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「え?嫉妬?」
涼さんの家に帰って来た私は、晩御飯を一緒に食べながら今日のことを話していた。
荷物を取れたあとに、消防士さんの彼女さんと出会ったことを。
その時の嫉妬の様子を見て、涼さんが嫉妬してくれるのか聞いてみたのだ。
「うん。涼さんって嫉妬したりするのかなって思ったの。」
「嫉妬かー・・・。」
涼さんは空を見上げるようにしながら考え始めた。
即答じゃないところが少し寂しいなと思いながらも返事を待つ。
「そうだな、常に嫉妬してる。」
その言葉に私は口に運ぼうとしていたトマトをフォークから落とした。
「・・・へ?」
「男の客と話すのも嫌だし、うちの秘書と話すのも嫌だし?ましてや貫地谷グループの代表と連絡取るのなんてもっと嫌だし。」
「え・・いや、どれも回避不可能なことばかり・・・」
そう言うと涼さんはハンバーグをぱくっと口に入れてとんでもないことを言った。
「この家から一歩も出て欲しくない。欲しいものはなんでも買う。スマホも持たせたくない。仕事も辞めて欲しい・・・かな?」
しれっと言う涼さんに、私は口をぽかんと開けたまま聞いていた。
「でも、そんなことできないでしょ?ハルは仕事好きだし、与えられるばっかりは好きじゃないよね?」
「うん・・・。」
「だから常に嫉妬はしてるけどハルを閉じ込めるわけにもいかないし?俺だけを見てもらえるように頑張るだけかな?」
なぜか自分で頷きながら、またハンバーグを口に放り込んだ涼さん。
私は俯きながら小声でぼそっと言った。
「・・・涼さん以上の人なんていないよ。」
涼さんに聞こえないように言ったつもりなのに、顔を上げると涼さんは笑みを溢しながら私を見ていた。
「~~~~っ!?」
「それはベッドで聞きたいセリフかな?」
「!!・・・言わないもん!」
拗ねるようにして言ったけど、結局この後涼さんに抱かれた私はベッド上で言わされてしまうことになってしまったのだった・・・。
ーーーーー
数日後。
「さて、マンションから持って帰って来たハーバリウムは50個?」
仕事が早く終わった涼さんは夕方、私と一緒に試作品のハーバリウムを見ていた。
もう出来上がってるハーバリウムたちをどうやって売り出すかが今一番の問題なのだ。
「うん。『悠春』で出そうと思うけど・・・」
「そうだな。たぶん『悠春』と『yu-syun』が同じって結びつきにはなかなかならないと思う。時間をかけて周知していかないとな。」
「だね。」
「販売方法はハルが思ってる『ネット販売』でいいの?」
『悠春』で活動してる私は、依頼を受けて作りに行くか、家で作ったものを持って行く方法を取ってる。
店舗を持たない私が自分で作ったものを自分で売るならネット販売しかないのだ。
「うん。前に涼さんが作ってくれたホームページで手続き全部できるんでしょ?」
私が涼さんに起業のことを話した後、涼さんは販売用のホームページを作ってくれたのだ。
ちょこちょこと使い方を教えてもらい、なんとか操作できるまでに私は成長していた。
「そう。作った分は写真に撮ってアップロードするんだよ?同じものが二つとない商品だから、全部写真に撮ってアップロード。誰かが決済まで行ったら住所とかの情報が出るから梱包して発送。発送は10階にある共有スペースでできるから。」
「わかった。とりあえず明日から写真撮ってやってみるね。」
そう言って私は一つずつハーバリウムをケースから取り出した。
『写真用に』と涼さんが作ってくれたスペースに置き、スマホで写真を撮って行く。
「こっちの角度がいいのかな・・いや、こっち?」
悩みながら写真を撮ってるとき、涼さんはテレビをつけた。
ニュースやバラエティ、ドラマとチャンネルを変える音が聞こえてくる。
そして涼さんはどの番組を見るのか決めたようで、テレビから声が聞こえ始めた。
『えー、それでは今SNSで話題になってる雑貨品の紹介をしたいと思います。こちら、ピアニストの『キーナ』さんの公式ツイッターで話題になってますハーバリウム!話題になった発端はキーナさんの楽屋での一枚の写真からでした!』
そんな声が聞こえて来て、私は思わず振り返った。
テレビに映ってる写真をじっと見つめる。
「・・・あ!!」
「?・・・どうしたの?」
「この前私のハーバリウムをあげた人だ・・・。」
「え!?」
聞き覚えのある名前に、見たことのある顔。
キーナさんはこの前私のマンションで出会った三村さんの彼女さんだったのだ。
私が驚いてる間にも、テレビの人は話を続けていた。
