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ガシャーーーン!!!
大きな音がエントランス中に響き渡った。
「し・・失礼いたしました・・!」
すぐに従業員の人たちが声を出し、割れた花器の元へ集まって行く。
それに引き込まれるようにして、私も足を向けた。
「あの・・大丈夫ですか?」
思わず声をかけた私に、従業員の人たちは口々に言った。
「大丈夫です、危ないのでお下がりください・・!」
「お騒がせして申し訳ありません・・!」
そう言って割れた花器や、散らばった花たちを急いで拾っていく。
手の空いてる人たちが必死に片付けていく中で、一人、青ざめた顔で呆然としてる人がいた。
花器を落とした張本人だ。
「あ・・ど・・どうしましょう・・!」
この世の終わりかと思えるほどの青ざめた表情に、従業員の一人が声をかけた。
「別のはないの!?」
そう聞かれ、青ざめた従業員は首を横に何度も振った。
「一体何の騒ぎだ!?・・・これは・・・・!」
たくさんの従業員たちがしゃがみ込みながらざわついてる様子を見たのか、奥からスーツを着た人が現れた。
割れた花器や散らばった花たちを見て頭を抱えてる。
「・・よりによってこれを落とすなんて・・・。」
大切なものなのか、従業員一同が落ち込んだように俯いてしまっていた。
「この花を生けた華道家さんは!?まだいらっしゃったら戻ってもらえるように言ってこい!」
スーツの人がそう言うと、青ざめていた従業員がぼそっと答えた。
「あの人はもうだいぶ前にお帰りになりました・・・、残った花を片付けてから持って来たんで・・もう30分は経ちます・・・。」
「なんてことだ・・・。」
よっぽど重大なことになってしまったのか、片づけをしていた従業員たちの手も止まってしまっていた。
そんな状況を見て、声をかけないなんてこと、私にはできない。
「あの・・お花と花器はありますか・・?」
私はそのスーツの人に問いかけた。
「え?あ、お客様・・・お騒がせして申し訳ありません。」
「それは大丈夫なんですけど・・代わりになるかどうかはわからないですけど私、お花をちょっとかじってますのでお花と花器があれば活けれると思うのですが・・。」
そう伝えるとスーツの人は目を輝かせた。
「本当ですか!?助かります!・・おい、花はまだあるか!?」
花器を落としてしまった人に尋ねるスーツの人。
聞かれた本人は青ざめた顔から一転、キリッと引き締まった表情を見せた。
「あります・・・!さっき搬入口に持っていったのであります!すぐに取ってきます!」
そう言って走っていってしまった。
スーツの人は手をパンパンっと鳴らし、その場にいる従業員たちに指示を出す。
「みんなはここを手早く片付けて。居合わせたお客様にはあとでお飲み物をお届けしてお詫びすること。あと・・・」
一人一人の顔を見ながら指示を出していたスーツの人は、最後に私を見た。
「お客様、お願いしてもよろしいですか?」
そう聞かれ、『はい』と答えようとしたとき、都築さんが私に聞いてきた。
「・・・いいの?秋篠さん。」
「大丈夫ですー、これでも花屋なので大きいアレンジメントだと思えばなんとかなると思いますー。大事そうだったですし、帰ってしまわれた華道家さんには及びませんが・・・。」
そう言うと、スーツを着た人が慌てて深く頭を下げた。
「もっ・・申し訳ありません!都築社長!」
その言葉を聞いて、都築さんは手を軽く上下に振った。
「まぁまぁ、誰も怪我が無くてよかったよ。お客様へのフォローは任せるし。」
「はい・・・!」
恐る恐る顔を上げたスーツの人は、私と都築さまを交互に見た。
「あの・・・こちらのお嬢さまは都築社長のお連れ様でいらっしゃいますか・・・?」
そう聞かれ、都築さんは笑顔で答えた。
「そう。ご飯の予約してたんだけど・・・ちょっと遅れそうだね?」
「!!・・・私、この『花鳥風月』で総支配人をさせていただいております、『三門』と申します・・・!すぐにお花のご用意いたします!どうぞ、こちらに・・・!!」
歩き出した三門さんの後ろを、都築さんと一緒について歩き始めた。
都築さんは私に耳打ちするように、こそっと話しかけてくる。
「ごめんね?こんなことになっちゃって・・・。」
「いえ、大丈夫ですよ。都築さんの会社ですし?私でよければお手伝いさせてください。」
笑顔で答えると都築さんは手で自分の口元を隠した。
