55 / 91
55
しおりを挟む
「だめ・・・?」
連に仕事場を貸してもらうと話をした瞬間、涼さんは『ダメ』と言ったのだ。
仕事から帰って来たばかりの涼さんは、ネクタイを外しながら話を続ける。
「来客用の部屋が余ってるから、そこ使いなよ。」
「でも結構場所取るし、散らかしもするし・・・」
「どうせ使ってないんだし、もうハルの部屋にしちゃってもいいよ?」
「え!?そんなわけにいかないよ・・・!」
ネクタイをしまうためにクローゼットに向かう涼さんの後ろをついて行きながら話し続ける。
「乾燥剤とかはもう新しいのを買おうと思ってる。でも一つ作るのに結構時間かかるし置いとく場所もいるの。」
「・・・。」
「お花も結構な数いるし、連だったら珍しいお花だって・・・」
涼さんはクローゼットにネクタイをしまい、カッターシャツも脱いだ。
脱いだシャツを床に無造作に置き、私の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「ふぁっ!?」
「貫地谷グループの代表のとこになんか行かせれるわけないだろ?」
「へ!?ちょ・・!連はお兄ちゃんにしか見てないよっ!?」
「・・・。」
「それに仕事だからっ・・!」
「・・・。」
無言で私を抱きしめる涼さんの腕は力が入っていた。
まるで『どこにも行かせない』と言ってるみたいだ。
でも・・・力が入っていても涼さんは私を苦しめるような強さでは抱きしめてこない。
その優しさがまた・・・私を想ってくれてる証拠だった。
「・・・『お部屋』、使っていいよって言ってくれてありがとう。」
私も涼さんの背中に手を回し、そう伝えた。
「でもね?仕事は仕事だと思うの。新しく始めた仕事、ちゃんと軌道に乗るようにしてくれたの涼さんでしょ?私がしたいっていったことを応援してくれるの嬉しいよ?」
そう言うと涼さんは私を腕から解放してくれた。
「わかってる。まぁ・・ほんとのところ、貫地谷グループのとこにいくのはそんなに嫉妬はしてないんだよ。」
「え?」
「実はさ・・・」
涼さんは私の手を引き、リビングに戻りながら話してくれた。
最近、連の会社と繋がりを持つきっかけがあったらしいのだ。
「え、そうなの?」
「うん。まぁ、式の前に結納とかする家もあるだろ?」
「うん。」
「家でするところもあるけど、最近はホテルでするところも多いらしいんだよ。」
「へぇー!ホテル!」
「双方の実家が遠方だったらそのままホテルに宿泊して、観光もしてー・・みたいなプランもあるみたいで、うちに入ってる旅行会社がそのプランを結婚式場に持って行ったんだってさ。」
「!!・・・その結婚式場ってまさか・・・」
「そのまさかだよ。貫地谷グループが運営してる式場だったんだってさ。」
そのプランを見た式場の人が、一組のカップルにプランを見せたところ、前向きに検討をしてくれたらしく、繋がりができたそうなのだ。
「へぇー!すごい!」
「式って何カ月も前から準備するから間に結納をして、一緒に式場の下見とかもいいって話もでてるらしい。」
涼さんと連が仕事上で繋がりができたことに驚きもあったけど、嬉しさもあった。
お互いの会社がいいほうに向かっていくなら・・・それ以上のことはない。
「それもあってたまに会ってたんだよ。会うたびに『ハルをよろしく』って言われたし・・。貫地谷さんがいいっていうならいいよ?」
「ほんと!?」
「うん。でもちょっと遠いんじゃない?花屋もハンドメイドも、悠春の依頼もこなしてたらまた疲れ溜まるよ?」
私と涼さんはリビングのソファーに腰かけた。
そして涼さんは私の身体を引き寄せるようにして抱きしめてきた。
「うーん・・・悠春はあまりないからいいんだけど、問題はそこだよねぇ・・・。」
私は平日は花屋で働いてる。
ハーバリウムを作るとしたら土日になるのだ。
そうすると休みは1日も無くなってしまう。
「・・いっその事、花屋の仕事辞めたら?」
そう聞かれ私は引き寄せられてた身体を起こした。
「え?」
「ここで住めば・・・家賃もいらないし、生活費もいらない。そしたらハーバリウムの収入と悠春の収入だけで十分じゃない?」
「それは・・・そうだけど・・・」
悠春の収入だけでも食べていけるくらいはあった。
別にマンションで暮らしても十分収入はあったけど、涼さんからの『ここに住めば』の言葉が私は嬉しかった。
『ずっと一緒にいたい』と言ってもらってるようで、私の顔が綻んでいく。
「・・・ふふ。」
私は嬉しい気持ちが押さえられず、そのまま涼さんの胸に抱きついた。
「お?どうした?」
「ううん?なんでもないよー。・・・ふふっ。」
上機嫌に抱きついてると、涼さんが軽くため息をついて私の身体をソファーに押し倒して来た。
「ふぁっ・・!?」
「はぁー・・・そんなかわいいことされたら食べるしかないだろ?」
「!?・・・ちょ・・!ごはんっ・・!」
「先に前菜な。・・・あ、デザートかな?ハルは甘いから。」
「!?!?・・・んぁっ・・!」
「かわいい声、お腹いっぱいになるまで聞かせて?」
「待っ・・!んんっ・・!」
涼さんはソファーで私の服を剥ぎ取り、私の息が切れるまで愛してくれたのだった・・・。
連に仕事場を貸してもらうと話をした瞬間、涼さんは『ダメ』と言ったのだ。