『えー、こちらの写真、奥にある鏡の前に小さなボトルのようなものが見えますでしょうか。こちら、ハーバリウムだそうで色とりどりの花に真珠やリボンなどの小物が入ってるようです。見た目のかわいさからツイッターでは騒ぎになってるようです。』
涼さんは慌てて自分のスマホを開き、ツイッターを見始めた。
「うわ・・『ハーバリウム』がトップワード入りしてる・・・。」
「え!?」
「『#ハーバリウム』『#キーナ楽屋』『#ピアニストキーナ』それと・・・『#yu-syun』。」
「それって・・・・」
どうなってるのか理解できずに涼さんを見てると、涼さんは急に立ち上がった。
「ハル!パソコン借りるから!」
「う・・うん・・・。」
涼さんは『ハル用』と買ってくれたパソコンを取り、電源を入れた。
慣れた手つきでカチカチとクリックしていき、yu-syunのホームページを開いてる。
「うわ・・アクセス数がすごい勢いで増えてる・・・」
「そうなの?」
パソコンの画面を覗き込みに行くと、右上にあるカウンターがすごい勢いで数を増やしてるのが目についた。
「・・・へ!?」
「ハル!さっきの写真すぐ転送して!出すから・・!」
「う・・うん・・!」
言われるがままに私は写真をパソコンに転送した。
涼さんはその写真をすばやくホームページに乗せた。
商品のページとして用意してあるところにアップロードされた瞬間、それは『sold-out』という表示に変わった。
「え・・・売れた・・の?」
よくわからずに涼さんに聞くと、涼さんは目線をパソコンに向けたまま写真スペースの方を指差した。
「ハル、ダッシュで写真!あるだけ全部撮って!すぐ!」
「!!・・・はいっ!」
私はハーバリウムを写真スペースに置き、撮っていった。
角度や向きを気にしたいところだけど、そんな暇はない。
置いては撮って転送を繰り返していった。
「思いがけない『きっかけ』が現れたな・・。」
パソコンの画面を見ていた涼さんはその場から離れてプリンターの電源を入れた。
そしてまたパソコンの前に行き、何かをクリックしてる。
「ハル、購入者の住所を印刷しておくから明日発送ね。わかりやすいように住所と一緒にハーバリウムも載せとくから。」
「うんっ!ありがとうっ!」
ガシャンガシャンとプリンターから紙が出てくる音が聞こえる。
私はプリンターのほうを見ながら写真を撮り続けていった。
涼さんの家に帰って来た私は、晩御飯を一緒に食べながら今日のことを話していた。
荷物を取れたあとに、消防士さんの彼女さんと出会ったことを。
その時の嫉妬の様子を見て、涼さんが嫉妬してくれるのか聞いてみたのだ。
「うん。涼さんって嫉妬したりするのかなって思ったの。」
「嫉妬かー・・・。」
涼さんは空を見上げるようにしながら考え始めた。
即答じゃないところが少し寂しいなと思いながらも返事を待つ。
「そうだな、常に嫉妬してる。」
その言葉に私は口に運ぼうとしていたトマトをフォークから落とした。
「・・・へ?」
「男の客と話すのも嫌だし、うちの秘書と話すのも嫌だし?ましてや貫地谷グループの代表と連絡取るのなんてもっと嫌だし。」
「え・・いや、どれも回避不可能なことばかり・・・」
そう言うと涼さんはハンバーグをぱくっと口に入れてとんでもないことを言った。
「この家から一歩も出て欲しくない。欲しいものはなんでも買う。スマホも持たせたくない。仕事も辞めて欲しい・・・かな?」
しれっと言う涼さんに、私は口をぽかんと開けたまま聞いていた。
「でも、そんなことできないでしょ?ハルは仕事好きだし、与えられるばっかりは好きじゃないよね?」
「うん・・・。」
「だから常に嫉妬はしてるけどハルを閉じ込めるわけにもいかないし?俺だけを見てもらえるように頑張るだけかな?」
なぜか自分で頷きながら、またハンバーグを口に放り込んだ涼さん。
私は俯きながら小声でぼそっと言った。
「・・・涼さん以上の人なんていないよ。」
涼さんに聞こえないように言ったつもりなのに、顔を上げると涼さんは笑みを溢しながら私を見ていた。
「~~~~っ!?」
「それはベッドで聞きたいセリフかな?」
「!!・・・言わないもん!」
拗ねるようにして言ったけど、結局この後涼さんに抱かれた私はベッド上で言わされてしまうことになってしまったのだった・・・。
ーーーーー
数日後。
「さて、マンションから持って帰って来たハーバリウムは50個?」
仕事が早く終わった涼さんは夕方、私と一緒に試作品のハーバリウムを見ていた。
もう出来上がってるハーバリウムたちをどうやって売り出すかが今一番の問題なのだ。
「うん。『悠春』で出そうと思うけど・・・」
「そうだな。たぶん『悠春』と『yu-syun』が同じって結びつきにはなかなかならないと思う。時間をかけて周知していかないとな。」
「だね。」
