溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

文字の大きさ
上 下
7 / 91

しおりを挟む
都築さまにお店まで送って頂いてから数日が経った土曜日。

私はレシピを見ていた。

それは『ドライフラワー』のレシピだ。


「えーと・・・。」


ドライフラワー自体は作り方は知っていた。

作って家に飾ってるものもいくつかある。

ただ普通のドライフラワーは色が褪せてしまい、生花のような色は残せないのが普通なのだ。


「この前、聞いたんだよねー、『シリカゲル』を使って乾燥させたら生花と変わらないドライフラワーが作れるって。」


お客さまでハーバリウムを趣味にされてる方が教えてくれたこと。

短期間でドライフラワーに出来る上に色も残せる方法があるのだと。

そんな方法、聞いてしまったら試さずにはいられない。

『大量に使うからたくさんいるよ』と教えてくださったお客さまの言葉から私は先日業者に頼み、シリカゲルを大量購入したのだった。

家の廊下にずらっと並んだシリカゲルたちは10袋。

2万円払ってどれくらいのドライフラワーができるのかわからなかったけど、備えあれば患いなし。

『足りない』っていうのが一番困ることだから、これだけあれば大丈夫だと勝手に思ったのだ。


「さてさて、まず必要なのがー・・・・」


『お花友達』に連絡して教えてもらった作り方。

そのレシピを読んで私は驚いた。


「え・・・大きい入れ物・・!?」


レシピに書かれていた『必要なもの』はシリカゲルのほかに大きな入れ物だったのだ。

作り方を見ると、生花を大きな入れ物に入れてシリカゲルで埋めて作る・・というものだった。

自宅に大きな入れ物なんて無い私は、ここで早くも壁にぶち当たってしまったのだ。


「あー・・もー・・買いに行くしかないじゃんっ。」


仕方なく私は鞄を持ち、家を出た。

向かうのは歩いて30分のところにある大型のホームセンターだ。


「衣装ケースだったら大きい入れ物だよね。シリカゲル使うんなら蓋があった方がいいし・・・3つくらいあればいいかな?」


私はドライフラワーを作るのを楽しみに、ホームセンターに向かった。



ーーーーー



「・・・うーん、衣装ケースって意外とかさばる・・・。」


無事にホームセンターで衣装ケースを手に入れた私は、3つ重ねた衣装ケースをだっこするような形で持っていた。

そこそこ重たいものの、この前の20キロと比べると何ともないと思える重さだ。

でも・・・衣装ケースは大きすぎた。

両手を真っ直ぐに伸ばした状態で衣装ケースを持ってる私は、自分の身体に押さえつけるようにして落下を防いでいるのだ。

ちょっとでも手を緩めると足元に落ちてしまいそうなのを堪えながら歩いてる。


「何回か下ろさないと無理かな?」


そんなことを考えながらひたすら歩いてると、持ってる衣装ケースが急に浮いた感覚に襲われた。


「ふぁっ・・!?」


驚いて足を止めると、知った声が聞こえて来たのだ。


「・・・また重いの持ってるの?秋篠さん。」

「!!・・・都築さま!?」


ひょいと衣装ケースを取り上げられ、私の視界に都築さまが入った。


「わ・・お休みですか?」


いつもスーツ姿の都築さまが今日はラフな格好をされていた。

薄手の白のTシャツに上下が紺のジャケットにパンツ。

似合ってる着こなし方に、思わず見入ってしまう。


「休みだけど・・秋篠さんはこんな大きいの持って何してるの?」


そう聞かれ私は取られた衣装ケースに手を伸ばした。


「ちょっと必要でして・・・」


手を伸ばすものの、都築さまは衣装ケースを片手で小脇に抱えるように持ってしまった。


「家で?」

「家・・ですね。ちょっと作りたいものがあって衣装ケース買いに来たんですー。」


そう伝えながら私は両手を差し出した。


「えっと・・返していただいてもいいですか・・?」


そう聞くと都築さまはスマホを取り出し、何か操作しながら言った。


「タクシー呼ぶから待ってて?」


その言葉に私は慌てて否定した。


「だっ・・大丈夫ですっ・・!30分くらいで着きますからっ・・!」


衣装ケースを返してもらおうと手を伸ばすと、都築さまは驚いた顔で私に聞き返してきた。


「30分!?歩いて!?」

「そうです・・!いつも歩いてる距離なんで大丈夫ですから・・!」


そう言うと都築さまは手に持っていたスマホをポケットにしまった。

空いた手で道路の先を指差してる。


「家ってあっちのほう?」

「そう・・ですけど・・。」

「近くまで持っていくよ。案内してくれる?」


都築さまはそう言って歩き出してしまった。


「え・・!?」

「ここ真っ直ぐ?」


スタスタと歩いて行く都築さまの後ろを追いかけるようにして歩いて行く。


「大丈夫ですっ・・!ちゃんと持って帰れますので・・!」


そう言っても都築さまは返してくれる気配なんか微塵も見せない。

それどころか歩くスピードがだんだん上がってるような気もしていた。


「はぁっ・・!はぁっ・・!ちょ・・待って・・・」


すぐに息が切れた私は追いかけることを諦めて立ち止まった。

若干息を整えて、都築さまに向かって叫ぶ。


「言います・・!言うんで待ってください・・!」


私の声に、都築さまは足を止めた。

そして少し困ったように笑いながら言った。





ーーーーー



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

処理中です...