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「よし!ちゃっちゃと済ませて来るね!ロビーで待ってて!」
式場に着いた私たちは、ロビーで別れた。
美園さんは駆け足で裏口に行き、残された私は連に間借りしてた部屋に向かって足を進めた。
お式の最中だからかスタッフの数も少なく、1カ月ぶりに通る人気のない通路がなぜか懐かしく感じる。
「また来れるようになるかなー・・・、涼さん、心配性だからお店と家しか往復させてくれないし・・。」
不満もあるものの、全ては私の為にしてくれてること。
自分から危険を冒すことはできない。
「『犯人が捕まるまで』って話になってるけど・・・いつになるのかな。」
そんなことをぼやきながら足を進め、私は間借りしていた部屋のドアを開けた。
覗き込むようにして顔だけ部屋に入れ、私が作業してたところを見る。
すると、置いてあったはずのハーバリウムの材料たちが全て無くなっていたのだ。
何もないテーブルだけが寂しそうにある。
「?・・・連が集めてどっかにしまってくれてるのかな?」
そんなことを思いながら私は足を踏み入れた。
どこかに私の荷物がないか、辺りを見回しながら足を進める。
「多分、鞄は連が預かってくれてると思うけど・・ハーバリウムたちはここだと思うんだけどなぁ・・。」
できれば材料たちをいくつか持って帰りたいと思いながら、私はキョロキョロと見回した。
見覚えのある荷物たちを通り過ぎながらテーブルに近づいたとき、私を呼ぶ声が聞こえて来た。
「あ!見つけた!」
「?」
声に気づいて振り返ると、そこにはお花用の作業場で仕事をするスタッフリーダーの姿があった。
明らかに私を見てる。
「ちょっと!手伝ってくれない!?」
「え・・私・・?」
「あんた以外に誰がいるってのよ!さっさと来てよ!」
スタッフリーダーは足音を大きく立てながら私に近づいて来た。
あまりの音の大きさに、なんだか嫌な気がする。
「ほら!!」
そのまま私の手を掴み、スタッフリーダーはずんずんと歩き始めた。
「ちょ・・!私、行くって言ってないんだけど・・!?」
「早く来て!あんたが来るの待ってたんだから!」
そう言って歩くスタッフリーダーは何かぶつぶつ言い始めた。
何を言ってるのか最初は聞き取れなかったけど、耳を澄ませて聞いてみることに。
「さっさと来ないから私が怒られたじゃん・・ここから連れ出してくれるっていうから早く来て欲しかったのに・・・」
そんなことをぶつぶつ言ってるのが聞こえた。
(『連れ出す』?私を?・・・仕事で呼びに来たんじゃないの・・?)
呟いてる内容を不審がってると、スタッフリーダーは作業場の部屋を通り過ぎて行った。
「・・・ここじゃないの?」
そう聞くと振り返ることもなく前を向きながら言い放った。
「こっち!」
「・・・。」
明らかに嫌な予感がする。
私のことを嫌ってるような雰囲気を出しながらも、私を待っていたという彼女。
それは何か・・彼女に利益のあることが待ってるから、私が来るのを待ち望んでいたという解釈もできる。
(逃げたほうがいい・・?)
『仕事』と言われたけどどうもそうじゃない気がしてたまらない私は、『逃げる』という選択肢が頭に浮かんだ。
でももし本当に『仕事』だったら逃げてはいけない。
私が逃げたことでお客さまが困るかもしれなからだ。
(どうしよう・・・。)
悩みながら手を引っ張られて角を曲がった時、悩んでた考えが『逃げる』に決まった。
曲がった角の先に、ナイフを手に持った男の人が立っていたからだ。
「ハルちゃん・・・おかえり・・・。」
「!!」
その声を聞いた瞬間、私は握られていた手を振りほどいて走って逃げた。
あれは『ストーカー』の声だ。
(やだ・・っ・・やだっ・・!)
