溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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「帰ってきたぁ・・・。」


涼さんの家に帰って来た私はソファーにダイブした。

プライベートジェットで快適に乗れてたとはいえ、疲れることには変わりないのだ。


「疲れすぎてはない?大丈夫?」

「今日寝たら大丈夫ー・・・。」


大抵の疲れは寝れば取れるもの。

自分の身体のことをよくわかってる私は、どうするのが最善なのか知っていた。


「そっか。今は昼過ぎだし、ごろごろしてな?」

「うんー・・・。」


そう言って涼さんは部屋の暖房を入れた。

もう11月に入ってる日本は寒く、そろそろコートを準備しないといけない。


「んー・・・。」


効き始めた暖房に、うとうとと眠気を感じながら目を閉じてると、涼さんが私の名前を呼んだ。


「ハルー?」


その声に目を開けると、涼さんが大きな箱を持って立っていた。


「ぅん・・?」

「明日、付き合って欲しい所あるんだけど・・・いい?」

「?・・・うん、大丈夫だよ・・?」


寝ぼけながら答えると、涼さんは箱をテーブルの上に置いた。


「俺、昼まで仕事だからお昼から付き合って?それで・・・この服で行ってくれない?」


そう言って涼さんは箱を開けた。

中から出て来たのは・・・真っ白の服のセットだった。

白いチュールスカートに、白いニット、白いジャケットに白いパンプスだ。


「・・・えぇ!?」


あまりの量にソファーから飛び起きた私に、涼さんは服をあてがってきた。


「うん、かわいい。」

「~~~~っ。」

「仕事が終わったら迎えに来るから家で待ってて?」

「う・・うん・・・。」

「じゃ、ちょっと出て来る。」


涼さんは私の頬にキスをして、そのまま家を出て行ってしまった。

残された私はただ茫然と白い服たちを見つめていた。


「・・・どっかのパーティー・・・?」


それにしては服装がおかしいような気がする。

行き先を言わずに『付き合って欲しいところがある』と言っただけってところも疑問だった。


「うーん・・?」


悩む私とは裏腹に、涼さんは帰って来てからも行き先を教えてはくれなかった。

のらりくらりとかわされてしまい、一体にどこに付き合って欲しいのかわからないまま、私は次の日を迎えることになってしまった。



翌朝・・・。



「じゃ、昼前くらいに迎えにくるから。・・・あ、ご飯は食べないでいてね。」


そう言って涼さんはグレーのスーツに身を包み、仕事に行ってしまった。

私は旅行の荷物を片付けながら出かける準備をしていく。

涼さんが昨日してくれた洗濯ものを畳み、朝ご飯の食器を洗って掃除機をかけると、もういい時間になっていた。

使ったスーツケースを広げて除菌スプレーをかけ、私はメイクを始めた。


「白い服だったから・・・あまりメイクはしないほうがいいかな。」


服に合わせるようにしてファンデーションを塗り、アイメイクにチークにと薄く重ねていった。

ある程度メイクを済ませて服を着替え、仕上げをしたときにちょうど玄関が開く音が聞こえた。


「ただいまー。ハルー?用意できたー?」


パタパタと廊下を歩いて来る涼さんに、私は洗面所から飛び出て出迎えた。


「おかえりっ。どう?」


私のサイズにぴったりな服を魅せるように身体を動かすと、涼さんは立ち止まって上から下まで何度も私を見てくれた。


「よく似合ってる。」

「へへっ。ありがとうっ。」


そう答えると涼さんは腕時計を見た。


「あ、急がないと・・・。ハル、すぐ出れそう?」

「うん。鞄取ってくるー。」


リビングに置いてある鞄を取りに行こうとしたとき、涼さんが私の手を握った。


「鞄はいらない。手ぶらでいいから行くよー。」


そう言って私の手を引き、玄関に向かっていった。


「え!?や・・鞄はいるよ・・!?」


『財布はいらない』とはよく言われるけどさすがに鞄は必要だ。

ハンカチやティッシュ、スマホにメイク道具など色々必要なものがある。


「いいから。」


涼さんは玄関に置いておいた白いパンプスを私に向けて置いてくれた。

それを履いて、飛び出るように家を出た。


「そんなに急いでるの?」


エレベーターに乗り込み、地上に着くまでの間に聞いた。


「うん、ちょっと時間が・・・ね。」

「?」


お昼からのパーティーなんだろうかと思いながら、慌てるようにして車に乗せられた。

涼さんは慣れた手つきで車を発進させる。


「あ、ハルの鞄、後ろにあるから取って?」

「え?・・あ、うん。」


助手席で身を捻り、手を伸ばすと小さい鞄が取れた。

これも真っ白でポシェットのようだ。


「ハンカチとかは入ってるから。」


そう言われてポシェットを開けると、確かにハンカチが入っていた。

それもまた真っ白で、ティッシュも白い。


「?・・・全部『白』って何か意味あるの?」


いくらなんでも統一しすぎな感じがして聞くと、涼さんは自分の指を口に立てあてた。


「ナイショ。」

「?」


涼さんの『ナイショ』の意味が分からないまま、車は走って行った。



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