上 下
30 / 68

翌朝。

しおりを挟む
かえで「んー・・・。」



目が覚めた私は、ベッドから体を起こした。

窓から射し込む光が見える。



かえで「今・・・何時・・?」



目を擦りながらベッドから下りようと、足を床につけた。

その時、右足首に激痛が走った。




かえで「いぃぃっ!!」



あまりの痛さに思わず足を見る。



かえで「あれ?サポーターが外れてる・・・?」



昨日確かにお医者さんにつけてもらったサポーター。

足に何もついてなく、ただ、青くなってる足首が見えていた。



かえで「湿布もない・・・。」



不思議に思いながら見てると、私の後ろから慶さんの声が聞こえた。



慶「あ、起きた?」



振り返ると手にサポーターを持っていた慶さんが廊下を歩きながら私に向かって歩いてきていた。



かえで「慶さん・・・。そのサポーター・・・。」

慶「あ、湿布貼り変えようと思って外した。ちょっと汚しちゃったから拭いてきたんだよ。」



そう言って私の前に屈み、足をそっと持ち上げた。



慶「まだ酷そうだな・・・。」



湿布を貼って、サポーターを巻いてくれる。



かえで「でも明日は仕事だから・・・。」

慶「無理せずに休んでもいいよ?なんなら辞めても。」

かえで「・・・え?」

慶「俺の側にずっといて欲しい。俺、かえでがどんなに我が儘を言っても全部叶えられるよ?」

かえで「!?」




・・・確かに、慶さんはいつもケタ外れな行動をする。

贈ってくれる服は全部高級ブランドのものだし、車も何台も持ってる。

家の規模も普通とは違うし、一緒に住んでる会社の人たちの暮らしぶりも・・・

支出もさることながら、収入もすごい・・・。

今だって・・・泊まったホテルのこの部屋はすごく広くて・・・きっと高い。



きっと私が何を言っても全部叶えてくれるだろう。

でも・・・





かえで「・・・辞めないよ?」

慶「そう言うと思った。」




私の頭をぽんぽんっと撫でて、慶さんは立ち上がった。



慶「朝ご飯は?入りそう?」

かえで「ううん。まだお腹いっぱい・・・。」

慶「・・・そっか。じゃあ戻るか。」




そう言って慶さんはベッド脇にある紙袋を手に取った。



かえで「?・・・昨日は無かったような・・?」

慶「かえでの服。ドレスで帰るの大変だろ?」



そう言って慶さんは私に紙袋を手渡してきた。

私は受け取り、中を確認する。



かえで「この服・・・。」



取り出して服を広げて見ると、どうもサイズが私っぽい。

でも、私はこの服を持ってない。

自分の持ってる服くらいはわかってる。





慶「一応試作品で使用人たちに作ってもらってて・・・リョウに届けてもらった。」

かえで「!・・・着てみていい?」

慶「もちろん。」




私はベッドから下りて、ひょこひょこと歩きながら脱衣所に向かった。




慶「手伝おうか?」

かえで「いっ・・いいっ。一人で着れるっ・・。」



脱衣所に入り、ドアを閉める。

たぶん、慶さんが着せてくれたであろうバスローブを脱ぐ。




かえで「・・・えぇっ!?」




脱ぐと見えた赤いもの。

鏡を見ると、私の肌に赤いキスマークが付けられていた。

胸、わき腹。お腹・・・

昨日、慶さんが愛してくれた跡だ。



慶「どうした?大丈夫?」




脱衣所の外で慶さんの声がする。



かえで「なっ・・なんでもないっ・・・。」



昨日のことを思い出しながら服を着ていく。

ガウチョなパンツに薄手のブラウス。

やっぱり私にピッタリだった。



かえで「帰ったら使用人さんたちにお礼言わないと・・・。あと・・・。」



服を着替え終わった私は脱所から出た。

ひょこひょこと歩きながら慶さんを探す。



かえで(いたっ。)




窓際でケータイを使って誰かと話をしてるみたいだ。




慶「あぁ、だからそれはーーーーーして、-----をーーーーーで・・・・」




窓の外を見ながら話をしてる慶さん。

私は後ろから近づいていき、その大きな背中に抱きついた。



慶「!?」

かえで「・・・へへ。」





慶さんが電話してることをいいことに、ぎゅっと抱きつく。

電話をしてるから小声で伝える。





かえで「ありがとう・・・大好きだよ。」





私のためにいつも色々してくれる慶さん。

本宅の人も良くしてくださって・・・感謝しかない。




慶「・・・。」




ぎゅーっと抱きついてると、慶さんがくるっと振り返った。



かえで「?」

慶「こら、何してんの?」

かえで「ふぇっ?慶さん、電話は・・・?」




いつの間にか切っていたケータイ電話。

慶さんは私を抱きしめてきた。




かえで「?」

慶「・・・そんな可愛いことして・・・また襲われる?」

かえで「!?」

慶「帰ったら朝まで抱かせてもらおうかなー・・・。」

かえで「!?!?」

慶「ははっ。足が治ってからな。」





ちゅ・・ちゅ・・と私の頭にキスをして、慶さんは私を抱え上げた。



かえで「!?・・・歩くっ・・。」

慶「だめ。・・足腰立たなくしてから連れて出てもいいけど?」

かえで「~~~っ。」




そんなことされたら困ると思い、私は大人しく抱っこしてもらった。

せっかくだから慶さんの首に腕を巻きつける。



慶「お?」

かえで「ありがとう・・・。」

慶「・・・どういたしまして。]




お礼を言うことしか私にはできない。

なら・・いつも笑って『ありがとう』を言う。

そう決めて、私は慶さんと一緒に家に帰った。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです

星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。 2024年4月21日 公開 2024年4月21日 完結 ☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

処理中です...