背中がぞわぞわする嫌な感覚を何度も感じながら、私は走った。
一気に思い出す4年前のこと。
言葉にして誰かに話すのとは違って、一気に過去に引き戻されたような感覚に陥った。
ここで逃げないと、二度と日常には戻れない。
「はぁっ・・!はぁっ・・!誰か・・!!」
声を上げながら人を探すものの、ちょうどお式の時間だからか人がいない。
どこかの部屋に飛び込もうかとも思うけど、そこで逃げ場がないような状況になることは避けたい。
だからどこにも逃げ込めないでいた。
「誰かいませんか!?誰かっ・・!」
そう叫びながら通路を曲がった時、出会い頭に誰かとぶつかった。
どんっ・・!と身体全体を思いきりぶつけ、私は足を止めて前を見た。
「あ・・!助けてくださ・・・」
出会えた貴重な人に助けを求めようとしたとき、私の頭から血の気が引いて行くのを感じた。
目の前に立っていたのは・・・さっきナイフを持っていたストーカーだったのだ。
「あ・・あ・・・・」
「ハルちゃん、どこいってたの?探したんだから・・・」
後ずさりする私に近づきながらいうストーカーに、見覚えがあることに私は気がついた。
この人は先月、私が間借りしてる作業部屋に来た人だった。
ちょうど涼さんから『すぐに帰れ!』と連絡を受けた時に私と喋ってた人だった。
「あなた・・この前の・・・」
「すぐに思い出してくれなくて僕、寂しかったんだから。」
私が一歩下がれば一歩近づいて来るを繰り返しながら、ストーカーは話し続けていた。
4年前に私を刺したあと、再び私に接触するチャンスを狙っていたこと。
でも私が引っ越したから居場所がわからずにずっと探していたことを・・・。
「見つけることができたのはSNSのおかげなんだよ。どこかのパーティーで出てたよね?『悠春ちゃん』?」
「・・・。」
涼さんと会食に行った時に撮られた写真はSNSで賑わいをみせていた。
一度出回ったものは回収ができないから、治まるのを待っていたけど・・・まさかな人に見られていたみたいだ。
「SNSで見てから家を探したんだよ?マンションに住んでるだろうと思ったから・・・『ここかな?』と思うところは火をつけて住人の確認。なかなか見つからなかったけど・・・二季条のマンションに住んでたんだねぇ・・。」
「私を見つけるために・・火をつけたの・・?」
「そうだよ?あの日、キミの怯えてる姿を見つけた時は胸が高鳴ったねぇ・・・。」
「!!」
ニヤつくストーカーに恐怖を覚えたとき、ストーカーはナイフをぶんっと振った。
びっくりして自分の手身体を守ろうとしたとき、そのナイフが私の腕をかすり上げた。
「いぃっ・・!」
着ていた長袖のブラウスがぱっくり割れ、血が腕を伝うのがわかった。
「あぁぁ・・ハルちゃん、その痛みに歪んだ顔・・最高だよ。」
至極幸せそうに笑うストーカーは、私との距離を一気に詰めて来た。
「ひっ・・!」
急に近くなったストーカーの顔に、更に恐怖を感じた私は目をぎゅっと閉じた。
腕で顔を守るようにして覆ったとき、どんっ・・!と鈍い音が聞こえた。
その瞬間、辺りにあるものを蹴散らすような音も聞こえたのだ。
「・・・?」
そっと目を開けてみると、私の目の前にいたハズのストーカーの姿が消えていた。
「え・・?」
目線を前にすると、少し離れたところで豪快に倒れてるストーカーが目に入った。
「なんで・・・」
お腹をかかえるようにして悶えながら床に倒れこんでるストーカー。
苦しそうにしながらも私を睨みつけながら立ち上がろうとしていた。
その時・・・
「ひぁっ・・!?」
ぐぃっ・・!と、身体を引かれ、私は後ろ向きに倒れた。
床に身体をぶつけることを覚悟したとき、私の身体を誰かに抱え上げられたのだ。
