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なにも言わずに突然辞めた私の事を、彼女が良く思ってるとは思えなかった。
だから・・気まずくて仕方がない。
「・・・ごめんなさい、4年前・・突然辞めて・・。」
帯を解きながら謝った。
4年前のストーカー事件の後、心身ともに疲れきっていた私は自分のスタッフに何も伝えれなかったのだ。
「あの時、色々あって・・・誰にも言わずに辞めたの。ほんとにごめんなさい。」
そう言うと、美園さんは私の顔を覗き込むようにして背中側から顔を出した。
そしてその表情は・・・笑っていた。
「え・・?」
驚く私を他所に、美園さんはクスクスと笑い始める。
「大丈夫、悠春のスタッフは4年前のことを聞いてるの。」
「・・・え?」
「あの日、悠春が救急車で運ばれたって一斉連絡が入ってーーーー」
美園さんは私の着物を脱がしながら話し始めた。
「あの日、悠春が帰ったあとスタッフに一斉メールが届いたのよ。『悠春、事故に巻き込まれ重傷』ってメールが。もうほんとに驚いて・・・」
私が病院に運ばれて手術を受けてる時、スタッフのみんなは私の情報を集めようと必死になっていたらしい。
『事故』というメールの内容から、大きい病院に片っ端から電話して私を探していたと教えてくれた。
「うそ・・・。」
「『重症』って内容に、命に別状はないんだと思ってたんだけど、それでもどんな状態なのか心配で・・・でもどの病院に電話しても『救急車は来てない』って言われて・・・」
結局状況が全然つかめないまま、その日は終わってしまったらしい。
翌日になって私の母からみんなに『ケガをしたため、しばらくお仕事を休みます。』と連絡がいき、スタッフのみんなもお休み状態に。
その後、しばらくは私の退院を待っててくれたそうだけど、『悠春引退』との連絡が入り、みんな散り散りに他の仕事に就いたらしい。
辞める人もいたし、別の仕事に就いた人もいたらしいけど、美園さんは私と交流があった『貫地谷 一連』のスタッフになることを希望したと教えてくれた。
その理由は・・・
「悠春に・・また会えると思ってたからね。」
「---っ。」
笑顔で言ってくれた美園さんを見た瞬間、私の目から涙がこぼれ落ちた。
「ほらほら、泣かないの。メイクが崩れるよ?」
「うっ・・ふぇっ・・・」
「ほら、もうちょっとで着付け終わるから。」
手際よく着物を着せてくれる美園さんに、私は涙を堪えながら言った。
「ほんとにごめんなさい・・・私が直接みんなに言わないといけなかったのに・・・逃げるようにして辞めて・・ほんとにごめんなさい・・・。」
堪えるつもりの涙が次々と溢れてくる。
その涙を拭うことなく、私は謝り続けた。
「悠春・・・4年前のこと・・なにがあったのか聞いてもいい・・?『引退』ってことしか知らされてなくて・・・。」
私を気遣うように聞いてくれた美園さん。
私はスタッフのみんなに申し訳なく思っていたこともあって・・・彼女に全てを話すことにした。
「あの日・・・ストーカーに襲われて・・・ケガをしたの。」
私は自分の負ったケガのことを細かく説明した。
同性ということもあって話しやすく、ケガの場所も、後遺症も・・・全てを話した。
美園さんは手を口にあてて絶句してたけど・・・私は話せたことで少し自分の心が軽くなった気がした。
「そんなことあったの・・・!?」
「うん。・・・そのストーカーから逃げるために・・・誰にも言わずに引っ越して・・・連絡手段も消したの。」
そう言うと美園さんは自分の服のポケットに手を入れた。
かわいいピンクの薄いケースを取り出してる。
「?」
「これ、私の連絡先。」
そう言って美園さんは名刺を渡してくれた。
名前のほかに、ケータイ番号とメールアドレスが書いてある。
「『連絡して』とは言わないけど・・・ここで出会えたのも縁だと思う。だから・・・よかったら登録しておいて?私はいつも悠春の味方だし、ファンだから。」
「美園さん・・・。」
「あと、着付け終わったよ?どこか戻るんでしょ?」
そう言われ、私は会食のことを思い出した。
「あっ・・・!!連に『ありがとう』ってお願いしてもいい!?私行かないと・・!」
「いいよ?任せて!・・・いってらっしゃい!」
「ありがとうっ・・!」
私は慌てて部屋を出た。
元居た会場に足を向けて歩き出そうとしたとき、誰かに私の手が引かれ、壁に身体を押し付けられた。
「わっ・・!?」
驚きながら視線を上げると、そこには連が立っていた。
「・・・連!」
「お前・・・」
連は怒ったような顔で私を見ていた。
両手を私の顔の横につき、出れないようにしてる。
「え・・連・・?」
何が何だか分からずにいると、連が口を開いた。
「・・・俺の条件は?飲むんだろ?聞かずに行く気か?」
「・・・あ!!」
「『あ!』じゃねーんだよ、やっと見つけたんだから逃がすわけないだろ?」
「ごめんって・・!でも私急ぐから・・・」
「俺の条件聞いてから行け。」
「や・・!ほんとに急いでるのよっ・・!」
二人でぎゃあぎゃあ言い合いをしてるとき、大きな声で私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「・・・ハル!!」
「!?・・・涼さん!?」
声のする方を見ると、そこには涼さんがいた。
