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「・・・は?」
私の言葉に、涼さんの表情が変わった。
明らかに怒ってる顔に変わったのだ。
「なんでそうなる?」
「ごめ・・・」
堪えきれない涙が目から溢れる。
本心ではない言葉を言ったことの抵抗と、涼さんの気持ちを踏みにじる行動が私の頭を混乱させてるのだ。
言いたくもない言葉を言った責任は・・・とらないといけない。
「ハルは俺のこと嫌いになった?」
涼さんはさっきの怒ってる表情を変えた。
いつもの・・・優しい顔だ。
「正直に答えて。ハルは俺と一緒にいたくない?」
「----っ!」
ここは『いたくない』と瞬時に答えるのが正解だ。
涼さんにこれ以上迷惑をかけない為に、そう言わないといけない。
なのに・・・その判断がほんの少し遅れてしまったのだ。
「い・・いたくない・・。」
「嘘だな。」
「!!」
「大方、誰かに迷惑かけるのが忍びなくて『別れる』って結論になったってとこだな。」
「な・・なんで・・・・」
「『なんでわかったの?』って?もう1年半も見てるんだから当然だろ?」
涼さんは私が勤める花屋に来るようになってから、毎日のように私のことを考えてくれていたことを思い出した。
私が考えることや起こす行動はほとんど予測がつくようになってることも。
(そうだった・・この人に嘘はつけないんだった・・。)
私の好きな食べ物、飲み物・・それに好きな場所も涼さんは知り尽くしてる。
もちろん私の苦手なことも・・・。
そんな相手に、自分自身が思ってもない『別れたい』なんて言葉、通じるはずがなかったのだ。
「・・・ごめんなさい。」
浅はかだった自分の考え。
その全てを悔いながら私は俯いた。
「わかるよ?ハルの考えは。でも・・それじゃ何も解決しないだろ?」
「・・・はい。」
「大人の中で生きて来たハルは、自分が大人になってると思ってるだろうけど、俺からみたらまだまだ社会経験の甘い子供だからな?」
「・・・。」
ごもっともな話だ。
華道と言う特殊な世界にいた私は、大人に囲まれていた。
礼儀作法の厳しい世界ではあったけど、対等に話してもらえる機会も多かったのだ。
一人でしなきゃいけないこともあったからか、私は自然と人に頼らない生活を送るようになってしまっていた。
今年で私は23歳になる。
これを『もう23歳』と取るか『まだ23歳』と取るかは難しいところだけど、涼さんから見たら『まだ23歳』になるようだった。
「ハルの思ってること全部言って?矛盾してたっていいんだよ。言葉にすることで頭の整理にもなる。」
「・・・・。」
「少しずつでいいから。」
涼さんは私の頭を撫でたあと、背中を擦り始めた。
頭の中で整理してから言葉にしたいところだったけど、気がつけば思ってるままにぼぞぼそと私は話していた。
またストーカーが私を狙ってやってきたとき、涼さんやこの会社の人に迷惑をかけたくないこと。
誰かがケガやそれ以上の負傷を追うようなことになってしまうかもしれないことが怖いことを。
「・・・『誰か』じゃなくて『自分』の身を案じて欲しいんだけどな。」
そう言われ、私は首を横に振った。
「ハルは優しいからな・・。さて、どうしようか。さっきは『ずっと家にいて欲しい』って言ったけどハルはそんな気ないんだろ?」
「!!・・・うん、仕事に迷惑はかけれない。ハーバリウムのほうはいいとしても、花屋はスタッフの数も足りないし・・。」
「ハルが出勤しても危なくない方法かー・・ちょっと考えるから今日一日はもう外に出ないでくれる?」
「それは・・・はい、出ません・・」
今日は日曜日で花屋の仕事はない。
荷物を全部置きっぱなしにして帰って来てしまったことが少し悔やまれるけど仕方ないことだった。
(あとで連に連絡して荷物預かっといてもらお・・。)
