毎日一口ずつ増やしていき、リハビリもしていく。
目が覚めてから1カ月もすればだいぶ喋れるようになり、何歩か歩けるようにもなった。
慶「かえで、そろそろ家に帰ろうか。」
リハビリに付き合うために病院に来ていた俺は、かえでの手を引いて廊下を歩かせていた。
かえで「かえ・・る・・・?」
慶「うん。ご飯もお粥になったし、家で続きしない?いつまでも病院っていうのも気が滅入るだろ?」
かえで「う・・ん・・・。か・・える・・っ。」
慶「おっけ。先生に話してくるから病室で昼寝してな?」
病室に戻らせてベッドに寝かせる。
布団をかぶせるとかえではすぐに眠ってしまった。
かえで「・・・zzz。」
慶「だいぶ体力もついてきたけど・・・まだまだだな。」
俺は病室を出てナースステーションに向かう。
医者を呼びだしてもらい、『退院』の話をした。
医師「いいですよ?神楽さんとこには医師がいますし。何かあればうちに戻ってきてもらって大丈夫なんで。」
慶「本当ですか!?」
医師「えぇ。いつにしますか?来週くらいならもうちょっと体力もついてるでしょうし・・・来週にしましょうか。」
慶「はい!お願いします!」
来週に退院が決まったかえで。
家なら俺以外にもリハビリに付き合えるやつがいる。
やり方もみんな違うだろうから、かえでにとってもいい刺激になりそうだと思った。
慶「楽しみだな。」
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