溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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翌日・・・


「これ、お願いします。」


仕事に行く前に私は10階にある共有スペースの配送センターで荷物の手配をしていた。

昨日ホームページで売れたハーバリウムは全部で21個。

全部出してしまうと、作るのにも時間がかかってしまうから辞めようと涼さんが助言してくれたのだ。


(新しいドライフラワーを作らないと。・・・あ、でも乾燥剤がマンションにあるから・・・うーん・・、他にもボトルとハーバリウムの液体もいる・・・)


発送の手続きをしながらこれからの段取りを考えていく。

乾燥剤も液体も全部マンションにある。

取りに行くかどうか悩むところだけど、乾燥剤や液体は重たい。

何よりまた消防署の方にお願いしないといけなくなることが私にとって引っかかることだった。


(うーん・・・全部買い替えようかな。でも・・・)


結構場所を取ってしまう材料たち。

ただでさえ間借りさせてもらってる状態なのに、荷物を増やすわけにいかなかった。


(どこか場所だけ借りようかな。)


そんなことを考えながら発想の手続きを終えた時、背中側から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「ハル!」

「?」


涼さんとは違う声に振り返ると、そこに連が立っていた。


「・・・連!?え、どうしてここに・・・」


結婚式場でもなく、結納もできる場所がないこのオフィスビル。

連がいる理由が見つからないのだ。


「結婚式の引き出物を扱ってる会社がここに入ってるんだよ。その打ち合わせ。」

「へぇー、そうなんだ。」


このオフィスビルはたくさんの会社が入ってる。

涼さんは全部の会社を把握していて、そのいくつかが涼さんの会社の傘下らしいけど私は知らない会社のほうが多いのだ。


「ハルは何してるんだ?」


そう聞かれ、私は昨日のことを説明した。

ついでに火事があって今、このビルの最上階に住んでることも・・・。


「新しい仕事はいいな。でも・・大変だったんだな。」

「まぁ・・涼さんがいろいろ助けてくれてて助かってるんだよ。」


そう笑顔で言った時、私はふと思いついたことがあった。

連はお花関係の仕事をしていて、それ専用の仕事場を持ってることを。


「!!・・・連!お願い聞いてくれない・・?」


連は私の顔を見て、若干目線を反らした。

その視界に私が入るように移動する。


「ねっ・!ねっ!?」

「あー・・・・一応話は聞いてやるけど・・応えれるかどうかは別な?」


私と連は配送センターから出て、共有スペースの一部のテラスに行った。

そこにあるベンチに腰掛け、『お願い』を持ち掛ける。


「さっき火事にあったって言ってたでしょ?荷物・・ハーバリウムの材料が全部マンションに置きっぱなしになってるのよ。」


買いそろえた乾燥剤に、衣装ケース、それにハーバリウム溶液は全部マンションの中。

取りに行くこともできないことから、私は新しく買いそろえようと思ってることを連に伝えた。


「あぁ、いいんじゃない?そんな高くもないだろうし、お前の収入からなら全然余裕だろ?」

「支払いはいいんだけど、問題は『置く場所』なのっ。涼さんの部屋に置かせてもらうわけにいかないじゃんっ。」


かさばる衣装ケースに、花たちを置いておく場所、それにボトルに入れたハーバリウムを保管する場所もいるのだ。

加えると発送に必要な箱や、発送の伝票など事務的なものを置く場所も必要になる。


「あー・・確かに?」

「でしょ?だから・・・連の仕事場の一部を・・貸してくれない?」


そう聞いたとき、連の目線が少し泳いだ。


「それは・・お前の彼氏に相談したほうがいいんじゃないか?」


困ったように言う連に、私は手を合わせてお願いした。


「そんなこと言わないでぇ・・ただでさえ住まわせてもらってるのにそんなのお願いできるわけないじゃんー・・・。」

「いや・・それでも言ったほうがいいと思うけど・・・」

「これ以上涼さんに言えないよー・・・お願いっ!」

「・・・。」


連はしばらく考え込んだ後、諦めたようにため息を溢した。


「はぁー・・・ちゃんと都築代表に言えよ?それが条件だ。」

「!!・・・わかった!ちゃんと言う!ありがとうっ!!」


私は鞄を持ってベンチから立ち上がった。


「じゃあ涼さんに言ったら連絡するね?」

「あぁ。」

「ふふっ、仕事行ってきまーす!」

「・・・いってら。」


そう言って私は上機嫌で花屋に向かった。


(今日は帰ったら涼さんに作業場のことを伝えなきゃ!)


新しいハーバリウムをたくさん作るつもりで仕事に励み、その日の夜は上機嫌で私は涼さんのところに戻った。

そして涼さんに相談したところ、頂いた返事は・・・


「だめ。」


だった・・・。








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