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「おっ・・お待たせしました・・・・。」


この家の一番奥にあるお風呂場に行くと、もう藤沼さんはバスタオル1枚の姿になっていた。

スレンダーできれいなスタイルに、思わず見惚れてしまう私がいる。


「きれい・・・・」

「ふふ、ありがとうございます。柚香さまも脱ぎましょうか。」

「・・・『さま』!?」

「はい。組長の恋人さまでいらっしゃいますので。」


そんな呼び方なんてされたことがない私は左手と首をぶんぶんと振った。


「むっ・・無理です・・!普通に呼んでもらいたいです・・・!」

「それはちょっと・・私の立場が・・・・」

「私も無理ですぅ・・・・。」


懇願するように無理なことを伝えると、藤沼さんは少し困ったような顔をしてしまった。

それでも無理なことは無理なのだ。


「じゃあ・・・柚香さん・・で、どうでしょうか?」

「!!・・・それでお願いします・・!」


明らかに年上の方に『さん付け』で呼ばれるのもどうかと思いながらも、私は服を脱ぎ始めた。

園田さんにもらった服は脱ぎ気が楽なタイプで助かる。


「よいしょっ・・・。」

「はーい、お手伝いしまーす♡」

「ふぁ!?」


藤沼さんの手でババっと脱がされた私はあっという間に裸にされ、バスタオルを一枚巻かれた。

女同士とはいえ、見えないように必死に左手で支える。


「柚香さん、かわいい♡」

「~~~~っ。」

「さ、行きましょ。ちょっと広いので滑らないようにゆっくりでお願いしますねー。」

「へ?広い・・?」


私の左手を引きながらお風呂に通じる扉を開ける藤沼さん。

カラカラっと軽い音を鳴らす扉の向こうは・・・まるで『銭湯』かと思うようなくらい大きなお風呂があったのだ。


「!?!?」

「あはっ、驚きますよねー。普段はこのお風呂、野郎共が使ってるんですよ。」

「男の方・・・?あ、ここで生活されてる人たち・・・?」

「そうですー。今日はお湯を入れ替えたので一番風呂です♡私がいない時はお部屋のお風呂使ってくださいね?間違えて誰かが入ってきたら、その人は命を落とすことになるので・・・」


少し冷ややかな目でそう言った藤沼さんに震えを感じてると、左手をくぃっと引っ張られた。


「さ、体洗いに行きましょ。」


藤沼さんは、用意していたのかビニール袋を取り出して私の右手に巻き付けていった。

包帯が濡れないようにするためみたいだ。

そしてプラスチックの椅子のようなものの上に私は座らされた。


「私、エステサロンの店長してるんで磨くのは得意ですよー?ぴっかぴかにしましょ♡」

「そうなんですか!?」

「えぇ。手が治ったら是非遊びに聞いてくださいね。お支払いは全て園田さまに請求しますから♡」

「!?!?」


とんでもないことをさらっと言われた気がしつつも、藤沼さんは私の体を洗い始めた。

エステティシャンの手腕なんて初めての体験だからわくわくする自分がいる。


「私のお店だったらちゃんとしたベッドがあるんで施術しやすいんですけど・・・あまり期待はしないでくださいねー。」


そう言いながらもきれいに泡立てた泡を私の体に乗せていく藤沼さん。

自分じゃあんなにきれいに泡立てれないことから、私の目は輝いて仕方ない。


「すごい・・・!」

「一応『プロ』ですから♡」


謙遜する藤沼さんだったけど、このあと私はきれいに磨かれていった。

頭も洗ってもらい、体がほかほかになるまでお湯に浸からせてもらってから上がったのだった。



ーーーーー



ーーーーー



それから2週間の時間が流れた。

私の右手首の包帯は硬い包帯から柔らかい包帯に変わり、手を使ってもそんなに痛みはない。

2日に一回、藤沼さんが来てくれて一緒に喋ったりお風呂に入ったりを繰り返し、私は今日、『家事』が解禁されることになった。


「無理はしないこと。痛みを感じたらどんなに途中でも止めること。それが条件だからな?」

「はいっ!」

「はぁー・・・何もしなくていいのに・・・」


頭を抱える園田さんを他所に、私は着てる和服の袖をタスキでまくった。

せっかく素敵な和風のお家だから、和服を着させてもらってるのだ。


「掃除します!」

「はぁー・・・。ほんと無理しないように。」


この2週間で覚えた掃除道具が置いてある場所に行き、私は道具を一式取って来た。

拭き掃除はまだできそうにないことから、掃き掃除をして回っていく。


「わんっ!」

「ふふ、茶々の毛もたくさん落ちてるよー?」

「くぅーん・・・」


手伝ってくれる茶々と一緒に掃除をし、ご飯を作り、洗濯をしていく。

少し量が多くて大変だけど、この家で生活をする人の為にする家事は楽しかった。

手首がほぼ治ってからの毎日は、めまぐるしく過ぎていく。

朝に出掛ける人を見送り、茶々と一緒に掃除、洗濯。

晩御飯を作って、帰ってくる人を出迎えてと過ごしてると、私の手首はいつの間にか完治していた。

完治してからは仕事もまたできるようになり、私はお昼の空いた時間にデザインを考えるようになっていったのだった。


そして・・・



ーーーーー



「柚香、明日出かけようか。」


夜、園田さんの寝室に呼ばれた私はベッドの上で背中側から抱きしめられながらそんなことを言われた。


「お出掛け・・ですか?」

「うん。仕事も落ち着いたし、ちょっと見せたいものがあるんだ。」

「?」


そう言って園田さんは私の頭を撫でていた。

ぎゅっと抱きしめたり、キスをすることはよくあるものの、まだ・・・一線は超えてないのだ。


(健太はすぐだったけど・・・・)


