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新しい練習。

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すたすたと廊下を歩いてきた慶さんは、私がいる部屋のふすまを開けた。



慶「あれ?今からお風呂?」

かえで「うん。慶さんは?」



タンスの前に屈み、パジャマを取り出す。




慶「俺も入ろっかな。・・・一緒に。」

かえで「い・・一緒に・・?」



ただ、一緒にお風呂に入るだけじゃ済まされない気がする。

今日のキスで・・・もどかしい気持ちになってる私。

きっと慶さんも一緒のはずだ。



慶「・・・っと、その前にもう一つゲーム。」

かえで「また!?」

慶「今度は新しいゲーム。ちょっと立って?」

かえで「?」




分からずに私は立ち上がった。

慶さんは、私の側まで歩み寄り、私の腕をひょいひょいと回して・・・背中側で固定した。



かえで「!?」

慶「1分で逃げれたらかえでの勝ちな?逃げれなかったら・・・全身キスの刑。」

かえで「!?!?」

慶「はい、よーい、スタート。」




ぐっと握られてる私の手首。

身体を捻って抜け出そうとするけど・・・出れない。

背中側に手を持っていかれてるからか、力も上手く入らない。




かえで「んーっ!!」

慶「あと30秒。」

かえで「!?ちょ・・!離してっ・・!」



身体を激しく揺さぶっても・・・びくともしなかった。




慶「・・・はい、時間切れー。」

かえで「~~~っ。」




慶さんは私の手を解放し、タンスの引き出しから自分のパジャマを取り出した。



かえで「?」

慶「露天、行くんだろ?早く行こう。」

かえで「う・・うん・・。」





すたすたと歩いて露天風呂のほうへ行った慶さん。



かえで(負けたけど・・・忘れたのかな・・・。)



残念なような・・・嬉しいような気持ちにかられながら、私は慶さんのあとを追うようにして露天風呂に向かった。










ーーーーーーーーーーーーーーー







慶「あー・・・やっぱいいな、露天。本宅もひこうかな。」




手でお湯をすくって、ばしゃっと顔にかけた慶さん。

私は少し離れてお湯に浸かっていた。



慶「かえで・・・遠くない?」

かえで「・・・そんなこと・・ないよ・・?」

慶「ふーん・・・?」





まだお腹が紫色だから見られたくないし・・・

何より慶さんの身体がたくましすぎて直視できないでいた。




かえで(いつも襲われてるときしか身体見ないし・・見てる余裕がなかったからちゃんと見たことなかったけど・・・)




お湯に浸かってないところがよく見える。

たくましい腕・・・

くっきり見える鎖骨。

締まった胸筋・・・


あの体に抱かれてるのかと思ったら急に恥ずかしくなった。




慶「ん?どうかした?」




じーっと見てるのがバレたのか、慶さんが私を見ていた。




かえで「なっ・・なんでもないっ・・・。」




これ以上見たらどうにかなってしまいそうで、私は慶さんに背を向けた。

露天風呂を囲うようにして並んでる石を見つめながらお湯に浸かる。




かえで(危ない危ない・・・。慶さん、かっこいいから・・・見惚れちゃう・・・。)