「販売方法はハルが思ってる『ネット販売』でいいの?」
『悠春』で活動してる私は、依頼を受けて作りに行くか、家で作ったものを持って行く方法を取ってる。
店舗を持たない私が自分で作ったものを自分で売るならネット販売しかないのだ。
「うん。前に涼さんが作ってくれたホームページで手続き全部できるんでしょ?」
私が涼さんに起業のことを話した後、涼さんは販売用のホームページを作ってくれたのだ。
ちょこちょこと使い方を教えてもらい、なんとか操作できるまでに私は成長していた。
「そう。作った分は写真に撮ってアップロードするんだよ?同じものが二つとない商品だから、全部写真に撮ってアップロード。誰かが決済まで行ったら住所とかの情報が出るから梱包して発送。発送は10階にある共有スペースでできるから。」
「わかった。とりあえず明日から写真撮ってやってみるね。」
そう言って私は一つずつハーバリウムをケースから取り出した。
『写真用に』と涼さんが作ってくれたスペースに置き、スマホで写真を撮って行く。
「こっちの角度がいいのかな・・いや、こっち?」
悩みながら写真を撮ってるとき、涼さんはテレビをつけた。
ニュースやバラエティ、ドラマとチャンネルを変える音が聞こえてくる。
そして涼さんはどの番組を見るのか決めたようで、テレビから声が聞こえ始めた。
『えー、それでは今SNSで話題になってる雑貨品の紹介をしたいと思います。こちら、ピアニストの『キーナ』さんの公式ツイッターで話題になってますハーバリウム!話題になった発端はキーナさんの楽屋での一枚の写真からでした!』
そんな声が聞こえて来て、私は思わず振り返った。
テレビに映ってる写真をじっと見つめる。
「・・・あ!!」
「?・・・どうしたの?」
「この前私のハーバリウムをあげた人だ・・・。」
「え!?」
聞き覚えのある名前に、見たことのある顔。
キーナさんはこの前私のマンションで出会った三村さんの彼女さんだったのだ。
私が驚いてる間にも、テレビの人は話を続けていた。
『えー、こちらの写真、奥にある鏡の前に小さなボトルのようなものが見えますでしょうか。こちら、ハーバリウムだそうで色とりどりの花に真珠やリボンなどの小物が入ってるようです。見た目のかわいさからツイッターでは騒ぎになってるようです。』
涼さんは慌てて自分のスマホを開き、ツイッターを見始めた。
「うわ・・『ハーバリウム』がトップワード入りしてる・・・。」
「え!?」
「『#ハーバリウム』『#キーナ楽屋』『#ピアニストキーナ』それと・・・『#yu-syun』。」
「それって・・・・」
どうなってるのか理解できずに涼さんを見てると、涼さんは急に立ち上がった。
「ハル!パソコン借りるから!」
「う・・うん・・・。」
涼さんは『ハル用』と買ってくれたパソコンを取り、電源を入れた。
慣れた手つきでカチカチとクリックしていき、yu-syunのホームページを開いてる。
「うわ・・アクセス数がすごい勢いで増えてる・・・」
「そうなの?」
パソコンの画面を覗き込みに行くと、右上にあるカウンターがすごい勢いで数を増やしてるのが目についた。
「・・・へ!?」
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「う・・うん・・!」
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涼さんはその写真をすばやくホームページに乗せた。
商品のページとして用意してあるところにアップロードされた瞬間、それは『sold-out』という表示に変わった。
「え・・・売れた・・の?」
よくわからずに涼さんに聞くと、涼さんは目線をパソコンに向けたまま写真スペースの方を指差した。
「ハル、ダッシュで写真!あるだけ全部撮って!すぐ!」
「!!・・・はいっ!」
私はハーバリウムを写真スペースに置き、撮っていった。
角度や向きを気にしたいところだけど、そんな暇はない。
置いては撮って転送を繰り返していった。
「思いがけない『きっかけ』が現れたな・・。」
パソコンの画面を見ていた涼さんはその場から離れてプリンターの電源を入れた。
そしてまたパソコンの前に行き、何かをクリックしてる。
「ハル、購入者の住所を印刷しておくから明日発送ね。わかりやすいように住所と一緒にハーバリウムも載せとくから。」
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ガシャンガシャンとプリンターから紙が出てくる音が聞こえる。
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