溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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ハルの視線の先にあるのはジェット機だ。

それもプライベートジェット。


「・・・へっ!?」

「乗り継ぎとか面倒だし、身体も疲れるだろ?だから手配しといた。」


身体に疲れを溜めるとハルの古傷が痛み出すことがある。

一晩中介抱することは苦じゃないけど、痛みに耐える姿は見たくないものだ。

ハルに辛い思いもさせたくない。


「え!?いやっ・・へ!?」


理解が追いつかないハルは口をぱくぱくさせて、まるで鯉のようだった。

そんなハルの手を引いて、プライベートジェットに乗り込んでいく。


「涼さん、飛行機持ってたの!?」


タラップを上がりながら聞いてきたハルに、俺は言葉を濁しながら言った。


「うーん・・・まぁ、若気の至りってやつだから気にしないで。」

「気にしないなんてできるわけないじゃない・・・」

「ほんとは行きから使いたかったんだけど、数年使ってなかったからメンテに時間かかってたんだよ。キリバスの出国に間に合ってよかった。」

「えー・・・そういう問題じゃないと思うんだけど・・・」


若干パニックになってるハルと一緒にプライベートジェットに乗り込むと、すぐに離陸の準備に入った。

中のことはあとで説明するとして、とりあえずハルをシートに座らせる。


「パイロットからアナウンスが聞こえてきたらシートから下りていいから。それまでベルト締めて座ってて?」

「う・・うん・・。」


ハルは借りて来た猫のように、ちょこんっといい子でシートに座っていた。

その向かいのシートに俺も座ると同時に飛行機が動き出した。

すぐさま離陸体勢に入り、飛行機が加速していく。

そして地面を離れ、あっという間にキリバスが見えなくなるほど上空に到達した。


《楽にしていただいて大丈夫です。》


英語でパイロットからアナウンスが流れ、俺はシートから立ち上がった。

ハルの手を握り、ハルも立たせる。


「飛行機の中、案内するよ。」


俺はハルを連れて飛行機の中を進んだ。


「最初に座ってたのがラウンジ。隣の部屋がダイニング。その奥がオフィスルームで一番奥にベッドルームがある。トイレはベッドルームの向こうにあるから。」


そう言うとハルはまた口をぽかんと開けて部屋たちを見ていた。


「飛行機の中だなんて思えない・・・家みたい・・・。」

「まぁ、快適性を重視してるからねぇ。」

「すごい・・・。」


キョロキョロと辺りを見回しながらゆっくり歩くハル。

その手を引きながら、俺は奥にあるベッドルームにハルを連れて行った。

先に俺がベッドに腰かけ、ハルに座るよう要求する。


「ほら。結構寝心地いいと思うよ?」


俺に促されてハルも座り、その感触を体で味わうように上下に身体を揺すっていた。


「ふぁ・・・気持ちいい・・・。」


ギシギシと鳴るベッド。

にこにこと笑うハルがかわいくて、俺はハルの身体をベッドに沈めた。


「ふぁっ・・!?」

「今回、CAをつけたんだけど・・・ここ、一番奥の部屋になるから来ないんだよ?」

「へっ・・!?」

「ハルさえ大きな声を出さなきゃ・・・バレない。」


そう言ってハルの唇に自分の唇をそっと重ねた。

そのあとすぐに離し、笑顔でハルの身体を起こす。


「なーんてね。」






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