じーっと石を見つめてると、私の後ろでぱしゃっ・・・と水の音が聞こえた。

ぱしゃぱしゃと聞こえる音。

それは・・・慶さんが近づいてきてる音だ。




慶「さっきの罰ゲームがまだだったよな・・・?」

かえで「---っ!・・・あっ・・」




ちゅ・・・と私の肩にキスをした慶さん。

そのままちゅ・・ちゅ・・といろんなところに唇をあてていく。




かえで「んぅ・・・ぁ・・・。」

慶「きれいな肌だな・・・。」




すっ・・と伸びてきた慶さんの手が、私の身体を捕まえた。

くるっと向きを変えられ、慶さんと向かい合う。



かえで「!!」



引き締まった身体が目に入る。

首筋がごつごつしてて・・・私の身体を掴んでる手もごつごつしてる。

その男っぽさに・・・私の理性がやられた。



慶「かえで・・・。」

かえで「・・・・ても・・いい・・?」

慶「え?」

かえで「キス・・・したい・・・。」




自分の口を慶さんの首元に近づける。

筋張ってる慶さんの首。

自分の口を少し開けて・・・食べた。





かぷ・・・・





慶「!?」

かえで「ん・・・んぅ・・・」




ちゅうちゅうと首筋に吸い付く。

身をお湯に沈め、慶さんに抱きつきながら夢中で首筋を食べた。

大好きな慶さん。

ずっとぎゅってしてもらいたくて、抱きしめた。



慶「珍し・・・。」

かえで「・・・しい・・・。」

慶「え?」

かえで「抱いて欲しい・・・。」

慶「!?」




慶さんの両頬を手で包んで・・唇を重ねた。



ちゅ・・・




慶「いや・・どうした?さっきのキスでスイッチ入ったのか?」

かえで「・・・うん。」

慶「!!・・・参ったな・・もうちょっと回復してからと思ってたんだけど・・・んっ!」




ちゅうぅぅー・・・




かえで「やだ・・・お願い・・触って欲しい・・・。」




焦らされたキス。

慶さんと触れてる肌。

慶さんに教え込まれた体は・・・慶さんを欲していた。


『気持ちイイこと・・・してほしい。』




慶「病み上がりだし・・・少しだけな?」

かえで「はやく・・・はやくっ・・・。」









ーーーーーーーーーーーーーーー






慶side・・・






切ない顔をしながらかえでが俺を欲しがってる。




慶(まぁ・・・一緒に暮らすようになってから結構抱いてるけど・・・ここまで求めてきたのは初めてだな。)

かえで「はやく・・・。」

慶「・・・1回ここでイっとくか。」



俺の膝の上に座ってるかえで。

くるっと向きを変えてかえでを背中側から抱きしめた。



かえで「?」

慶「こっちのほうが触りやすい。」



左手の指でかえでの割れ目をなぞり、右手の指をかえでのナカに押し入れた。




ちゅぷん・・・




かえで「あぁっ・・!」

慶「もう濡れてる・・・そんなに欲しかった?」

かえで「うん・・っ。もっと・・もっと欲しいっ・・・。」



顔を近づけて唇を擦り合わせてくるかえで。

その姿があまりにもやらしく・・・『気持ちイイ』を言わせたくなる。



ちゅぷちゅぷ・・・ぐちゅっ・・・



かえで「んあぁっ・・・!」

慶「・・・ここ?ここが好き・・?」



かえでのイイところを優しく触る。

お湯の中だけど・・くちゅくちゅと粘り気のある蜜が俺の指に絡みつく。



かえで「そこ・・・あっ・・!」

慶「ここだろ?『気持ちイイ』・・?」



耳をくちゅくちゅ食べながら聞く。




かえで「あっ・・!やだっ・・!きちゃうっ・・!」

慶「『気持ちイイ』のがきちゃう・・?」




かえでがイかないように、イイところを外してゆっくり擦った。



かえで「あっ・・ちがっ・・」

慶「うん?違うの?」

かえで「ちがっ・・さっきの・・とこっ・・・。」

慶「さっきのとこが・・・なに・・?」




くちゅくちゅと擦りながらかえでのイイとこに近づけていく。

俺が教え込んだかえでのイイところ。

近づくとかえでもわかるみたいで・・・腰が揺れ始めた。



かえで「あっ・・!あっ・・!」

慶「『気持ちイイ』の・・・ここ?」




ぐりゅっ・・!!



かえで「!?・・・あぁぁっ!!」

慶「どう?『気持ちイイ』・・?」



揺れる腰を腕で押さえながら何度も擦った。

その度にかえでは啼いたけど・・・誘導尋問に引っかかるようにして・・・ついに言った。





かえで「あぅっ・・!」

慶「ここ・・好き?『気持ちイイ』・・?」

かえで「すきっ・・!あぁっ・・!気持ちっ・・いいっ・・!あんっ・・!」

慶(言った・・!)




