溺愛彼氏は経営者!?教えられた夜は明けない日が来る!?

すずなり。

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「え?」


声のした方を見ると、そこに都築さまが立っていたのだ。

いつものスーツ姿で手には大きめのタブレット端末を持ってる。


「都築さま!?」

「・・・こんなとこで何してるの?」


都築さまは驚いた顔をしながら私を見ていた。


「あ、買い物の帰りなんです。・・・都築さまはお仕事ですか?」


そう聞くと都築さまは驚いた顔で私に聞き返して来た。


「仕事だけど・・・え、買い物?こんなところで?」


そう言われて辺りを見回すと、『お店』と呼べるような建物は無いことに気がついた。

この地域は工場や製造関係の建物が多く、オシャレなカフェや雑貨屋さんなんかは見当たらない。


「えーと・・お店の業者さんに、個人的にお願いしてた物があってそれを頂きにきたんですー。」

「あ、そういうことか。」


私の言葉に都築さまは、足元に置いてある袋に目線を移した。

足元にあるたくさんの荷物をじっと見てる。


「それ、持って帰るの?」

「え?あ、はい。」

「家、近いの?」


そう聞かれ、私は駅の方を指差した。


「家は・・電車で1時間くらいのとこですね。」


そう答え、私は片方の袋に手をかけた。


「じゃあ電車の時間もあるので、これで失礼しますー。」


腕が限界になって持てなくなる前に電車に乗ってしまおうと思った私はもう片方の袋に手を伸ばした。

その時、都築さまが私の袋を掴んだのだ。


「・・・え?」

「送るよ。」

「へ!?」

「こんな重たいの持って電車とか無理じゃない?『2キロ』って書いてあるから全部で10キロ・・女の子が持って歩く重さじゃないでしょ、それも二つもなんて。」


そう言って都築さまは私が手をかけていた袋も取り、スタスタと歩き始めてしまった。


「へ!?ちょ・・!あの・・!?」

「この先に車あるから。住所言いたくなかったらお店まででいいから送らせて。」

「や・・!さすがにそれは申し訳ないです・・!ちゃんと持てますし・・!」


スタスタと歩いて行く都築さまの後ろを追いかけながら言うものの、都築さまは歩くのが早く、追いかけるので精いっぱいだった。


(待って!20キロも持ってるのになんで追いつかないの・・!?)


息を切らすようにして追いかけると、都築さまは道路の角を曲がった。

続くように私も曲がると、そこに車が1台止まっていた。

真っ白のリムジンだ。


「・・・へ!?」


都築さまはそのリムジンに近づいて行った。

それと同時に運転席から人が降りてきて、後部座席のドアを開けるのが見える。


「お帰りなさいませ。」

「後ろ、開けてくれる?」

「お荷物ですね。少々お待ちください。」


運転手さんらしき人と都築さまがテキパキと私の荷物を車に入れていく。

そして都築さまは後部座席のドアを開けて私を呼んだ。


「どうぞ?秋篠さん。」

「う・・・」


ここまでされて『断る』なんてこと、私にはできそうになかった。


「・・・すみません、お願いします。」

「奥、座ってね。」


仕方なく私は車の中に入った。

車の中は2人ずつ向かい合うような座席で4人掛けだで、言われた通り奥の席に座り、シートベルトを締めた。

都築さまは私の斜め向かいに座り、運転手さんの方を見て言った。


「いつも行く花屋まで行ってくれ。」

「かしこまりました。」


そして車は静かに走りだした。

窓の外の景色が流れ始めたとき、私は言わなければいけないことがあることを思い出した。


「あ・・!」

「どうかした?」

「昨日、チョコありがとうございました。おいしく頂きました。」


深く頭を下げながら、私は自分ができるお礼を提案した。


「お礼になるかわかりませんが、今度お店にいらっしゃったときはいつものアレンジメント、サービスさせていただきますね。」


そう言うと都築さまは少し悩むかのように、手を自分の顎に置いた。


「うーん・・・『お礼』してくれるなら別のをお願いしてもいい?」

「別の・・ですか?」

「そう。」


都築さまが何をご希望されるのかわからなかったけど、普段よくお店に来ていただいてるし、私はそのご希望の内容を聞いてみることにした。


(雑貨とかもいくつか扱ってるし、なかなか手に入らないお花もツテを辿れば大抵のものは手に入るし。)


何を言われても対応できると判断した。


「なんでしょうか?」





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