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常連さん。

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かえで「いらっしゃいませー。」

神楽 慶(かぐら けい)「おはよ。いつものくれる?」



お店に入ってきたのは常連さん。

いつもピークの時間を外してきてくれる人だ。




かえで「いつもありがとうございますっ。ちょっとお待ちくださいねー。」



注文してくれるのはうち独自でブレンドしてるコーヒー豆。

私自身もこのコーヒーが一番好きで、買って帰って家で淹れるときもある。

最近は金欠すぎて買えてないけど・・・。






慶「さっき、なんの話してたの?」

かえで「え?」

慶「『夜』・・・がどうとかって・・。」

かえで(ドアの向こうまで聞こえてた!?)




コーヒーをドリップしながら、私は必死に話題を逸らそうとする。





かえで「そ・・そんなことより、今からお仕事ですか?」



ちらっと見たお店の時計は午前10時を回ってる。

普通の会社員なら遅刻間違いなしな時間だ。




慶「そ。今から会議。」

かえで「そうなんですかー。」



ドリップし終わった一杯分のコーヒーを紙カップに入れ、手渡した。



かえで「どうぞ。」

慶「ありがと。支払いはこれで。」




差し出されたのはクレジットカード。

私はカードを預かり、機械に通す。

ピピッと音が鳴ったのを確認して、カードを取り出した。



かえで「お返しいたします。」

慶「ありがと。じゃ、またね。」

かえで「お待ちしてます。」



常連さんは、手渡したコーヒーを口に含みながらお店を出ていった。








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夜・・・





かえで「お疲れ様でしたー。」

店長「また明日もよろしくねー。」





お店を閉めて、私は自分のアパートに向かって歩き始めた。

もう真っ暗な空。

外灯のある道を歩いていく。




かえで「外灯のないとこ通ったら近いけど・・・暗いと・・怖いし・・。」



暗いところが苦手な私。

小学生の時にいろいろあって・・・

『暗所恐怖症』ってやつになった。



かえで「遠回りも悪くないけど・・・翔太が待ってるよね・・・。はぁ・・。」



重い気持ちを肩に背負いながら、私は帰路を歩き進めた。






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かえで「・・・いる。」




遠目に見える私のアパート。

ドアの前に座り込んでる人の姿が見える。

あれは翔太だ。




かえで「はぁー・・・。」




鞄から鍵を取り出しながら私は歩き始めた。

アパートに近づくと翔太も私の姿を捉えたようで、しゃがんでたドアの前から立ち上がった。




翔太「おせーよ。」

かえで「仕事なんだから仕方ないでしょ?」



鍵を挿し込み、ドアを開ける。

靴を脱いで中に入ると、翔太が後ろからついて入ってきた。



翔太「メシはー?」

かえで「今から作るけど・・・。」

翔太「早くな。」

かえで「・・・。」





鞄をリビングに置いてキッチンに入った私。

お米をといで仕掛けたり、冷蔵庫を開けて食材を取り出してる間、翔太はテレビを見ていた。




翔太「面白い番組、なんもねーな。」

かえで「・・・。」




鶏肉と野菜を一緒に炒めながら、私は翔太に聞いた。




かえで「・・・今日、なにしてたの?」




朝は7時に家を出た。

帰ってきたのは21時。

無職の翔太が何をしてたのか気になった。




翔太「パチンコ?」

かえで「!・・・はぁー・・。」




期待したのは『就職活動』の言葉。

薄々わかっていたけど・・・翔太にとって私は母親代わりに身の回りの世話をしてくれる人なのかもしれない。




かえで「・・・ごはん、できたよ。」




キッチンにあるミニテーブルに炒めたおかずを並べる。

冷蔵庫に入ってある作りおきのおかずも取り出した。




翔太「食う食う。」



椅子に座って食べ始める翔太。

私はその姿を見ながら・・・思ってたことを口にする。




かえで「・・・ねぇ。」

翔太「なに?」

かえで「・・・別れない?」




私の言葉に、翔太の箸が止まった。

目線をごはんから私に移す。




翔太「何言ってるんだ?」

かえで「なんで一緒にいるのかわかんなくなってきて・・・。」




付き合い始めた頃は好きで好きで・・・いつも一緒にいたかった。

小さな発見をして二人で驚いたり・・・

少し遠出のデートでウキウキしたり・・・

お互いに想い合う時間が何より幸せだった。

でも・・・

今は違う。

特に話もしない。

デートはもう3ヶ月はしてない。

ウキウキやどきどきなんてない。


私は・・・家政婦だ。




翔太「・・・あー、そういうこと?最近シてなかったもんな。」

かえで「え?」




翔太はお箸を置いて、椅子から立ち上がった。

私の身体を引き寄せ・・・唇を塞いだ。



かえで「んむっ!?」

翔太「シたいならシたいって言えよ。」




身体を押され、後ろ向きに歩かされる。

狭いアパートだから、数歩歩けばリビングに入ってしまった。

ソファーに身体を沈められ、強引に服を脱がされる。




かえで「ちょっ・・・シたいなんて言ってない!」

翔太「でもそういうことだろ?」

かえで「違うっ!」




ブラを外され、胸の先端を力いっぱい摘ままれる。




ぎゅっ・・・!



かえで「いたぃっ・・・!」

翔太「すぐによくなるって。」



下着も剥ぎ取られ、成長しきった翔太のモノが無理矢理入ってくる。




かえで「無理無理っ!入らないって・・・!」




濡れてない自信があった。




翔太「すぐ濡れる。」




ぎちぎちと音を立てるようにして翔太のモノが入ってくる。



かえで(痛いっ・・・!)



何がいいのかわからない営み。

ただただ、翔太が果てるのを待つしかなかった。




かえで「いたいっ・・・!んっ・・・!」

翔太「ほら、お前もイイだろっ?」

かえで(早く・・・終わって・・)




翔太が動くたびに擦れるナカ。

痛みに耐えながら、翔太が果てるのを待った。















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