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大きな手に、私の顔が全部隠れてしまいそうだ。
「辛かったね。もう一人で抱えないで?俺が側にいるから・・・。」
そう言われ、目に涙が溜まって行くのがわかった。
そんな優しい言葉をもらった記憶はほとんどない。
ほとんどないのは、私自身が誰にもこのことを話してないことが原因の一つではあったけど、ここまで話した上でのその言葉に、今までため込んできた事が溢れ出そうになってる。
「俺のせい?ならごめん・・。でも俺を選んでくれるなら秋篠さんの辛さは俺が全部受ける。傷が痛むなら治まるまで側にいる。だから・・・俺を選んでくれない?秋篠さんが少しでも俺のことを良いほうに見てくれるなら・・・。」
その言葉に私は自分の手で顔を隠した。
「・・・さっき・・安心したんです、都築さんが背中を擦ってくれたとき。絶対好きになるのわかるんです・・でも・・・」
泣きそうになりながら言うと、都築さんは私の両手を掴んだ。
そのまま下ろさされ、都築さんと目が合ってしまう。
「全部俺に預けて?そして俺と・・付き合ってくれない・・?」
真剣な目に、私は自分の気持ちを正直に伝える以外なにも考えられなかった。
「ほ・・・ほんとにいいんですか・・?」
「お?『でも』じゃない言葉が出たね。・・・ちょっと俺のこと意識した・・?」
「----っ!」
図星を突かれ、私の顔が熱くなっていく。
すると都築さんは私の目をじっと見て言った。
「『はい』・・か、『うん』って言葉が欲しいな・・?」
その言葉に私は思わず吹き出して笑った。
「ふふっ・・!どっちをとっても答えは一緒じゃないですかー。」
笑いながら言うと、涙は止まっていた。
溢れ出てしまっていた涙を手で拭い、私と同じように笑う都築さんの手に自分の手を添えた。
「はい。・・・よろしくお願いします。」
笑顔でそう答えた時、私と都築さんの回りを風が流れた。
真上にあるリンデンが風に揺られて葉と葉が擦れて音が聞こえる。
その音に釣られるようにして上を向いたとき、私はふと思い出したことがあった。
「ふふっ。」
「うん?どうかした?」
指を上に向け、私は木を指差した。
「この木、リンデンっていう木なんですけど下に向かって花が咲くんです。」
「へぇー、下に咲くって珍しいよね。」
「そうなんです。で・・・葉っぱがハートの形に見えるんですけど『無償の愛の象徴』っていわれてるんです。そう言われるようになった話があるんですけど・・・花言葉が『愛』にまつわるものなんです。だから・・・ここで『お付き合い』って言ってもらえたのが・・・なんだか嬉しくて。」
そう言うと、都築さんはしゃがんでいた身体を起こし、木に手を差し出した。
長い手で葉っぱをすくってる。
「・・・あ、ほんとだ。ハートに見える。」
「この木はハーブなんでハーブティーもあるんですよ。よかったら今度淹れるんで・・・飲んでくださいね?」
笑顔で言うと、都築さんは私の身体をぎゅっと抱きしめてきた。
「ふぁっ・・・!?」
「あー・・もう、かわいすぎる・・・。」
抱きしめ返せばいいのか分からず、手がひょこひょことおかしな動きをしてしまう。
その私の変な動きを見たのか、都築さんは肩を震わせながら笑い始めた。
「くくっ・・・」
「~~~~っ。」
「ごめんごめん、じゃあそろそろ行こうか。」
そう言って腕から私を解放し、代わりに手を差し出してくれた。
「ん。」
差し出された手をおずおずと取り、私たちはゆっくりと園の中を歩き始めた。
さっきまで見てた景色のはずなのに、なんだかクリアに見える気がするのは気のせいだろうか。
「ねぇ、秋篠さん?」
そう呼ばれ、私は都築さんを見た。
「はい。」
「あのさ・・名前で呼んでも・・いいかな?」
そう言われ、私は気がついた。
恋人同士は下の名前で呼び合うことを・・・。
「あ・・!そうですね・・!大丈夫ですっ・・。」
そう答えた瞬間、都築さんは少し屈んで私の耳元で言った。
「・・・ハルちゃん?」
「---っ!!」
恋人となった都築さんから呼ばれる私の名前。
甘い雰囲気をまとった言い方に心臓が飛び跳ねる。
「つ・・都築さ・・・」
どきどきしながら顔を上げると、都築さんは私の唇に指をあててきた。
「『涼』だよ。ハルちゃん。」
そう言って私の唇から指を離した。
顔が熱くなることを感じながら、私は彼の名前を呼ぶ。
「りょ・・りょう・・・さん。」
そう呼ぶと都築さんはとても柔らかい笑顔を見せてくれた。
今までお店で見たこともないような笑顔だ。
(都築さんって・・・ほんとに私のこと・・・)
優しい笑顔から、私のことを想ってくれてることを感じる。
(私・・・都築さんに見合うのかな・・・)
初めての恋人に、私は嬉しさと幸せ、それと少しの不安を覚えながら今日のデートを終えていった。
