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ドアを開けた先にいたのはハルだ。
荒い息を繰り返しながら床に座り込んでる。
「ハル!?大丈夫!?」
俺は屈み、ハルの肩を叩いた。
「だいじょーぶ・・・。」
半分も開いてない目に、火照った身体。
それに壁に身体を預けてぐったりしてる姿はとても『大丈夫』とは思えない。
「・・・抱えるからちょっといい子にしてろよ?」
そう言って俺はハルの小さな体を抱え上げた。
「ひとりで・・いける・・・」
「はいはい、無理だから。」
「だいじょぶ・・・」
「はいはい、もう着くから。」
ハルは口では抵抗するものの、身体は全く抵抗してなかった。
熱が高いのか、身体が辛すぎるようだ。
「ハル、薬は?飲んだ?」
俺はハルをベッドに寝かせながら聞いた。
部屋を見渡すものの、薬が入ってそうな入れ物はどこにもない。
「ない・・・」
「ないのか・・。どうしたもんだか・・・。」
ベッドの回りを見回すと、体温計が枕元にあった。
それを取って、ハルに握らせる。
「熱、計れる?」
ハルは体温計を軽く握り、服の中に入れた。
そのまま体温計が下になるように、身体を横に倒す。
「りょ・・さん、」
目を閉じたまま俺を呼んだハル。
俺はハルの頭をそっと撫でた。
「ん?どした?」
「うつるから・・かえって・・・」
荒い息を落ち着かせようと、肩が大きく揺れるのが目に入る。
ペタペタと首やおでこに手をあてるけど、どこもかしこも熱かった。
「・・・そんなことできるわけないだろ?ここにいるからゆっくり寝な?」
「でも・・しごと・・・」
「一日くらい大丈夫。秘書もいるし。・・・だからゆっくり寝な?」
そう言ったとき、体温計の音が鳴った。
服の中に手を入れて、体温計を取りだす。
「・・・39度8分。40度乗ったら病院連れてくから。」
「・・・。」
「ほら。」
ハルの頭や背中をゆっくりさすると、いつの間にか寝息が聞こえ始めた。
まだ息は荒いものの、表情は苦しくなさそうだ。
「いい子。起きたら楽になってるといいな。」
ーーーーー
6時間後。
いつの間にか眠っていた私は、目を開けた時の光景に驚いていた。
ベッドで眠っていた私の隣で、涼さんが仕事をしていたのだ。
ベッドにもたれかかるようにして座り、タブレットで仕事をしていたのだ。
(なんか・・グラフ?みたいなのが見える。)
朝に比べて少しマシになった身体は意識が少しハッキリしていた。
視界もクリアだし、息も少し楽になってる。
でも・・・涼さんがなぜうちにいるのかがわからなかった。
(うーん・・・)
ない記憶を手繰り寄せようと努力するものの、わからないものはわからない。
それでもがんばって思い出そうとしてるとき、涼さんが口を開いた。
「・・・調子はどう?」
前を向いたまま言う涼さんに、私は驚いた。
こっちを見ないまま、私に話しかけ続ける。
「さっき熱計ったら38度まで下がってたよ。このままだったら大丈夫だと思うけど・・まだ心配だし、今日はこのままいていい?欲しいものあったら買ってくるよ。」
そう言いながら涼さんはタブレットを操作してる。
「も・・だいじょぶだから・・・」
熱が下がり始めたなら、もうあとは大丈夫だ。
このまま朝まで寝れば、きっと平熱まで下がってると思った。
「何があるかわからないし。ハルさえいいなら会社の医者に診せたいからこのまま会社に連れて行きたいけど・・・。」
「いらない・・・。一人でだいじょぶ・・・。」
そう言いながらまた眠気が襲ってきた。
うとうとと目を閉じたり開けたりしながら涼さんとの話を続ける。
「誰かいたほうが安心もするでしょ?だからいるよ。ゆっくり寝な?」
涼さんはタブレットを床に置き、私のほうに振り返った。
そのままゆっくり頭を撫で始める。
(気持ちいい・・・。)
大きい手に安心感を覚えながら、私はまた眠りについていった。
