溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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翌日。

美園さんからのランチのお誘いを受けた私は待ち合わせ場所で彼女を待っていた。

腕時計をちらちら見ながら、辺りも見回す。


「早く来過ぎたかなぁ・・・。」


そんなことを考えてる時、遠くで手を振ってる人を見つけた。

あれは美園さんだ。


「あ・・!」

「ごめーん!遅れちゃった!?」


手を振りながら駆けてきてくれた美園さん。

その姿に昔を思い出す。


「ふふっ、前もこんなことあったね。」

「えー?そうだったー?」

「あったあった、あの時はーーーー」


他愛ない昔話をしながら私たちは歩き出した。

昔話に花を咲かせ、道を歩いて行く。

目に入ったカフェに入り、コーヒーを飲んで・・・私たちはとにかく喋っていた。

4年前のことや、それ以前のこと、そして今を。


「へぇー、じゃあ今は彼氏と同棲中なんだ?」

「同棲っていうか・・間借りさせてもらってるんだけど・・まぁ、そうなるのかな。」

「そうなるでしょ・・。いいねぇ、彼氏。ハルちゃんかわいいからー。」

「そんなことないよ・・。」


照れながらストローに口をつけた時、美園さんのスマホが鳴った。


「あ、ごめん、ちょっと仕事・・・。」

「いいよいいいよ、大丈夫ー。」


美園さんは電話に出た。


「はい、美園です。・・・え・・あー・・・はい。・・・そうですね・・あー・・・うぅぅ・・・わかりました・・。失礼します・・。」


電話を切ったあと、美園さんは気まずそうに私を見た。


「ごめんハルちゃん・・一瞬だけ仕事に付き合ってくれない・・?」

「・・・へ?」

「今日お式のカップルがいるんだけど、着付けできる子が急病で休んだらしくて・・・」


そこまで聞くとどんな電話内容だったのか予想がついた。

おそらく着付けのできる美園さんにヘルプの電話がかかってきたのだろう。


「あははっ、いいよ?一緒に行こ?」


そう言って私は席から立ち上がった。


「ほんとごめんーっ。お詫びに晩御飯奢るからね!」

「いや、大丈夫だよー。それより早く行こうっ。」


お会計を済ませ、私たちはカフェから出た。

急ぎ足に美園さんの仕事場に向かう。


「美園さんって今どこにいるの?」


連の仕事場はいくつかある。

私がよく手伝いにいくところは結婚式の花部門のような場所だけど、他にもいろいろあるのだ。

持ってる資格やできることで配属先が変わったりもする。


「あ、言ってなかった?今はプランナーだよ。一組一組のお式をサポートさせてもらってるー。そして仕事場はハルちゃんと一緒のとこ!」

「!!・・・え!ほんと!?すごい!・・・あれ?今日は仕事じゃないの?」

「私が担当してるカップルのお式は今日はないのよ。だからランチに誘ったの。」

「なるほど・・・。」


そんな話をしながら美園さんは近くを通りかかったタクシーを止めた。

そこに二人で乗り込み、美園さんの仕事場に向かう。


(あ・・警備の人、大丈夫かな。)


私が突然タクシーに乗ることはきっと想定してないだろう。

だから涼さんにメールを打つことにした。

『美園さんと一緒にちょっと仕事行ってきます。』と。


(警備の人、私を見失ってたら申し訳ないから・・・お土産でも買って帰ろうかな。)


例え警備の人がついて来れなかったとしても、今日は美園さんと一緒だ。

誰かと一緒なら『何か』起きることはない。


(あ、そうだ。)


そう思った私は、ついでに連に預かってもらってた荷物も持って帰ろうと思った。

美園さんが着付けをしてる間に取りに行けば、無駄な時間も省ける。


(うんうん、そうしよう。)


でもこの考えが間違いだったことを、私はあとで思い知らされる。


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