「辛かったね。もう一人で抱えないで?俺が側にいるから・・・。」
そう言われ、目に涙が溜まって行くのがわかった。
そんな優しい言葉をもらった記憶はほとんどない。
ほとんどないのは、私自身が誰にもこのことを話してないことが原因の一つではあったけど、ここまで話した上でのその言葉に、今までため込んできた事が溢れ出そうになってる。
「俺のせい?ならごめん・・。でも俺を選んでくれるなら秋篠さんの辛さは俺が全部受ける。傷が痛むなら治まるまで側にいる。だから・・・俺を選んでくれない?秋篠さんが少しでも俺のことを良いほうに見てくれるなら・・・。」
その言葉に私は自分の手で顔を隠した。
「・・・さっき・・安心したんです、都築さんが背中を擦ってくれたとき。絶対好きになるのわかるんです・・でも・・・」
泣きそうになりながら言うと、都築さんは私の両手を掴んだ。
そのまま下ろさされ、都築さんと目が合ってしまう。
「全部俺に預けて?そして俺と・・付き合ってくれない・・?」
真剣な目に、私は自分の気持ちを正直に伝える以外なにも考えられなかった。
「ほ・・・ほんとにいいんですか・・?」
「お?『でも』じゃない言葉が出たね。・・・ちょっと俺のこと意識した・・?」
「----っ!」
図星を突かれ、私の顔が熱くなっていく。
すると都築さんは私の目をじっと見て言った。
「『はい』・・か、『うん』って言葉が欲しいな・・?」
その言葉に私は思わず吹き出して笑った。
「ふふっ・・!どっちをとっても答えは一緒じゃないですかー。」
笑いながら言うと、涙は止まっていた。
溢れ出てしまっていた涙を手で拭い、私と同じように笑う都築さんの手に自分の手を添えた。
「はい。・・・よろしくお願いします。」
笑顔でそう答えた時、私と都築さんの回りを風が流れた。
真上にあるリンデンが風に揺られて葉と葉が擦れて音が聞こえる。
その音に釣られるようにして上を向いたとき、私はふと思い出したことがあった。
「ふふっ。」
「うん?どうかした?」
指を上に向け、私は木を指差した。
「この木、リンデンっていう木なんですけど下に向かって花が咲くんです。」
「へぇー、下に咲くって珍しいよね。」
「そうなんです。で・・・葉っぱがハートの形に見えるんですけど『無償の愛の象徴』っていわれてるんです。そう言われるようになった話があるんですけど・・・花言葉が『愛』にまつわるものなんです。だから・・・ここで『お付き合い』って言ってもらえたのが・・・なんだか嬉しくて。」
そう言うと、都築さんはしゃがんでいた身体を起こし、木に手を差し出した。
長い手で葉っぱをすくってる。
「・・・あ、ほんとだ。ハートに見える。」
「この木はハーブなんでハーブティーもあるんですよ。よかったら今度淹れるんで・・・飲んでくださいね?」
笑顔で言うと、都築さんは私の身体をぎゅっと抱きしめてきた。
「ふぁっ・・・!?」
「あー・・もう、かわいすぎる・・・。」
抱きしめ返せばいいのか分からず、手がひょこひょことおかしな動きをしてしまう。
その私の変な動きを見たのか、都築さんは肩を震わせながら笑い始めた。
「くくっ・・・」
「~~~~っ。」
「ごめんごめん、じゃあそろそろ行こうか。」
そう言って腕から私を解放し、代わりに手を差し出してくれた。
「ん。」
差し出された手をおずおずと取り、私たちはゆっくりと園の中を歩き始めた。
さっきまで見てた景色のはずなのに、なんだかクリアに見える気がするのは気のせいだろうか。
「ねぇ、秋篠さん?」
そう呼ばれ、私は都築さんを見た。
「はい。」
「あのさ・・名前で呼んでも・・いいかな?」
そう言われ、私は気がついた。
恋人同士は下の名前で呼び合うことを・・・。
「あ・・!そうですね・・!大丈夫ですっ・・。」
そう答えた瞬間、都築さんは少し屈んで私の耳元で言った。
「・・・ハルちゃん?」
「---っ!!」
恋人となった都築さんから呼ばれる私の名前。
甘い雰囲気をまとった言い方に心臓が飛び跳ねる。
「つ・・都築さ・・・」
どきどきしながら顔を上げると、都築さんは私の唇に指をあててきた。
「『涼』だよ。ハルちゃん。」
そう言って私の唇から指を離した。
顔が熱くなることを感じながら、私は彼の名前を呼ぶ。
「りょ・・りょう・・・さん。」
そう呼ぶと都築さんはとても柔らかい笑顔を見せてくれた。
今までお店で見たこともないような笑顔だ。
(都築さんって・・・ほんとに私のこと・・・)
優しい笑顔から、私のことを想ってくれてることを感じる。
(私・・・都築さんに見合うのかな・・・)
初めての恋人に、私は嬉しさと幸せ、それと少しの不安を覚えながら今日のデートを終えていった。
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