「・・・ハル!無事か!?」
聞き覚えのある声に、私は涙を溢れさせながら振り返った。
「涼さん・・!」
式場に着いた私たちは、ロビーで別れた。
美園さんは駆け足で裏口に行き、残された私は連に間借りしてた部屋に向かって足を進めた。
お式の最中だからかスタッフの数も少なく、1カ月ぶりに通る人気のない通路がなぜか懐かしく感じる。
「また来れるようになるかなー・・・、涼さん、心配性だからお店と家しか往復させてくれないし・・。」
不満もあるものの、全ては私の為にしてくれてること。
自分から危険を冒すことはできない。
「『犯人が捕まるまで』って話になってるけど・・・いつになるのかな。」
そんなことをぼやきながら足を進め、私は間借りしていた部屋のドアを開けた。
覗き込むようにして顔だけ部屋に入れ、私が作業してたところを見る。
すると、置いてあったはずのハーバリウムの材料たちが全て無くなっていたのだ。
何もないテーブルだけが寂しそうにある。
「?・・・連が集めてどっかにしまってくれてるのかな?」
そんなことを思いながら私は足を踏み入れた。
どこかに私の荷物がないか、辺りを見回しながら足を進める。
「多分、鞄は連が預かってくれてると思うけど・・ハーバリウムたちはここだと思うんだけどなぁ・・。」
できれば材料たちをいくつか持って帰りたいと思いながら、私はキョロキョロと見回した。
見覚えのある荷物たちを通り過ぎながらテーブルに近づいたとき、私を呼ぶ声が聞こえて来た。
「あ!見つけた!」
「?」
声に気づいて振り返ると、そこにはお花用の作業場で仕事をするスタッフリーダーの姿があった。
明らかに私を見てる。
「ちょっと!手伝ってくれない!?」
「え・・私・・?」
「あんた以外に誰がいるってのよ!さっさと来てよ!」
スタッフリーダーは足音を大きく立てながら私に近づいて来た。
あまりの音の大きさに、なんだか嫌な気がする。
「ほら!!」
そのまま私の手を掴み、スタッフリーダーはずんずんと歩き始めた。
「ちょ・・!私、行くって言ってないんだけど・・!?」
「早く来て!あんたが来るの待ってたんだから!」
そう言って歩くスタッフリーダーは何かぶつぶつ言い始めた。
何を言ってるのか最初は聞き取れなかったけど、耳を澄ませて聞いてみることに。
「さっさと来ないから私が怒られたじゃん・・ここから連れ出してくれるっていうから早く来て欲しかったのに・・・」
そんなことをぶつぶつ言ってるのが聞こえた。
(『連れ出す』?私を?・・・仕事で呼びに来たんじゃないの・・?)
呟いてる内容を不審がってると、スタッフリーダーは作業場の部屋を通り過ぎて行った。
「・・・ここじゃないの?」
そう聞くと振り返ることもなく前を向きながら言い放った。
「こっち!」
「・・・。」
明らかに嫌な予感がする。
私のことを嫌ってるような雰囲気を出しながらも、私を待っていたという彼女。
それは何か・・彼女に利益のあることが待ってるから、私が来るのを待ち望んでいたという解釈もできる。
(逃げたほうがいい・・?)
『仕事』と言われたけどどうもそうじゃない気がしてたまらない私は、『逃げる』という選択肢が頭に浮かんだ。
でももし本当に『仕事』だったら逃げてはいけない。
私が逃げたことでお客さまが困るかもしれなからだ。
(どうしよう・・・。)
悩みながら手を引っ張られて角を曲がった時、悩んでた考えが『逃げる』に決まった。
曲がった角の先に、ナイフを手に持った男の人が立っていたからだ。
「ハルちゃん・・・おかえり・・・。」
「!!」
その声を聞いた瞬間、私は握られていた手を振りほどいて走って逃げた。
あれは『ストーカー』の声だ。
(やだ・・っ・・やだっ・・!)