大きな音がエントランス中に響き渡った。
「し・・失礼いたしました・・!」
すぐに従業員の人たちが声を出し、割れた花器の元へ集まって行く。
それに引き込まれるようにして、私も足を向けた。
「あの・・大丈夫ですか?」
思わず声をかけた私に、従業員の人たちは口々に言った。
「大丈夫です、危ないのでお下がりください・・!」
「お騒がせして申し訳ありません・・!」
そう言って割れた花器や、散らばった花たちを急いで拾っていく。
手の空いてる人たちが必死に片付けていく中で、一人、青ざめた顔で呆然としてる人がいた。
花器を落とした張本人だ。
「あ・・ど・・どうしましょう・・!」
この世の終わりかと思えるほどの青ざめた表情に、従業員の一人が声をかけた。
「別のはないの!?」
そう聞かれ、青ざめた従業員は首を横に何度も振った。
「一体何の騒ぎだ!?・・・これは・・・・!」
たくさんの従業員たちがしゃがみ込みながらざわついてる様子を見たのか、奥からスーツを着た人が現れた。
割れた花器や散らばった花たちを見て頭を抱えてる。
「・・よりによってこれを落とすなんて・・・。」
大切なものなのか、従業員一同が落ち込んだように俯いてしまっていた。
「この花を生けた華道家さんは!?まだいらっしゃったら戻ってもらえるように言ってこい!」
スーツの人がそう言うと、青ざめていた従業員がぼそっと答えた。
「あの人はもうだいぶ前にお帰りになりました・・・、残った花を片付けてから持って来たんで・・もう30分は経ちます・・・。」
「なんてことだ・・・。」
よっぽど重大なことになってしまったのか、片づけをしていた従業員たちの手も止まってしまっていた。
そんな状況を見て、声をかけないなんてこと、私にはできない。
「あの・・お花と花器はありますか・・?」
私はそのスーツの人に問いかけた。
「え?あ、お客様・・・お騒がせして申し訳ありません。」
「それは大丈夫なんですけど・・代わりになるかどうかはわからないですけど私、お花をちょっとかじってますのでお花と花器があれば活けれると思うのですが・・。」
そう伝えるとスーツの人は目を輝かせた。
「本当ですか!?助かります!・・おい、花はまだあるか!?」
花器を落としてしまった人に尋ねるスーツの人。
聞かれた本人は青ざめた顔から一転、キリッと引き締まった表情を見せた。
「あります・・・!さっき搬入口に持っていったのであります!すぐに取ってきます!」
そう言って走っていってしまった。
スーツの人は手をパンパンっと鳴らし、その場にいる従業員たちに指示を出す。
「みんなはここを手早く片付けて。居合わせたお客様にはあとでお飲み物をお届けしてお詫びすること。あと・・・」
一人一人の顔を見ながら指示を出していたスーツの人は、最後に私を見た。
「お客様、お願いしてもよろしいですか?」
そう聞かれ、『はい』と答えようとしたとき、都築さんが私に聞いてきた。
「・・・いいの?秋篠さん。」
「大丈夫ですー、これでも花屋なので大きいアレンジメントだと思えばなんとかなると思いますー。大事そうだったですし、帰ってしまわれた華道家さんには及びませんが・・・。」
そう言うと、スーツを着た人が慌てて深く頭を下げた。
「もっ・・申し訳ありません!都築社長!」
その言葉を聞いて、都築さんは手を軽く上下に振った。
「まぁまぁ、誰も怪我が無くてよかったよ。お客様へのフォローは任せるし。」
「はい・・・!」
恐る恐る顔を上げたスーツの人は、私と都築さまを交互に見た。
「あの・・・こちらのお嬢さまは都築社長のお連れ様でいらっしゃいますか・・・?」
そう聞かれ、都築さんは笑顔で答えた。
「そう。ご飯の予約してたんだけど・・・ちょっと遅れそうだね?」
「!!・・・私、この『花鳥風月』で総支配人をさせていただいております、『三門』と申します・・・!すぐにお花のご用意いたします!どうぞ、こちらに・・・!!」
歩き出した三門さんの後ろを、都築さんと一緒について歩き始めた。
都築さんは私に耳打ちするように、こそっと話しかけてくる。
「ごめんね?こんなことになっちゃって・・・。」
「いえ、大丈夫ですよ。都築さんの会社ですし?私でよければお手伝いさせてください。」
笑顔で答えると都築さんは手で自分の口元を隠した。
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