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水分補給。

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俺は彼女に駆け寄った。

熱い身体を起こして抱きかかえる。



かえで「ぅあ・・・。」

慶「部屋からでたのか?こんなに熱いのに・・・。」

かえで「お・・みず・・・」

慶「水?・・・あぁ、喉が渇いたのか。ちょっと待って?」



俺は部屋に向かって歩きながらリョウを呼ぶ。



慶「リョウ、水持ってきてくれるか?」



いつもそばにいるリョウはすぐに返事をした。



リョウ「かしこまりました。」

慶「あと、そこにいるやつらは後で道場に来るように。」

一同「!!!」

慶「お前ら・・・生きて帰れると思うなよ?」



そう言って、俺は自室に入った。

ベッドに彼女を寝かせると、リョウが水を持って入ってきた。




リョウ「お水です。」

慶「さんきゅ。・・・あいつら道場に集めといてくれ。」

リョウ「・・・わかりました。」



部屋を出て行ったリョウ。

俺は彼女の頬を軽く叩いて起こす。




慶「水瀬さん?起きれる?」

かえで「あ・・・・。」

慶「お水・・・飲みたいんでしょ?」



彼女の身体を起こして支え、コップを口元にあてた。



かえで「はぁ・・はぁ・・・」

慶「飲めない?」



息が荒いからか、上手くコップに口をつけれない彼女。



慶「どうしたもんか・・・。」

かえで「みず・・・おみず・・・。」

慶「あるよ?ちゃんとある。だから飲んで・・・。」




コップの水を減らして、口に入るようにしてみる。



慶「ゆっくり・・・。」

かえで「んぐっ・・ごほっ・・!ごほっ・・・!」

慶「ダメか・・・。」





気管に入ってしまうのか、むせてしまって上手く飲めない。




慶「あとでもっかい謝るけど・・・先に謝るよ。ごめん。」



そう言って自分の口に水を含んだ。

彼女の顎をすくって・・・自分の口を重ねた。



かえで「んっ・・・。」




少しずつ水を流し込む。




かえで「んくっ・・・ぅくっ・・・んくっ・・・」



少しこぼしながらも必死に飲み込む彼女。

俺の服をぎゅっと握ってて・・・なんともいえない。




かえで「ぷはっ・・・はぁっ・・はぁっ・・。」

慶「もっといる?」

かえで「い・・る・・・・。」

慶「おっけ。」




コップの水がなくなるまで飲ませたあと、彼女はまた眠りについた。




慶「・・・好きだよ。早く俺を好きになって・・。世界一幸せにする。大事にするから・・・。」




布団をかけ、俺は部屋を出た。

向かうのは本宅の一番奥にある『道場』。




慶「さぁ、懺悔の時間だ。」







ーーーーーーーーーーーーーーー








ーーーーーーーーーーーーーーー








慶「・・・もう終わりか?」





道場に来た俺は、さっき彼女を見ていたやつらと稽古をしていた。

一方的にならないように『俺』対『全員』で。




「無理っすよ・・・。」

「若に勝てるわけがない・・・。」





床に転がってる十数人の部下。

まだ喋れるやつらが声で反抗してくる。




「だいだい若のツレだなんて聞いてないっすもん。」

慶「はぁ?聞いてなくてもあの状態の彼女を放置とかどんな神経してんだよ!」

「!!・・・すみません。」

慶「全員立て!!休むな!!」

一同「は・・はいぃぃっ!!」






結局それから2時間、組手やら何やらしたけど誰も俺に傷はつけれなかった。

部下たちは全員・・・床で倒れこんでいた。




慶「お前らもっと鍛えろよ?」

一同「ありがとう・・・ございま・・した・・・。」





のびてる部下たちを放って、俺は道場をあとにした。





リョウ「お疲れ様です。」




廊下を歩いてると、リョウが水を持って来た。

俺は受け取り、口に含む。





慶「彼女の様子は?」

リョウ「部屋からは出てません。おそらく眠ってるかと。」

慶「仕事は部屋でする。持ってきてくれ。」

リョウ「かしこまりました。」




リョウと別れ、俺は自室に入った。

ベッドに行き、寝息を立ててる彼女を覗き込む。




かえで「・・・zzz。」

慶「少しは楽になった?」



頭を撫でてから机に行き、仕事を片付け始めた。







ーーーーーーーーーーーーーーー








ーーーーーーーーーーーーーーー





朝の2時・・・





かえで「ん・・・。」

慶「・・・起きた?」





仕事を片付けたあと、俺はベッドの側でずっと彼女を見てた。

目を覚ました彼女の頭を撫でる。




かえで「ここ・・・・」

慶「俺の部屋。熱があったから・・・離れで一人は心配で・・・。」

かえで「そう・・ですか・・・。」





布団の中に手を入れて、彼女の手を握った。




かえで「?」

慶「うん、熱くない。」




おでこにも手をあてて、熱が上がってないか確認する。




慶「もう大丈夫かな。」

かえで「すみません・・・。」

慶「医者は『疲労』って言ってたよ。そりゃ疲れるよね。ごめん。」

かえで「いえ・・・。お世話になりっぱなしで・・・すみません・・。」





彼女はベッドに手をついて、体を起こした。

俺は背中に手を回し、彼女の身体を支える。




慶「まだ寝てたほうがいい。仕事は?」

かえで「あります・・・。行きます・・・。」

慶「・・・わかった。何か食べる?飲む?寝る?」

かえで「私・・神楽さんにお話が・・・。」




目を半分閉じて体が揺れてる彼女。

俺はその体をベッドに沈めた。



慶「元気になったら聞くから。もっかい寝ような。6時になったら起こすし。」



そう言って頭を撫で、眠りに誘った。




かえで「ん・・・・・zzz。」

慶「よかった。熱が下がって・・・。」




安心した俺はベッドに顔を埋めて夢の世界に旅立った。






















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