付き合い始めて1週間ほどで私は健太に抱かれた。

どれくらいの期間を経てそういうことをするのが正解なのかはわからなかったけど、健太が『こういうのは相性があるから、確かめるためにもすぐがいいんだ』と言ったのがきっかけだったのだ。


(園田さんは違うのかな。)


今度藤沼さんに相談してみようと思いながらじっとしてると、園田さんは私の顎を持った。

くぃっと真上を向かされ、途端に唇を塞がれてしまう。


「んぅ・・・っ。」

「柚香、おいで?」


ちゅっと一瞬重なった唇はすぐに離れ、今度は向かい合う形で抱っこされた。

この後は顔中にキスされるのがお決まりだ。


「柚香、好きだよ。」


おでこや頬、首に耳と何度もキスを繰り返していくのを受けながら、時々口にされるキスは応えていく。


「・・・。」

「?・・・どした?柚香。考え事?」

「あ・・・別に・・・」


私の考え事は見透かされてることが多い。

こんなこと、バレたくはないけど・・・気にもなってしまうのだ。


「これ以上先が気になるんだろ?」

「---っ!!・・・なんでわかるんですか・・・。」

「そりゃずっと襲わないでいるんだからわかるよ。」


その言葉を聞いて私は疑問に思った。

健太と真逆の言葉だからだ。


「どうして・・?」

「どうしてって・・・柚香が大事だから。」

「大事だと・・・シないんですか?」


疑問に思ったことを聞くと、園田さんは私の両頬をそっと包んだ。


「『抱く』ってことは少なからず妊娠する可能性が出てくる。それは柚香の体に負担をかけるものなのは分かるな?」

「わかります・・・。」

「だからそうなってもいい準備ができてからのほうがいいんだよ。」

「・・・。」


確かにそうだった。

健太と同棲し始めてからずっと抱かれ続けてきたけど、不思議と妊娠することは無かった。

それはたぶん、私の体に原因があったからだろう。


(食費とかもらえなくなって、ご飯を食べれなくなったくらいから生理が止まってるんだよね・・・。)


精神的なことも大きかったかもしれない。

でも健太は私の体のことを考えてくれたことなんて、一度も無かったのだ。


「・・・ま、俺は柚香が妊娠しても大丈夫なんだけど。」

「え?」

「その・・妊娠がどうとかより、柚香を抱きつぶさないかが心配で・・・だから自重してるつもり・・。」

「!?」

「経済的には心配ないし、柚香のこと一生離さないから・・・」


そう言うと園田さんは私の体をゆっくりベッドに倒していった。


「ギリギリまで耐えるつもりだったけど・・・柚香のこと、もっと愛したい。」


そう言うなり唇を重ねてきた園田さん。

くちゅくちゅと口の中を弄られ、だんだん息が荒くなっていく。


「んぅっ・・・んっ・・・!」

「和服、気に入ったんだな。」


今日ももちろん和服を着ていた私。

園田さんは着物の上から私の体を触り始めた。


「あっ・・・園田さ・・・!」

「『圭一』。いつになったら名前で呼ぶの。」


撫でるように全身を触る園田さんの手に、自然と体が動いてしまう。

肩から腕、腰、太ももと、上から順番に撫でていく手はそのあと、這うようにして上半身に帰ってくる。

その手は着物の生地が合わさったところから滑り込んできたのだ。


「待っ・・・・!

「ほら、口は俺とキス。」

「んんぅっ・・・!?」


口の奥にある私の弱いところを攻められ、体がびくつき始める。

それに加えて胸も触られてしまい、手に力が入らなくなっていく。


「必死に息しちゃって・・・かわいいな。」

「はぁっ・・はぁっ・・・」


よしよしと頭を撫でながらも胸を触ることをやめない園田さん。

先端を指で刺激され、甘く痺れていく。


「『舐めてくれ』って言ってるみたいだ。」


いつの間にか着物をはだけさせられていて丸見えになっていた私の胸。

まるで見せつけるかのように、園田さんは私の胸をぱくっと食べた。


「あぁぁっ・・・!」

「もうコリコリだな。」

「言わない・・でっ・・・!あっ・・!」


舌で転がされる度に甘い痺れがお腹に溜まっていく。


「おいで。」


園田さんにひょいと起こされ、私はまた彼の膝の上に座らされた。

はだけた着物は両肩からずり落ち、園田さんの顔の前に私の胸が露わになってる。


「きれいだ。」


そう言って園田さんは私の背中を指1本でなぞり始めた。


「んぅ・・・!」

「ほら、キスして?」


行き場のない痺れを逃がしたくて、私は唇を重ねにいった。

ちゅくちゅくと舌を絡めてると、背中の刺激に加えて胸の刺激も感じ始めていた。

両手が空いてるからか、触るのが激しくなっていく。


「やぁっ・・・!」

「ほら、ちゃんとキスして?」

「んんぅ・・・!?んっ・・!」

「いい子だな。」


深く舌を絡めても溜まっていく甘い痺れは、だんだんと自分じゃもてあますようになっていく。

どうにかなってしまいそうになるくらい溜まってしまったところで、私は唇を離した。


「はぁっ・・!はぁっ・・!」

「辛そうだな。ほら・・・」


ぎゅっと抱きしめるようにして私の後頭部を引き寄せた園田さん。

私の顔は彼の肩に乗せられてしまった。

そしてもう反対の手が私の下半身に伸びていき、下着の中に入ってしまったのだ。


「!?あぅ・・・・っ!」

「ちゃんと濡れてるな。・・・一回外イキする?」

「外イキって・・・・?」


言葉の意味が分からずに聞こうとしたとき、園田さんの指が私の敏感なところに触れたのだ。


「あぁっ!?」





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