そう考えてる時、涼さんが覗き込んできた。
「?」
「まだ俺と・・別れたい?」
「---っ!」
笑顔で聞いてくる涼さん。
私は顔を赤くしながら答えた。
「そっ・・そんなわけないじゃん・・・。」
できればこの先、長い年月を重ねても隣にいて欲しい人だ。
別れたいなんて・・・心の底から願うわけない。
「ま、『別れたい』って言われても離す気はないから。」
「~~~っ。」
「体で証明してあげたいところだけど・・・ちょっと仕事してくる。」
「あ、うん・・・。」
内心『残念』と思いながら私は小さく手を振った。
涼さんは私の身体をぎゅっと抱きしめ、そして耳元で囁いた。
「・・・期待した?」
「!?!?」
その言葉に耳まで熱くなったのがわかった。
「ははっ。それはまた今度な。ちゃんと家にいてよ?」
「・・・はい。」
頭から湯気が出そうになりながら、私は両手で自分の顔を隠した。
涼さんはそんな私の頭を一撫でし、仕事に戻って行った。
「はぁー・・・。」
心臓に悪い涼さん。
どきどきする胸を落ち着かせて、私は連に電話をかけた。
電話の向こうで連は『なにがあったんだ?』と心配してくれたけど、『荷物を預かってて欲しい』とだけ伝えて、あとは体調が悪くなったことにしておいた。
連も勘がいいからか、電話越しに『ふーん?』なんて言ってたけど、あまり深くは突っ込んでこなかった。
多分連なりの優しさなんだろう。
「さぁ・・・私も明日からのことを考えなきゃ・・・。」
いつ犯人が接触してくるかわからない。
そして犯人の顔を知らない私は、どう生活していったらいいかわからないのだ。
知らない人はみんな怪しく見えてしまう日々を過ごしていくことになる。
涼さんは『念の為に』と私の仕事場まで送迎してくれ、花屋の回りにも警備の人をつけてくれることになった。
基本的に寄り道はせずに、毎日花屋と家の往復。
連の仕事場にも行かないようにして・・・
1カ月の時間が流れようとしていた。
私の言葉に、涼さんの表情が変わった。
明らかに怒ってる顔に変わったのだ。
「なんでそうなる?」
「ごめ・・・」
堪えきれない涙が目から溢れる。
本心ではない言葉を言ったことの抵抗と、涼さんの気持ちを踏みにじる行動が私の頭を混乱させてるのだ。
言いたくもない言葉を言った責任は・・・とらないといけない。
「ハルは俺のこと嫌いになった?」
涼さんはさっきの怒ってる表情を変えた。
いつもの・・・優しい顔だ。
「正直に答えて。ハルは俺と一緒にいたくない?」
「----っ!」
ここは『いたくない』と瞬時に答えるのが正解だ。
涼さんにこれ以上迷惑をかけない為に、そう言わないといけない。
なのに・・・その判断がほんの少し遅れてしまったのだ。
「い・・いたくない・・。」
「嘘だな。」
「!!」
「大方、誰かに迷惑かけるのが忍びなくて『別れる』って結論になったってとこだな。」
「な・・なんで・・・・」
「『なんでわかったの?』って?もう1年半も見てるんだから当然だろ?」
涼さんは私が勤める花屋に来るようになってから、毎日のように私のことを考えてくれていたことを思い出した。
私が考えることや起こす行動はほとんど予測がつくようになってることも。
(そうだった・・この人に嘘はつけないんだった・・。)
私の好きな食べ物、飲み物・・それに好きな場所も涼さんは知り尽くしてる。
もちろん私の苦手なことも・・・。
そんな相手に、自分自身が思ってもない『別れたい』なんて言葉、通じるはずがなかったのだ。
「・・・ごめんなさい。」
浅はかだった自分の考え。
その全てを悔いながら私は俯いた。
「わかるよ?ハルの考えは。でも・・それじゃ何も解決しないだろ?」
「・・・はい。」
「大人の中で生きて来たハルは、自分が大人になってると思ってるだろうけど、俺からみたらまだまだ社会経験の甘い子供だからな?」
「・・・。」
ごもっともな話だ。
