溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

文字の大きさ
上 下
54 / 91

54

しおりを挟む
翌日・・・


「これ、お願いします。」


仕事に行く前に私は10階にある共有スペースの配送センターで荷物の手配をしていた。

昨日ホームページで売れたハーバリウムは全部で21個。

全部出してしまうと、作るのにも時間がかかってしまうから辞めようと涼さんが助言してくれたのだ。


(新しいドライフラワーを作らないと。・・・あ、でも乾燥剤がマンションにあるから・・・うーん・・、他にもボトルとハーバリウムの液体もいる・・・)


発送の手続きをしながらこれからの段取りを考えていく。

乾燥剤も液体も全部マンションにある。

取りに行くかどうか悩むところだけど、乾燥剤や液体は重たい。

何よりまた消防署の方にお願いしないといけなくなることが私にとって引っかかることだった。


(うーん・・・全部買い替えようかな。でも・・・)


結構場所を取ってしまう材料たち。

ただでさえ間借りさせてもらってる状態なのに、荷物を増やすわけにいかなかった。


(どこか場所だけ借りようかな。)


そんなことを考えながら発想の手続きを終えた時、背中側から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「ハル!」

「?」


涼さんとは違う声に振り返ると、そこに連が立っていた。


「・・・連!?え、どうしてここに・・・」


結婚式場でもなく、結納もできる場所がないこのオフィスビル。

連がいる理由が見つからないのだ。


「結婚式の引き出物を扱ってる会社がここに入ってるんだよ。その打ち合わせ。」

「へぇー、そうなんだ。」


このオフィスビルはたくさんの会社が入ってる。

涼さんは全部の会社を把握していて、そのいくつかが涼さんの会社の傘下らしいけど私は知らない会社のほうが多いのだ。


「ハルは何してるんだ?」


そう聞かれ、私は昨日のことを説明した。

ついでに火事があって今、このビルの最上階に住んでることも・・・。


「新しい仕事はいいな。でも・・大変だったんだな。」

「まぁ・・涼さんがいろいろ助けてくれてて助かってるんだよ。」


そう笑顔で言った時、私はふと思いついたことがあった。

連はお花関係の仕事をしていて、それ専用の仕事場を持ってることを。


「!!・・・連!お願い聞いてくれない・・?」


連は私の顔を見て、若干目線を反らした。

その視界に私が入るように移動する。


「ねっ・!ねっ!?」

「あー・・・・一応話は聞いてやるけど・・応えれるかどうかは別な?」


私と連は配送センターから出て、共有スペースの一部のテラスに行った。

そこにあるベンチに腰掛け、『お願い』を持ち掛ける。


「さっき火事にあったって言ってたでしょ?荷物・・ハーバリウムの材料が全部マンションに置きっぱなしになってるのよ。」


買いそろえた乾燥剤に、衣装ケース、それにハーバリウム溶液は全部マンションの中。

取りに行くこともできないことから、私は新しく買いそろえようと思ってることを連に伝えた。


「あぁ、いいんじゃない?そんな高くもないだろうし、お前の収入からなら全然余裕だろ?」

「支払いはいいんだけど、問題は『置く場所』なのっ。涼さんの部屋に置かせてもらうわけにいかないじゃんっ。」


かさばる衣装ケースに、花たちを置いておく場所、それにボトルに入れたハーバリウムを保管する場所もいるのだ。

加えると発送に必要な箱や、発送の伝票など事務的なものを置く場所も必要になる。


「あー・・確かに?」

「でしょ?だから・・・連の仕事場の一部を・・貸してくれない?」


そう聞いたとき、連の目線が少し泳いだ。


「それは・・お前の彼氏に相談したほうがいいんじゃないか?」


困ったように言う連に、私は手を合わせてお願いした。


「そんなこと言わないでぇ・・ただでさえ住まわせてもらってるのにそんなのお願いできるわけないじゃんー・・・。」

「いや・・それでも言ったほうがいいと思うけど・・・」

「これ以上涼さんに言えないよー・・・お願いっ!」

「・・・。」


連はしばらく考え込んだ後、諦めたようにため息を溢した。


「はぁー・・・ちゃんと都築代表に言えよ?それが条件だ。」

「!!・・・わかった!ちゃんと言う!ありがとうっ!!」


私は鞄を持ってベンチから立ち上がった。


「じゃあ涼さんに言ったら連絡するね?」

「あぁ。」

「ふふっ、仕事行ってきまーす!」

「・・・いってら。」


そう言って私は上機嫌で花屋に向かった。


(今日は帰ったら涼さんに作業場のことを伝えなきゃ!)


新しいハーバリウムをたくさん作るつもりで仕事に励み、その日の夜は上機嫌で私は涼さんのところに戻った。

そして涼さんに相談したところ、頂いた返事は・・・


「だめ。」


だった・・・。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

処理中です...