荒い息を繰り返しながら床に座り込んでる。
「ハル!?大丈夫!?」
俺は屈み、ハルの肩を叩いた。
「だいじょーぶ・・・。」
半分も開いてない目に、火照った身体。
それに壁に身体を預けてぐったりしてる姿はとても『大丈夫』とは思えない。
「・・・抱えるからちょっといい子にしてろよ?」
そう言って俺はハルの小さな体を抱え上げた。
「ひとりで・・いける・・・」
「はいはい、無理だから。」
「だいじょぶ・・・」
「はいはい、もう着くから。」
ハルは口では抵抗するものの、身体は全く抵抗してなかった。
熱が高いのか、身体が辛すぎるようだ。
「ハル、薬は?飲んだ?」
俺はハルをベッドに寝かせながら聞いた。
部屋を見渡すものの、薬が入ってそうな入れ物はどこにもない。
「ない・・・」
「ないのか・・。どうしたもんだか・・・。」
ベッドの回りを見回すと、体温計が枕元にあった。
それを取って、ハルに握らせる。
「熱、計れる?」
ハルは体温計を軽く握り、服の中に入れた。
そのまま体温計が下になるように、身体を横に倒す。
「りょ・・さん、」
目を閉じたまま俺を呼んだハル。
俺はハルの頭をそっと撫でた。
「ん?どした?」
「うつるから・・かえって・・・」
荒い息を落ち着かせようと、肩が大きく揺れるのが目に入る。
ペタペタと首やおでこに手をあてるけど、どこもかしこも熱かった。
「・・・そんなことできるわけないだろ?ここにいるからゆっくり寝な?」
「でも・・しごと・・・」
「一日くらい大丈夫。秘書もいるし。・・・だからゆっくり寝な?」
そう言ったとき、体温計の音が鳴った。
服の中に手を入れて、体温計を取りだす。
「・・・39度8分。40度乗ったら病院連れてくから。」
「・・・。」
「ほら。」
ハルの頭や背中をゆっくりさすると、いつの間にか寝息が聞こえ始めた。
まだ息は荒いものの、表情は苦しくなさそうだ。
「いい子。起きたら楽になってるといいな。」
ーーーーー
6時間後。
いつの間にか眠っていた私は、目を開けた時の光景に驚いていた。
ベッドで眠っていた私の隣で、涼さんが仕事をしていたのだ。
ベッドにもたれかかるようにして座り、タブレットで仕事をしていたのだ。
(なんか・・グラフ?みたいなのが見える。)
朝に比べて少しマシになった身体は意識が少しハッキリしていた。
視界もクリアだし、息も少し楽になってる。
でも・・・涼さんがなぜうちにいるのかがわからなかった。
(うーん・・・)
ない記憶を手繰り寄せようと努力するものの、わからないものはわからない。
それでもがんばって思い出そうとしてるとき、涼さんが口を開いた。
「・・・調子はどう?」
前を向いたまま言う涼さんに、私は驚いた。
こっちを見ないまま、私に話しかけ続ける。
「さっき熱計ったら38度まで下がってたよ。このままだったら大丈夫だと思うけど・・まだ心配だし、今日はこのままいていい?欲しいものあったら買ってくるよ。」
そう言いながら涼さんはタブレットを操作してる。
「も・・だいじょぶだから・・・」
熱が下がり始めたなら、もうあとは大丈夫だ。
このまま朝まで寝れば、きっと平熱まで下がってると思った。
「何があるかわからないし。ハルさえいいなら会社の医者に診せたいからこのまま会社に連れて行きたいけど・・・。」
「いらない・・・。一人でだいじょぶ・・・。」
そう言いながらまた眠気が襲ってきた。
うとうとと目を閉じたり開けたりしながら涼さんとの話を続ける。
「誰かいたほうが安心もするでしょ?だからいるよ。ゆっくり寝な?」
涼さんはタブレットを床に置き、私のほうに振り返った。
そのままゆっくり頭を撫で始める。
(気持ちいい・・・。)
大きい手に安心感を覚えながら、私はまた眠りについていった。
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