息を切らしながらこっちを見てる。
だから・・気まずくて仕方がない。
「・・・ごめんなさい、4年前・・突然辞めて・・。」
帯を解きながら謝った。
4年前のストーカー事件の後、心身ともに疲れきっていた私は自分のスタッフに何も伝えれなかったのだ。
「あの時、色々あって・・・誰にも言わずに辞めたの。ほんとにごめんなさい。」
そう言うと、美園さんは私の顔を覗き込むようにして背中側から顔を出した。
そしてその表情は・・・笑っていた。
「え・・?」
驚く私を他所に、美園さんはクスクスと笑い始める。
「大丈夫、悠春のスタッフは4年前のことを聞いてるの。」
「・・・え?」
「あの日、悠春が救急車で運ばれたって一斉連絡が入ってーーーー」
美園さんは私の着物を脱がしながら話し始めた。
「あの日、悠春が帰ったあとスタッフに一斉メールが届いたのよ。『悠春、事故に巻き込まれ重傷』ってメールが。もうほんとに驚いて・・・」
私が病院に運ばれて手術を受けてる時、スタッフのみんなは私の情報を集めようと必死になっていたらしい。
『事故』というメールの内容から、大きい病院に片っ端から電話して私を探していたと教えてくれた。
「うそ・・・。」
「『重症』って内容に、命に別状はないんだと思ってたんだけど、それでもどんな状態なのか心配で・・・でもどの病院に電話しても『救急車は来てない』って言われて・・・」
結局状況が全然つかめないまま、その日は終わってしまったらしい。
翌日になって私の母からみんなに『ケガをしたため、しばらくお仕事を休みます。』と連絡がいき、スタッフのみんなもお休み状態に。
その後、しばらくは私の退院を待っててくれたそうだけど、『悠春引退』との連絡が入り、みんな散り散りに他の仕事に就いたらしい。
辞める人もいたし、別の仕事に就いた人もいたらしいけど、美園さんは私と交流があった『貫地谷 一連』のスタッフになることを希望したと教えてくれた。
その理由は・・・
「悠春に・・また会えると思ってたからね。」
「---っ。」
笑顔で言ってくれた美園さんを見た瞬間、私の目から涙がこぼれ落ちた。
「ほらほら、泣かないの。メイクが崩れるよ?」
「うっ・・ふぇっ・・・」
「ほら、もうちょっとで着付け終わるから。」
手際よく着物を着せてくれる美園さんに、私は涙を堪えながら言った。
「ほんとにごめんなさい・・・私が直接みんなに言わないといけなかったのに・・・逃げるようにして辞めて・・ほんとにごめんなさい・・・。」
堪えるつもりの涙が次々と溢れてくる。
その涙を拭うことなく、私は謝り続けた。
「悠春・・・4年前のこと・・なにがあったのか聞いてもいい・・?『引退』ってことしか知らされてなくて・・・。」
私を気遣うように聞いてくれた美園さん。
私はスタッフのみんなに申し訳なく思っていたこともあって・・・彼女に全てを話すことにした。
「あの日・・・ストーカーに襲われて・・・ケガをしたの。」
私は自分の負ったケガのことを細かく説明した。
同性ということもあって話しやすく、ケガの場所も、後遺症も・・・全てを話した。
美園さんは手を口にあてて絶句してたけど・・・私は話せたことで少し自分の心が軽くなった気がした。
「そんなことあったの・・・!?」
「うん。・・・そのストーカーから逃げるために・・・誰にも言わずに引っ越して・・・連絡手段も消したの。」
そう言うと美園さんは自分の服のポケットに手を入れた。
かわいいピンクの薄いケースを取り出してる。
「?」
「これ、私の連絡先。」
そう言って美園さんは名刺を渡してくれた。
名前のほかに、ケータイ番号とメールアドレスが書いてある。
「『連絡して』とは言わないけど・・・ここで出会えたのも縁だと思う。だから・・・よかったら登録しておいて?私はいつも悠春の味方だし、ファンだから。」
「美園さん・・・。」
「あと、着付け終わったよ?どこか戻るんでしょ?」
そう言われ、私は会食のことを思い出した。
「あっ・・・!!連に『ありがとう』ってお願いしてもいい!?私行かないと・・!」
「いいよ?任せて!・・・いってらっしゃい!」
「ありがとうっ・・!」
私は慌てて部屋を出た。
元居た会場に足を向けて歩き出そうとしたとき、誰かに私の手が引かれ、壁に身体を押し付けられた。
「わっ・・!?」
驚きながら視線を上げると、そこには連が立っていた。
「・・・連!」
「お前・・・」
連は怒ったような顔で私を見ていた。
両手を私の顔の横につき、出れないようにしてる。
「え・・連・・?」
何が何だか分からずにいると、連が口を開いた。
「・・・俺の条件は?飲むんだろ?聞かずに行く気か?」
「・・・あ!!」
「『あ!』じゃねーんだよ、やっと見つけたんだから逃がすわけないだろ?」
「ごめんって・・!でも私急ぐから・・・」
「俺の条件聞いてから行け。」
「や・・!ほんとに急いでるのよっ・・!」
二人でぎゃあぎゃあ言い合いをしてるとき、大きな声で私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「・・・ハル!!」
「!?・・・涼さん!?」
声のする方を見ると、そこには涼さんがいた。
息を切らしながらこっちを見てる。
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