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浮気、ギャンブル三昧。

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間違いなく翔太の姿だった。

パチンコをしてる写真に競馬をしてる写真。

女の人と一緒にホテルに入る写真もあった。



慶「隣町の金貸しにも手を出してる。」

かえで「そう・・・ですか。」



私は紙と写真を神楽さんにお返しした。





かえで「調べてくださって・・・ありがとうございます。」

慶「・・・怒らないの?個人情報なのに。」

かえで「よくわかんない・・です。」



私はお箸を手にとって、中断していたご飯を食べ始めた。

白米を口に放り込むと・・・おかしな味がした。



かえで「あれ・・?味が変・・・。」

慶「ーーーっ!・・・涙、流れてるよ?」

かえで「え・・・?」



手で目元を触ると確かに濡れていた。

拭っても拭っても・・・乾いてくれない。



かえで「ふぇっ・・・ぅくっ・・・」



手に持っていたお箸を置いて、私は両手で涙を拭った。



慶「・・・俺ならそんな涙は流させない。」




ーーーーーーーーーーーーーーー




慶side・・・




涙を流す彼女を見てられなくなって、俺は立ち上がった。

彼女の後ろに回り、そっと抱き締める。



慶「・・・俺じゃだめ?大事にするから・・。」

かえで「ぅくっ・・・ふぇっ・・・」



抱えあげ、膝に座らせる。

よしよしと頭を撫でながら、言葉をかけ続けた。



慶「水瀬さんは悪くないよ?大丈夫。」

かえで「わ・・・私はなんだったの・・・?」

慶「・・・。」

かえで「ほ・・他の人とホテルに行って・・・しょ・・翔太はなんのために私と一緒にいたの!?」

慶「・・・。」

かえで「うわぁぁぁぁ・・・」

慶「・・・もう泣くのは最後。あんなやつに流す涙がもったいない。」




俺は彼女が落ち着くまで頭を撫でたり、背中を擦ったりした。

しばらくすると泣き声が無くなり、変わりに規則正しい寝息が聞こえ始めた。



かえで「・・・zzz。」

慶「あーあー、泣きつかれたか?」




ポケットからケータイを取り出して本宅に電話をかける。



ピピピッ・・・ピピピッ・・・




「はい。」

慶「俺だ。悪いけど離れに布団敷きに来てくれ。静かにな。」

「かしこまりました。」ピッ・・・




数分も待てば離れにやってくる使用人たち。

手際よく食事を片付け、布団を敷いていった。




「お待たせいたしました。」

慶「ありがとう。」




彼女をそっと布団に寝かせる。



慶「・・・リョウ。」

リョウ「はい。」



名前を呼ぶと忍者のように現れたリョウ。




慶「前に聞いた体重より軽いと思う。なんでだ?」



リョウには、過去に彼女のことを調べてもらったことがある。

両親、兄弟の有無、出身学校、部活まで・・・



『遠くから見てるだけでいい』



笑ってる彼女が好きだった。

たまに会う、少し話す・・・それだけでよかった。



俺の想像だけで・・・いいと思ってた。



でも・・・昨日の一件で俺の考えが変わった。

あんな最低な男になんて・・・渡さない。






リョウ「体重ですね。すぐに調べます。」

慶「減った理由だけでいい。」




幅広く調べてもらったときに書いてあった身長と体重。

あまりにも軽い数字だったから覚えていたけど、さっき抱いた感覚ではさらに減ってそうだった。



リョウ「承知しました。」




すぐに部屋から出ていったリョウ。

俺もそのまま離れを出た。










ーーーーーーーーーーーーーーー









ーーーーーーーーーーーーーーー






翌日・・・





かえでside・・・





かえで「んぁ・・・?」




目が覚めた私は寝ていた体を起こした。

ふわふわの布団を見つめながら、昨日のことを考える。



かえで「あれ・・・私、いつの間に寝たんだろう・・・。」



ケータイを取り出して今の時間を調べる。



かえで「5時・・・。顔洗ってこよ・・。」




布団を上げ、端に置く。

持って来た荷物からタオルを取り出して、洗面所に向かった。


廊下を通り、歩いてると露天風呂が見えてくる。




かえで「お風呂・・・にしよかな・・。」



私は部屋に戻り、鞄から服を取った。

露天風呂の脱衣所にタオルと服を置いて服を脱ぎ、ほかほかと湯気の上がる露天風呂に足をつけた。




かえで「・・・昨日よりは足は痛くない。」




ちゃぷちゃぷと入り、大きな岩にもたれかかる様にして肩まで浸かる。

お湯を手ですくっては、首元にぱしゃっとかけた。




かえで「アパート解約して・・住むとこ見つけて・・・神楽さんにお礼して・・・大家さんにもお礼言いに行って・・・。」




しなきゃいけないことを指折り数えていく。

たくさんあるけど・・・今日は仕事は休みだ。

ゆっくり回れば・・・住むとこくらいは見つかるかもしれない。




かえで「歩いて山を下りて・・・ぐるぐる回ってみようかな。」




そんなことを考えながらお湯に浸かってると、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。




慶「・・・さん!?・・・瀬さん!?・・・水瀬さんっ!?」

かえで「?・・・神楽さん?」




私は岩にもたれていた体を起こし、岩と岩の間から廊下を見た。

できるだけ大きな声で返事をする。




かえで「こっ・・ここですっ・・!!」



私の声に気がついたのか、露天風呂近くの廊下に来た神楽さん。

立ち上がるわけにもいかず、岩の隙間から声をかける。



慶「水瀬さん?」

かえで「こっちですー・・・。」

慶「・・・!?あっ!ごめん・・・!」

かえで「いえ・・・。もう出ますのでちょっと待っててください・・・。」

慶「部屋で待ってる・・・。」




神楽さんは廊下を歩いて消えていった。

その姿が見えなくなったのを確認して、私はお風呂から上がった。

急いで体を拭き、服を着る。




かえで「もう6時だったのかな・・・。」



昨日6時に起こしてくれた神楽さん。

今日、仕事が休みなことを伝えてなかったことを思い出した。




かえで「電話に出なかったから・・・来てくれたのかも。」




いそいそと着替えを済ませ、私は部屋に戻った。













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