華道と言う特殊な世界にいた私は、大人に囲まれていた。
礼儀作法の厳しい世界ではあったけど、対等に話してもらえる機会も多かったのだ。
一人でしなきゃいけないこともあったからか、私は自然と人に頼らない生活を送るようになってしまっていた。
今年で私は23歳になる。
これを『もう23歳』と取るか『まだ23歳』と取るかは難しいところだけど、涼さんから見たら『まだ23歳』になるようだった。
「ハルの思ってること全部言って?矛盾してたっていいんだよ。言葉にすることで頭の整理にもなる。」
「・・・・。」
「少しずつでいいから。」
涼さんは私の頭を撫でたあと、背中を擦り始めた。
頭の中で整理してから言葉にしたいところだったけど、気がつけば思ってるままにぼぞぼそと私は話していた。
またストーカーが私を狙ってやってきたとき、涼さんやこの会社の人に迷惑をかけたくないこと。
誰かがケガやそれ以上の負傷を追うようなことになってしまうかもしれないことが怖いことを。
「・・・『誰か』じゃなくて『自分』の身を案じて欲しいんだけどな。」
そう言われ、私は首を横に振った。
「ハルは優しいからな・・。さて、どうしようか。さっきは『ずっと家にいて欲しい』って言ったけどハルはそんな気ないんだろ?」
「!!・・・うん、仕事に迷惑はかけれない。ハーバリウムのほうはいいとしても、花屋はスタッフの数も足りないし・・。」
「ハルが出勤しても危なくない方法かー・・ちょっと考えるから今日一日はもう外に出ないでくれる?」
「それは・・・はい、出ません・・」
今日は日曜日で花屋の仕事はない。
荷物を全部置きっぱなしにして帰って来てしまったことが少し悔やまれるけど仕方ないことだった。
(あとで連に連絡して荷物預かっといてもらお・・。)
そう考えてる時、涼さんが覗き込んできた。
「?」
「まだ俺と・・別れたい?」
「---っ!」
笑顔で聞いてくる涼さん。
私は顔を赤くしながら答えた。
「そっ・・そんなわけないじゃん・・・。」
できればこの先、長い年月を重ねても隣にいて欲しい人だ。
別れたいなんて・・・心の底から願うわけない。
「ま、『別れたい』って言われても離す気はないから。」
「~~~っ。」
「体で証明してあげたいところだけど・・・ちょっと仕事してくる。」
「あ、うん・・・。」
内心『残念』と思いながら私は小さく手を振った。
涼さんは私の身体をぎゅっと抱きしめ、そして耳元で囁いた。
「・・・期待した?」
「!?!?」
その言葉に耳まで熱くなったのがわかった。
「ははっ。それはまた今度な。ちゃんと家にいてよ?」
「・・・はい。」
頭から湯気が出そうになりながら、私は両手で自分の顔を隠した。
涼さんはそんな私の頭を一撫でし、仕事に戻って行った。
「はぁー・・・。」
心臓に悪い涼さん。
どきどきする胸を落ち着かせて、私は連に電話をかけた。
電話の向こうで連は『なにがあったんだ?』と心配してくれたけど、『荷物を預かってて欲しい』とだけ伝えて、あとは体調が悪くなったことにしておいた。
連も勘がいいからか、電話越しに『ふーん?』なんて言ってたけど、あまり深くは突っ込んでこなかった。
多分連なりの優しさなんだろう。
「さぁ・・・私も明日からのことを考えなきゃ・・・。」
いつ犯人が接触してくるかわからない。
そして犯人の顔を知らない私は、どう生活していったらいいかわからないのだ。
知らない人はみんな怪しく見えてしまう日々を過ごしていくことになる。
涼さんは『念の為に』と私の仕事場まで送迎してくれ、花屋の回りにも警備の人をつけてくれることになった。
基本的に寄り道はせずに、毎日花屋と家の往復。
連の仕事場にも行かないようにして・・・
1カ月の時間が流れようとしていた。
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