一度言葉にして出してしまったあとは、もう快感に溺れるしか道はない。

かえでは押し寄せる波に負けて、登りつめて行った。




かえで「やぁっ・・!きちゃうきちゃうっ・・!」

慶「いいよ?イっても。」

かえで「い・・あぁぁぁぁーーーっ!!」




俺の指をきゅうきゅう締め付けて果てたかえで。

そのままかくんっと力が抜けたのがわかった。



慶「ちょ・・!かえで!?」

かえで「あ・・・・」


息を荒くして顔も赤い。




慶「のぼせたのか!?ちょっと待てよ!?」




かえでのナカから指を引き抜き、俺はその小さな体を抱えて露天から出た。

脱衣所にあった椅子に座らせて体を拭いていく。



慶「まだ色は戻らないな・・・。」



紫色になってるかえでの腹がやけに目につく。



かえで「う・・・。」

慶「部屋で横になろうな。」




パジャマを着せて、部屋に戻り・・・布団に寝かせた。

冬なのに・・団扇で軽く扇ぐ。




慶「大丈夫か?」

かえで「ごめ・・・・ん・・。」

慶「いやいいんだけど・・・、あ、ちょっと寝てて?俺、忘れ物あった。」

かえで「?・・・う・・ん・・。」




俺はかえでを置いて一旦離れを出た。

石畳の道を小走りに進み、本宅の自室に入る。




慶「えーと・・あ、あったあった。」



机の上に置いてあった細長い箱。

それを手に取り、離れに戻る。





慶「あれ?もう起きて大丈夫なのか?」




離れにいるかえでのとこに戻ると、かえでは起き上がって柱にもたれていた。

自分で団扇で扇いでる。




かえで「うん・・・さっきよりはマシで・・・ごめんね・・。」

慶「いいよ。俺も部屋でするべきだった。」

かえで「!!・・・わ・・わすれ・・て・・?」





畳みを見ながらいうかえで。

恥ずかしくて言ってるんだろうけど・・・もう遅い。

一度見てしまったものは消せない。




慶「それは無理な相談だな。」

かえで「うー・・。」

慶「恥ずかしいの?」

かえで「!!・・・もうっ。」





困ってるかえでも・・怒ってるかえでも・・拗ねてるかえでも・・・すべてがかわいい。

もちろん笑ってるかえでが一番なんだけど・・・。



慶「ははっ。怒らないで。・・・これ、受け取って・・?」



そう言ってさっき取りにいった箱をかえでに差し出した。




かえで「なに・・?」

慶「開けたらわかるよ。」

かえで「?」



かえでは扇いでいた団扇を畳の上に置き、箱を受け取った。

ぱかっと開けて・・・大きな目を一段と大きくして中身を見た。




かえで「これ・・・。」

慶「ずっとつけててくれたら嬉しい。」




渡したのは一粒の真珠のネックレス。

小さいかえでに似合うように、小さめな真珠だ。




かえで「嬉しい・・けど・・・。」

慶「結婚の話が進むまでは・・・指輪の代わりにつけといて?」

かえで「!!」




嬉しそうな顔をして俺を見たかえで。

『待っていた話』と捉えて間違いなさそうだ。




慶「もう少し暖かくなったら・・・結婚式・・挙げよう。寒いのは嫌だろ?」




そう言うと、かえでの目に涙が溢れ始めた。

こぼさないように真上を向いて・・・指で拭ってる。

笑顔で俺を見る・・・



かえで「・・・・はいっ!」

慶「!!・・・ずっとずっと愛してる。」




俺はかえでに渡した箱を取り上げ、ネックレスを取り出した。

かえでの首に、つけていく。





慶「・・・よく似合ってるよ。」




首元に一粒の真珠が光ってる。




かえで「・・・へへっ。もう外さないよ。」

慶「・・・うん。」





素直に喜んでくれてるかえで。

そのネックレスの『仕組み』は・・・伝えない。












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