溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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「・・・へ!?」


俺の提案に目を丸くして驚くハル。

でも、ハルの仕事のことやセキュリティの面、それに金銭面で考えても俺の家に住んでもらうのが一番いいと思ったのだ。


「いやいやいや・・!それはさすがに申し訳ないよ・・!」

「そう?仕事場まで毎日送るし、帰りは連絡くれたら迎えに行くよ?タクシーで帰ってきてもいいし。それにホテルだとお金かかるよ?1週間くらいじゃ戻れないと思うし・・・。」

「うっ・・」


ハルは現実を考えたようで言葉に詰まった。


「じゃあ見に来てから決めたらどう?俺の家、まだ来たことないでしょ?」


そう聞くとハルも納得したのか、首を縦に振ってくれた。

善は急げということもあるし、俺たちはさっそく家に向かうことにした。




ーーーーー



「着いたよ。」


ハルのマンションから車を走らせること40分。

俺は自宅兼仕事場である会社にハルを連れて来た。

25階建ての高層ビルを、ハルは口を開けて見てる。


「ふぁ・・・すごい・・・。」

「あんまり会社のこと話してなかったよね、ちょうどいいから聞いてくれる?」


そう言って俺はハルを案内しながら話始めた。

大体20階くらいまでがオフィスビルとして貸し出していて、21階からがうちの会社になってることを。

ちょうど真ん中にある10階は共有階になっていて、食堂や医療、美容に保育所なんかもあることを。


「え、保育所もあるの?」

「うん、この辺は保育園は激戦区らしくて、預けるところがないんだって。でも保育士は余ってるんだよ。ならビルの中に作ってしまえば採用もできるし預けて働くこともできる。一石二鳥ってわけ。」

「へぇー・・すごい・・。」


ハルは辺りをキョロキョロ見回しながら俺について歩いてきていた。

俺はオフィスビルの奥にあるエレベーターまでハルを誘導する。


「エレベーターはここだから。」


そう言って茶色のドアのエレベーターを教えた。


「・・・さっきもエレベーターあったけどあっちは違うの?」


ハルは今通って来た道を指差した。

確かにあっちにもエレベーターはあるけど、それは20階までしか行けないエレベーターなのだ。

こっちはうちの会社直結の、21階から上にしか行けないエレベーターなのだ。


「こっちはうちの会社直結だから、来た時はこっちじゃないとだめだよ?」

「あ、そうなんだ。」


俺はエレベーターのボタンを押した。

静かに開いたドアに手を添え、ハルをは中に入らせる。

そしてポケットから鍵を取り出して、階ボタンの下にある鍵穴に鍵を入れた。


「?・・・それはなに?」

「あぁ、家が25階なんだけど、この鍵がないとボタンを押せないようにしてあるんだよ。このエレベーターのドアが玄関のドアみたいなものかな?」

「?・・・へぇー・・・?」


理解ができてないのか、ハルは首をかしげていた。


「ははっ、見ればわかるよ。」


そう言って25階のボタンを押した。

ぐんぐん上って行くエレベーターの階表示の数字が増えていくのをハルが見てる。


「15階以上って初めていくかも・・・。」

「まぁ、あまりいい景色ではないよ、周りもビルばっかりだし。その代わり、内装はこだわった部分があるけど。」


そんな話をしてるうちに、エレベーターは25階に到着した。

ドアが開くと同時に、広めの玄関ホールが現れる。


「!!・・・うわぁ・・・!すごい・・!」


ハルは目を輝かせてエレベーターから下りた。

キョロキョロと見回しながら玄関ホールに足を踏み入れてる。


「どうぞ?」


俺はホールに置いてあるシューズクローゼットから来客用のスリッパを取り出した。

ハルは靴を脱ぎ、スリッパを履く。


「お邪魔しますっ。」

「好きなだけ見て回っていいよ。」


そういうとハルは長い廊下をゆっくり歩いて行った。

廊下の先にあるのは・・・リビングだ。


「!!・・え!?すごいっ・・!」


内装にこだわった俺は、リビングダイニングの窓を大きく取った造りにしてもらっていた。

ほぼ壁一面が窓で、ボタンを押せば端からカーテンがレールを伝って現れる仕組みだ。

自分でカーテンを引こうとしたら結構な距離を歩かないといけなくなるから電動にしておいたのだ。


「壁全部が窓って・・・初めて見た・・。」


いい顔をしながら窓を見てるハルに、俺はリモコンを差し出した。


「これ、押してみて?」

「?・・・うん。」


ハルは言われた通りにボタンを押した。

すると部屋の端からカーテンがレールを伝って走ってきたのだ。


「ふぁっ・・!すごい!!」

「暗くなってきたらこれ押すんだよ?わかった?」


そう言うとハルは嬉しそうな顔をしながら俺を見上げた。


「・・・一緒に住むのが前提な言い方。」

「うん?住むでしょ?嫌って言っても俺が離さないし?」


そう答えるとハルは顔を少し赤くしてみせた。

そんなところもかわいくて・・・ほんとに離したくなくなる。


「さて、この階はリビングダイニングとキッチン、それとお風呂にトイレ、客間くらいしかないんだけど・・・『上』に行ってみない?」


俺はリビングの端にある螺旋階段を指差した。

ハルはその階段が視界に入ってなかったらしく、見た途端驚いていた。


「・・・階段あるの!?」

「あるよ?上が寝室。あとバルコニーもある。あとは・・・」

「?」

「まぁ、行ってみてからのお楽しみかな?」


そう言うとハルは螺旋階段に向かっていった。

手すりをしっかり持って、上を見ながら一段ずつゆっくり上がって行く。

そして上の寝室に足を踏み入れた瞬間、言葉を失ったように立ち尽くしていた。


「これ・・・全部今までの・・?」


そう言ってハルが指差した先にあったのは・・・ハルが今まで俺に作ってくれたアレンジメントの写真だった。




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