溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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連と別れた私はその足で兄の病院に向かった。

海外移住の話をしたときは兄もいたけど、両親に会った話や下見をしてきた話をしたかったからだ。

海外の医療事情も教えてもらいたいし、それに・・・海外移住してしまうと兄に会う機会もぐっと減る。

今のうちに会っておきたいと思ったのだ。


「兄を呼んでもらえますか?」


病院に着いた私はナースステーションで看護師さんにお願いした。

ほどなくして空いてる診察室に呼ばれ、私は中に入った。


「ハル、調子はどうだ?」


いつも通りに言う兄に、この前の海外移住の下見のことを話した。

両親にも会い、元気だったことも。


「まぁ、父さんと母さんはかなり自由な人たちだからな。海外で遊んで暮らすのが無理になったら帰国してくるだろう。」

「今度は私が海外にいくことになるけどね。」


笑いながら話し、私は気になっていた海外の医療事情を兄に聞いた。


「そうだなぁ・・・国によって違うから一概には言えないけど・・・とりあえずお前が向こうの言葉を話せないと困ることくらいはわかるかな?」

「うっ・・やっぱりそうだよねぇ・・・。涼さんは『英語は覚えなくていい』って言ってたんだけど・・・」


そう言われてもどうしても英語が必要になる気がして仕方ない。

涼さんがいない間に少しでも勉強しようかと思い始めた。


「え?あいつ、英語は勉強しなくていいって言ったのか?」

「うん。俺がいるから必要ないって言ってたんだけど・・・」


そう言うと兄は少し考えるような仕草を見せた。


「ハル、お前この間どこの国に行ったって?」

「え?あぁ、キリバスでお母さんたちに会って、そのあとはニュージーランドとオーストラリアだよ?」

「次はどこ?」

「えーっと・・・アメリカとカナダと・・・あと周辺の国だったかな?」

「その次は?」

「その次はわかんない。まだ決まってない。」


そう答えると兄は表情を変えた。

何か気がついたみたいだ。


「・・・まぁ一朝一夕で身につくものじゃないから次の下見は頼ったらいいんじゃないか?」

「えー?お兄ちゃん、何か分かったんじゃないの?涼さんの考え。」

「いや?さっぱりわからん。」


笑顔で言う兄は、絶対何かわかったような感じだった。

教えてくれる気がないものは深く聞く気もない。

それに兄のことだからいつか答えを教えてくれるだろう。


「むー・・・。」

「むくれるな。・・・あ、彼氏に言っておいてくれるか?」

「なに?」

「『その国だったら医療は大丈夫』って。」

「?」


意味がわからない伝言を頼まれ、私は病院をあとにした。

そのまま家に帰り、涼さんにこのことを伝える。


「え?お義兄さんが?」


家に帰って来た涼さんがネクタイを外しながら言った。

私は兄に言われた通りに伝えたけど、涼さんは少し考えるような仕草を見せたのだ。


「ハル、お義兄さんと何の話したの?」

「え?この前行った国と、今度行く国だよ?」

「それだけ?」

「うーん・・・、あ、涼さんに『英語は覚えなくていい』って言われたって話もしたー。」


そこまで言うと、涼さんは頭を押さえて軽く笑い始めた。


「ははっ、そうか、お義兄さんにはわかるのか。」

「?・・・なにが?」

「いや?なんでもないよ。」

「?」


くすくす笑う涼さんにも疑問を持ちながらも日々は過ぎていった。

その答えを聞くことなく、私たちはアメリカへと出発する日を迎えた。

今回は15日間かけて5つの国を見て回り、前と同じでお互いに調べれることを調べた。

そして帰国し、今回見た国もやはり合いそうにないことをお互いに確認したのだった。


「まぁ、そもそも治安がそんなにいい国ではないから。」

「うん。ちょっと怖い?ような感じがしたし・・・。」

「そうだな、ハルにとってはちょっと怖く感じたかもな・・・。」


そんな話をしながらスーツケースの中身を片付けてると、涼さんが次の国の話をし始めた。


「あ、次は来週から行こうか。」

「うん、大丈夫。・・・どこの国?」

「次はヨーロッパ。イギリスとフランスに2泊。そのあとオランダに5泊。」


その言葉に私は驚いた。


「5泊!?」


今までの倍以上の滞在予定に驚いてると、涼さんは笑顔で私に言った。


「次で最後の下見になると思うから。」

「?」


よくわからないまままた日々は過ぎていき、私たちは出国の日を迎えた。

そして兄と涼さんが言ってた言葉の意味はオランダに入国した時に知ることになった。




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