仕事から帰って来たばかりの涼さんは、ネクタイを外しながら話を続ける。
「来客用の部屋が余ってるから、そこ使いなよ。」
「でも結構場所取るし、散らかしもするし・・・」
「どうせ使ってないんだし、もうハルの部屋にしちゃってもいいよ?」
「え!?そんなわけにいかないよ・・・!」
ネクタイをしまうためにクローゼットに向かう涼さんの後ろをついて行きながら話し続ける。
「乾燥剤とかはもう新しいのを買おうと思ってる。でも一つ作るのに結構時間かかるし置いとく場所もいるの。」
「・・・。」
「お花も結構な数いるし、連だったら珍しいお花だって・・・」
涼さんはクローゼットにネクタイをしまい、カッターシャツも脱いだ。
脱いだシャツを床に無造作に置き、私の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「ふぁっ!?」
「貫地谷グループの代表のとこになんか行かせれるわけないだろ?」
「へ!?ちょ・・!連はお兄ちゃんにしか見てないよっ!?」
「・・・。」
「それに仕事だからっ・・!」
「・・・。」
無言で私を抱きしめる涼さんの腕は力が入っていた。
まるで『どこにも行かせない』と言ってるみたいだ。
でも・・・力が入っていても涼さんは私を苦しめるような強さでは抱きしめてこない。
その優しさがまた・・・私を想ってくれてる証拠だった。
「・・・『お部屋』、使っていいよって言ってくれてありがとう。」
私も涼さんの背中に手を回し、そう伝えた。
「でもね?仕事は仕事だと思うの。新しく始めた仕事、ちゃんと軌道に乗るようにしてくれたの涼さんでしょ?私がしたいっていったことを応援してくれるの嬉しいよ?」
そう言うと涼さんは私を腕から解放してくれた。
「わかってる。まぁ・・ほんとのところ、貫地谷グループのとこにいくのはそんなに嫉妬はしてないんだよ。」
「え?」
「実はさ・・・」
涼さんは私の手を引き、リビングに戻りながら話してくれた。
最近、連の会社と繋がりを持つきっかけがあったらしいのだ。
「え、そうなの?」
「うん。まぁ、式の前に結納とかする家もあるだろ?」
「うん。」
「家でするところもあるけど、最近はホテルでするところも多いらしいんだよ。」
「へぇー!ホテル!」
「双方の実家が遠方だったらそのままホテルに宿泊して、観光もしてー・・みたいなプランもあるみたいで、うちに入ってる旅行会社がそのプランを結婚式場に持って行ったんだってさ。」
「!!・・・その結婚式場ってまさか・・・」
「そのまさかだよ。貫地谷グループが運営してる式場だったんだってさ。」
そのプランを見た式場の人が、一組のカップルにプランを見せたところ、前向きに検討をしてくれたらしく、繋がりができたそうなのだ。
「へぇー!すごい!」
「式って何カ月も前から準備するから間に結納をして、一緒に式場の下見とかもいいって話もでてるらしい。」
涼さんと連が仕事上で繋がりができたことに驚きもあったけど、嬉しさもあった。
お互いの会社がいいほうに向かっていくなら・・・それ以上のことはない。
「それもあってたまに会ってたんだよ。会うたびに『ハルをよろしく』って言われたし・・。貫地谷さんがいいっていうならいいよ?」
「ほんと!?」
「うん。でもちょっと遠いんじゃない?花屋もハンドメイドも、悠春の依頼もこなしてたらまた疲れ溜まるよ?」
私と涼さんはリビングのソファーに腰かけた。
そして涼さんは私の身体を引き寄せるようにして抱きしめてきた。
「うーん・・・悠春はあまりないからいいんだけど、問題はそこだよねぇ・・・。」
私は平日は花屋で働いてる。
ハーバリウムを作るとしたら土日になるのだ。
そうすると休みは1日も無くなってしまう。
「・・いっその事、花屋の仕事辞めたら?」
そう聞かれ私は引き寄せられてた身体を起こした。
「え?」
「ここで住めば・・・家賃もいらないし、生活費もいらない。そしたらハーバリウムの収入と悠春の収入だけで十分じゃない?」
「それは・・・そうだけど・・・」
悠春の収入だけでも食べていけるくらいはあった。
別にマンションで暮らしても十分収入はあったけど、涼さんからの『ここに住めば』の言葉が私は嬉しかった。
『ずっと一緒にいたい』と言ってもらってるようで、私の顔が綻んでいく。
「・・・ふふ。」
私は嬉しい気持ちが押さえられず、そのまま涼さんの胸に抱きついた。
「お?どうした?」
「ううん?なんでもないよー。・・・ふふっ。」
上機嫌に抱きついてると、涼さんが軽くため息をついて私の身体をソファーに押し倒して来た。
「ふぁっ・・!?」
「はぁー・・・そんなかわいいことされたら食べるしかないだろ?」
「!?・・・ちょ・・!ごはんっ・・!」
「先に前菜な。・・・あ、デザートかな?ハルは甘いから。」
「!?!?・・・んぁっ・・!」
「かわいい声、お腹いっぱいになるまで聞かせて?」
「待っ・・!んんっ・・!」
涼さんはソファーで私の服を剥ぎ取り、私の息が切れるまで愛してくれたのだった・・・。
23
お気に入りに追加
547
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる