溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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「ここって・・・」


涼さんが車を走らせてついた場所、それは私たちが付き合うことになった植物園だった。


「覚えてる?」

「それはもちろん覚えてるけど・・・え?ここ?」


パーティーじゃなさそうな場所に疑問を持ってると、涼さんは私の手を引いて歩き始めた。

入り口で入場料を払うこともなく、そのまま足を踏み入れて行く。


「夕方まで貸切ってあるんだよ。」

「!?・・・貸し切り!?なんで!?」

「まぁ、そのうちわかるよ。」


そう言われて歩き進んで行くと、涼さんが思い出話を始めた。


「ハルにちゃんと『好きだよ』って伝えたのはここだったよね。」

「・・・うん、そうだったね。」


最初は冗談か何かかと思っていたけど、涼さんが真剣に私を望んでくれたのはここだった。

まだ1年も経ってないことだからか、鮮明に思い出せる。


「あの時は『好き』って言葉しか言えなかったけど、今は違う言葉になってるんだよ?」

「え?」


そう言うと涼さんは立ち止まり、どこからともなく花束を取り出した。


「これ・・・ハルなら意味わかるよね?」


そう言って見せられた花束は、バラの花が3本入ったものだった。


「・・・『愛しています』って花言葉・・・。」

「そう。ハルのこと、愛してるよ。」


涼さんは私に花束を差し出してくれた。

それをそっと受け取ると、バラのいい香りが鼻を抜けていった。


「・・・嬉しい。」


笑顔で言うと涼さんも笑顔で答えてくれた。

そしてまた歩き出し、思い出話をしていく。


「ハルが付き合うことを了承してくれた時はすごく嬉しくてさ、もう離したくないって思ってたんだよ?」

「そうなの?」

「うん。このまま家に帰らずに、俺と一緒にいてくれたらいいのに・・・ってずっと思ってた。」


そう言うとまた涼さんは立ち止まり、またどこからともなく花束を取り出した。


「この意味も・・・わかるよね?」


そう言って見せられた花束もバラで・・・本数は9本だった。


「・・・『いつも一緒にいて欲しい。』・・・だね?」

「そ。ハルのこと、手放したくないんだよ。」


そう言ってまた涼さんは歩き始めた。

二つも花束を貰って嬉しい私は、涼さんの少し後ろを、笑顔を溢しながらついていく。


「・・・そういうとこがかわいいんだよ。」


涼さんはまた花束を取り出し、私に差し出して来た。

今度は10本だ。


「『かわいい人』・・?」

「俺のかわいいハル。」


合計3つになってしまった花束。

手で持つにはもう限界が来てしまったので、私はその3つの花束を両手で抱えた。

また歩き出す涼さんの後ろを歩いて行く。


「ハルに出会ってから毎日毎日ハルのことばっかり考えて・・こうやってハルが俺のことを好きになってくれてほんとに嬉しかった。」


そういうとまた涼さんは足を止めた。

手を伸ばし、植物園の植物に隠すようにして置いてあった花束を手に取ったのが見えたのだ。


(まさか・・『貸し切り』にしたのってこのため・・?)


そんなことを考えてる私に、今度は24本のバラが差し出された。


「寝ても覚めても、『24時間ハルのことを想ってる』よ?」


笑顔で渡され、私の顔が一気に赤くなった。

こんな渡され方、まるで『プロポーズ』のようだったから・・・。


「ははっ、大丈夫?持てる?」


たくさんの花を抱えれて私は嬉しかったけどちょっと多すぎた。

たくさんありすぎて一人で持てそうもない。


「ちょっと・・無理っぽいかも・・・・」


そう言うと涼さんが全部の花束を持ってくれた。

それも片手で花束の一番細いところを持ってる。


「ほら、行こう?」


涼さんは歩き進めた。

私とデートした話や、私の兄と会った時の話、それに一緒に暮らすようになってからの話をしながら足を進めて行く。

何年も一緒にいたわけじゃないのに、その話が懐かしくて、私も楽しく話していた。

そして、あの『リンデン』のある場所が近くなってきた。


「ハル。」


涼さんは足を止めた。

そして手を伸ばし、植物に隠してある花束を取り出した。

今度はすごく・・・大きな花束だ。


「!?」

「薄々わかってると思うけど、この先、俺と一緒にいて欲しい。」


そういって今度はたくさんの数のバラの花束を差し出して来た。


「ハル、99本だよ。」

「!!・・・『すっと一緒にいてください』の意味・・。」

「そう。」


私はその花束を受け取った。

すると涼さんはまた手を伸ばして大きな花束を取り出した。


「今度は101本だよ。・・・『これ以上ないほど愛してる』。」


私は受け取った花束を足元に置いた。

そして101本の花束を受け取る。

するとまた涼さんは花束を取り出したのだ。


「これが最後。・・・108本。」


涼さんはその花束を手に持ち、片膝をついた。

そして私に手渡すようにしながらゆっくりと言った。


「俺と・・・結婚してください。」




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