背中がぞわぞわする嫌な感覚を何度も感じながら、私は走った。
一気に思い出す4年前のこと。
言葉にして誰かに話すのとは違って、一気に過去に引き戻されたような感覚に陥った。
ここで逃げないと、二度と日常には戻れない。
「はぁっ・・!はぁっ・・!誰か・・!!」
声を上げながら人を探すものの、ちょうどお式の時間だからか人がいない。
どこかの部屋に飛び込もうかとも思うけど、そこで逃げ場がないような状況になることは避けたい。
だからどこにも逃げ込めないでいた。
「誰かいませんか!?誰かっ・・!」
そう叫びながら通路を曲がった時、出会い頭に誰かとぶつかった。
どんっ・・!と身体全体を思いきりぶつけ、私は足を止めて前を見た。
「あ・・!助けてくださ・・・」
出会えた貴重な人に助けを求めようとしたとき、私の頭から血の気が引いて行くのを感じた。
目の前に立っていたのは・・・さっきナイフを持っていたストーカーだったのだ。
「あ・・あ・・・・」
「ハルちゃん、どこいってたの?探したんだから・・・」
後ずさりする私に近づきながらいうストーカーに、見覚えがあることに私は気がついた。
この人は先月、私が間借りしてる作業部屋に来た人だった。
ちょうど涼さんから『すぐに帰れ!』と連絡を受けた時に私と喋ってた人だった。
「あなた・・この前の・・・」
「すぐに思い出してくれなくて僕、寂しかったんだから。」
私が一歩下がれば一歩近づいて来るを繰り返しながら、ストーカーは話し続けていた。
4年前に私を刺したあと、再び私に接触するチャンスを狙っていたこと。
でも私が引っ越したから居場所がわからずにずっと探していたことを・・・。
「見つけることができたのはSNSのおかげなんだよ。どこかのパーティーで出てたよね?『悠春ちゃん』?」
「・・・。」
涼さんと会食に行った時に撮られた写真はSNSで賑わいをみせていた。
一度出回ったものは回収ができないから、治まるのを待っていたけど・・・まさかな人に見られていたみたいだ。
「SNSで見てから家を探したんだよ?マンションに住んでるだろうと思ったから・・・『ここかな?』と思うところは火をつけて住人の確認。なかなか見つからなかったけど・・・二季条のマンションに住んでたんだねぇ・・。」
「私を見つけるために・・火をつけたの・・?」
「そうだよ?あの日、キミの怯えてる姿を見つけた時は胸が高鳴ったねぇ・・・。」
「!!」
ニヤつくストーカーに恐怖を覚えたとき、ストーカーはナイフをぶんっと振った。
びっくりして自分の手身体を守ろうとしたとき、そのナイフが私の腕をかすり上げた。
「いぃっ・・!」
着ていた長袖のブラウスがぱっくり割れ、血が腕を伝うのがわかった。
「あぁぁ・・ハルちゃん、その痛みに歪んだ顔・・最高だよ。」
至極幸せそうに笑うストーカーは、私との距離を一気に詰めて来た。
「ひっ・・!」
急に近くなったストーカーの顔に、更に恐怖を感じた私は目をぎゅっと閉じた。
腕で顔を守るようにして覆ったとき、どんっ・・!と鈍い音が聞こえた。
その瞬間、辺りにあるものを蹴散らすような音も聞こえたのだ。
「・・・?」
そっと目を開けてみると、私の目の前にいたハズのストーカーの姿が消えていた。
「え・・?」
目線を前にすると、少し離れたところで豪快に倒れてるストーカーが目に入った。
「なんで・・・」
お腹をかかえるようにして悶えながら床に倒れこんでるストーカー。
苦しそうにしながらも私を睨みつけながら立ち上がろうとしていた。
その時・・・
「ひぁっ・・!?」
ぐぃっ・・!と、身体を引かれ、私は後ろ向きに倒れた。
床に身体をぶつけることを覚悟したとき、私の身体を誰かに抱え上げられたのだ。
「・・・ハル!無事か!?」
聞き覚えのある声に、私は涙を溢れさせながら振り返った。
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