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バレてる・・・!?
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ーーーーー
三橋さんと近衛さんにチョコを預けて一週間の時間が流れたあと、私はまた交番を訪ねて行った。
前と同じように仕事を早く切り上げて、電気のついてる交番の扉を開ける。
「すみませーん・・・来間ですー・・。」
そう言って中に入るものの、前回と同じで誰もいない。
少しの時間が経ってから、またバタバタと走って来る音が聞こえてきて奥の扉が開いたのだ。
「お待たせしましたー・・・って、あぁ、来間さん?三橋呼ぶからちょっと待ってて?」
「はいっ。」
もう食べてくれたことがわかる言葉に、胸がどきどきしてしまう。
あれから考えた店頭販売は、値段はそのままでノベルティをつけることにしたのだ。
ネット販売では存在しないフレーバーのチョコをノベルティでつけ、そのことを告知する。
『限定』という言葉に弱い人がもしかしたら買いに来てくれるかもしれないと思ったのだ。
(どの味が一番評価が高かったのかな。)
個人的には色味の違うホワイトがいいかなと思っていた。
白いクマの形をしたチョコは見た目もかわいい。
「あぁ、来間さん、いらっしゃい。この前のチョコの感想だよね?娘から手紙を預かってるよ。」
そう言って三橋さんはかわいい便箋を私に渡してくれた。
「ありがとうございますっ。」
家に帰ってからゆっくり読ませていただこうと思ってポケットに入れると、三橋さんは近衛さんの背中をドンっと押して私の前に押しやってきたのだ。
「ほら、近衛くんも感想言わないと。」
そう言われた近衛さんは、後ろ手に頭を掻きながら一つ咳ばらいをした。
「えーと・・・・・・・どれも美味かった・・です。」
結構な小声だったことで聞き取れなかった私は、耳を近づけるようにして聞き返した。
「え??」
「~~~~っ。全部美味かったよ!苦みがあるやつは口の中が甘ったるくならないし、白いのは疲れた時にちょうどいい甘さだった!いちごは香りがよかったし!」
半分キレるようにして感想を言ってくれた近衛さん。
全部が美味しかったと言ってもらえ、私の頬は緩んでいってしまう。
「・・・ふふっ。ありがとうございますっ。」
「~~~~っ。」
そんな照れてる近衛さんを押しのけるようにして三橋さんが顔を出した。
「僕からは意見を言っていいかな?」
「!!・・・はいっ。」
「ノベルティ用って言ってたけど、もう少し大きさって変えれたりする?ちょっと大きすぎて勿体ない気がしたんだけど・・・。」
「『勿体ない』ですか?」
「うん。ちょっと小さいくらいが特別感がでないかな?商品と同じ大きさだったら『そのうち出るかも?』とか思っちゃうかもしれないし?」
「!!」
確かにその通りだった。
同じ大きさのチョコだったら商品化が待たれるかもしれない。
あくまでも『ノベルティ』としての価値を上げるのなら、大きさを小さくするのも手なのだ。
「勉強になります・・・!」
「ははっ、がんばってね。娘からの手紙はまぁ・・・ちょっと独特かもしれないから、意味がわからなかったら聞きに来てね。」
「?・・・わかりました・・・?」
娘さんからの感想を楽しみにしながら、私は交番を後にした。
何度もお礼を言って頭を下げ、嬉しい気持ちを抱きながら帰路につく。
「娘さんからのお手紙、楽しみだなー・・・。」
ーーーーー
凜華が笑顔で帰路についたころ、交番では俺、近衛が三橋にいじられていた。
「かーわいいねぇ、来間さん?」
「~~~~っ。」
「さっきの笑顔で落ちたんじゃないー?一体いつからかなー?一生懸命な姿、好物だよねー?近衛くんー?」
熱くなった顔が冷める気配がなく、制服の胸のあたりをつまんでパタパタと冷たい空気を送ってみる。
「・・・。」
毎日仕事場に向かう真面目な彼女が気になり始めたのは、最初に出会ってからだ。
最初こそはその小ささと幼顔に、本当に未成年だと思っていた。
その小さい体に見合わないくらいの量の仕事を一人でしてることに驚き、一生懸命な姿に・・・惹かれていったのだ。
「・・・勘弁してください、三橋さん。」
「えー?こんなに楽しいこと、放ってはおけないでしょう?」
「~~~~っ。」
身分証明をお願いした時から知っていた『自営』の仕事。
ショコラティエだとは思ってなかったけど、チョコレートの味から自分の仕事に誇りを持ってることが垣間見えた。
繊細な味に驚いたものだ。
「じゃあ今度私用で会ったときにデートに誘うってのはどうかな?」
「・・・は!?」
「当たって砕けろってね。」
「それ・・砕けちゃダメなんじゃ・・・・」
「ははっ。よし、仕事しようか!」
よくわからない助言をいただき、俺の頭の中はパニック寸前だ。
デートに誘うとか・・・そんな段階までたどり着いてすらいないのだから。
「はー・・・・。」
どうしたものかと思いながら、俺は事務仕事を片付けに向かったのだった。
三橋さんと近衛さんにチョコを預けて一週間の時間が流れたあと、私はまた交番を訪ねて行った。
前と同じように仕事を早く切り上げて、電気のついてる交番の扉を開ける。
「すみませーん・・・来間ですー・・。」
そう言って中に入るものの、前回と同じで誰もいない。
少しの時間が経ってから、またバタバタと走って来る音が聞こえてきて奥の扉が開いたのだ。
「お待たせしましたー・・・って、あぁ、来間さん?三橋呼ぶからちょっと待ってて?」
「はいっ。」
もう食べてくれたことがわかる言葉に、胸がどきどきしてしまう。
あれから考えた店頭販売は、値段はそのままでノベルティをつけることにしたのだ。
ネット販売では存在しないフレーバーのチョコをノベルティでつけ、そのことを告知する。
『限定』という言葉に弱い人がもしかしたら買いに来てくれるかもしれないと思ったのだ。
(どの味が一番評価が高かったのかな。)
個人的には色味の違うホワイトがいいかなと思っていた。
白いクマの形をしたチョコは見た目もかわいい。
「あぁ、来間さん、いらっしゃい。この前のチョコの感想だよね?娘から手紙を預かってるよ。」
そう言って三橋さんはかわいい便箋を私に渡してくれた。
「ありがとうございますっ。」
家に帰ってからゆっくり読ませていただこうと思ってポケットに入れると、三橋さんは近衛さんの背中をドンっと押して私の前に押しやってきたのだ。
「ほら、近衛くんも感想言わないと。」
そう言われた近衛さんは、後ろ手に頭を掻きながら一つ咳ばらいをした。
「えーと・・・・・・・どれも美味かった・・です。」
結構な小声だったことで聞き取れなかった私は、耳を近づけるようにして聞き返した。
「え??」
「~~~~っ。全部美味かったよ!苦みがあるやつは口の中が甘ったるくならないし、白いのは疲れた時にちょうどいい甘さだった!いちごは香りがよかったし!」
半分キレるようにして感想を言ってくれた近衛さん。
全部が美味しかったと言ってもらえ、私の頬は緩んでいってしまう。
「・・・ふふっ。ありがとうございますっ。」
「~~~~っ。」
そんな照れてる近衛さんを押しのけるようにして三橋さんが顔を出した。
「僕からは意見を言っていいかな?」
「!!・・・はいっ。」
「ノベルティ用って言ってたけど、もう少し大きさって変えれたりする?ちょっと大きすぎて勿体ない気がしたんだけど・・・。」
「『勿体ない』ですか?」
「うん。ちょっと小さいくらいが特別感がでないかな?商品と同じ大きさだったら『そのうち出るかも?』とか思っちゃうかもしれないし?」
「!!」
確かにその通りだった。
同じ大きさのチョコだったら商品化が待たれるかもしれない。
あくまでも『ノベルティ』としての価値を上げるのなら、大きさを小さくするのも手なのだ。
「勉強になります・・・!」
「ははっ、がんばってね。娘からの手紙はまぁ・・・ちょっと独特かもしれないから、意味がわからなかったら聞きに来てね。」
「?・・・わかりました・・・?」
娘さんからの感想を楽しみにしながら、私は交番を後にした。
何度もお礼を言って頭を下げ、嬉しい気持ちを抱きながら帰路につく。
「娘さんからのお手紙、楽しみだなー・・・。」
ーーーーー
凜華が笑顔で帰路についたころ、交番では俺、近衛が三橋にいじられていた。
「かーわいいねぇ、来間さん?」
「~~~~っ。」
「さっきの笑顔で落ちたんじゃないー?一体いつからかなー?一生懸命な姿、好物だよねー?近衛くんー?」
熱くなった顔が冷める気配がなく、制服の胸のあたりをつまんでパタパタと冷たい空気を送ってみる。
「・・・。」
毎日仕事場に向かう真面目な彼女が気になり始めたのは、最初に出会ってからだ。
最初こそはその小ささと幼顔に、本当に未成年だと思っていた。
その小さい体に見合わないくらいの量の仕事を一人でしてることに驚き、一生懸命な姿に・・・惹かれていったのだ。
「・・・勘弁してください、三橋さん。」
「えー?こんなに楽しいこと、放ってはおけないでしょう?」
「~~~~っ。」
身分証明をお願いした時から知っていた『自営』の仕事。
ショコラティエだとは思ってなかったけど、チョコレートの味から自分の仕事に誇りを持ってることが垣間見えた。
繊細な味に驚いたものだ。
「じゃあ今度私用で会ったときにデートに誘うってのはどうかな?」
「・・・は!?」
「当たって砕けろってね。」
「それ・・砕けちゃダメなんじゃ・・・・」
「ははっ。よし、仕事しようか!」
よくわからない助言をいただき、俺の頭の中はパニック寸前だ。
デートに誘うとか・・・そんな段階までたどり着いてすらいないのだから。
「はー・・・・。」
どうしたものかと思いながら、俺は事務仕事を片付けに向かったのだった。
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