溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

文字の大きさ
上 下
32 / 34

病院。

しおりを挟む
ーーーーー


空港についたあと、病院まで連れてきてもらった私はすぐに診察をしてもらえることになった。

大和さんの息がかかってる病院なことと、佐伯さんがきっちり予約をしてくれていたことでスムーズに診察が進んでいく。


「『高酸素療法』・・・ですか?」


いろいろな検査を経てお医者さんから提案された治療法。

聞いたことも無い治療法に、私は首を傾げた。


「桜庭さんは低酸素の後遺症で視力が低下してしまったものと思われます。2年という長い時間が経過してしまってるので他の治療法は期待できそうにないのです。」


残念そうに言うお医者さんの言葉に、私に後悔の念が押し寄せてきていた。

あの時、ちゃんと治療してればこんなことにならなかったかもしれないのだ。


「これも効果が期待できるかどうかはわからないのですが・・改善を望まれるのであれば・・・ですね。」

「・・・。」

「最大で30回ほどで1回90分くらいです。効果が早くに出れば10回ほどで終わる可能性もあります。」

「ちなみに費用とかは・・・・」

「大体・・・1回1万円超えるくらいですかね。決して安い金額ではないので・・・よくお考え下さい。」

「1万円・・・・」

「受ける場合は看護師にお声がけください。お大事に。」

「ありがとうございました・・・。」


診察と説明が終わり、私は診察室を出た。

廊下で大和さんが壁にもたれかかりながら立っていて、私が診察室を出たと同時に声をかけてくれた。


「桃、どうだった?」

「あー・・・改善は期待できそうにないんだけど・・・」


私はさっきお医者さんに言われたことを大和さんに説明することにした。

大和さんは近くにあった待合椅子に私を座らせてくれ、ゆっくり話を聞いてくれていた。


「・・・つまり、視力を回復させようと思ったらその高酸素療法しか手立てはないってことか。」

「それもちゃんと回復するかわからないんだけど・・・」


最大で30万円ちょっとかかる治療費用。

簡単に『する』とは言えない金額だけど、少しでも回復する可能性があるならしたいとも思ってしまう。


(数回だけ受けて考えるのもアリ・・・なのかな・・・。)


数万で済ませられるならそれに越したことはない。

効果が出るなら継続すればいい。

そう私の考えがまとまりつつあったとき、大和さんが口を開いた。


「なら最大回数受けよう。」

「えっ・・・」

「手術で治るなら手術も・・・って思ってたけど、治療法がそれしかないならそれにかけるべきだと思う。桃がどうしても嫌なら他の治療法を探してもらうけど・・・」


確かに治療法はそれしかないと言われていた。

治るかもしれないなら『軽く』じゃなくて『とことん』のほうが・・・後悔はない。


「・・・する。」

「お?」

「できることは全部する。もう後悔するような選択はしない。」


大和さんを見ながらそう伝えると、大和さんは私の頭をぽんぽんっと撫でてくれた。


「うん。いい目をしてる。じゃあ手続きして帰ろうか。」


大和さんは私の代わりに手続きをしてくれ、明日から治療を受けれるようにしてくれた。

帰る家がこっちにはない私は、大和さんと一緒に大和さんの家に向かうことに・・・。


「そういえば大和さんの家・・・知らないような?」


慎太郎に襲われたときから大和さんが用意してくれたホテルで生活をしていた私は、大和さんの家を知らなかったのだ。


「あぁ、そっか。普通のマンションだよ?」

「『普通のマンション』・・・。」


大和さんの『普通』は普通じゃないことをもう何度も経験してる私はあまり信用しないことにした。

大好きな人のことを信用しないのはダメなような気もするけど、もう大和さんは前科何犯もあるから仕方ない。


「30分くらいで着くよ。着いたら家の中、案内するね?」

「う・・うん・・・」


大和さんに連れられて車に乗り、私は初めての場所である大和さんの家に向かうのだった。




ーーーーー



(・・・やっぱり大きかった。)


大和さんが一人暮らしをしてるマンションについた私だったけど、大和さんの部屋はマンションの一室ではなくて最上階すべてを一部屋に作り替えたペントハウスだったのだ。


「大和さん・・・マンションの最上階すべてが自分の家って・・・普通じゃないですからね?」


そう伝えると大和さんは笑いながら話し始めた。


「ははっ。いや、これには訳があるんだよ。」

「訳?」


玄関を開けてくれ、私の背中がそっと押される。

家の中に足を踏み入れながら、大和さんはその『訳』を教えてくれた。


「このマンション、うちが保有してるマンションなんだけどさ、建築してくれた会社の社長さんが『ペントハウスは夢があるんだ!!』とか言い出して作っちゃって。」

「夢・・・」

「でもこんな広い間取りのマンションなんて買う奴いなくてさ、結局売れ残ったから俺が買ったってわけ。最初はゲストルームかレンタルルームとして貸し出そうかと思ってたんだけど管理が大変ってことになって諦めたんだよ。」


貸し出すとなればそのあとクリーニング費用もかかってくるらしく、面倒くさいから買ったのだと大和さんは教えてくれた。

買えること自体がすごい。


「え、ちなみに間取りは・・・・」

「5LLDDk」

「リビングとダイニングが二つ・・・!?」

「二つ目は使ってないから掃除くらいしかしてなくて・・・部屋も四つ余ってる。桃、部屋使う?それとも俺と一緒の部屋使う?」


そう言いながら足を踏み入れたのはリビングだった。

目がよくみえない私でもわかるくらい広い空間が広がってる。


「ふぁ・・・・!」

「まぁ、ちょっと見えるようになるまでは俺と一緒の部屋の方がいいかな?何かあったらすぐにわかるし。」


この広い空間をもっとハッキリ見てみたい私は、明日からの病院が楽しみになっていった。

それと同時に大和さんがたった一人でこの広い空間で暮らして来たことの気づいてしまった。


「・・・一人でここで暮らすのって・・寂しかったりしないの?」

「!!・・・桃に出会う前はそんなこと思いもしなかったよ?仕事仕事で忙しかったし。」

「私に出会ってからは・・?」

「桃に出会ってからは・・・ここに桃がいたらいいのになって思ってた。」


大和さんは広い空間にあったソファーに腰かけ、私の手を引っ張って膝の上に座らせた。

ぎゅっと抱きしめられながら、大和さんの昔話を聞いていく。


「桃はハッキリ見えないかもしれないけど、ここからキッチンが見えるんだよ。」

「キッチン?」

「あっちにあるんだけどね。ここに座りながら、桃がキッチンに立ってるのを見れたらいいのにって何度も思った。」


大和さんが仕事から帰ってきた後、そんな妄想をしながらこのソファーで眠っていたらしい。

私が料理をする人間だったら、キッチンに立ってる私を見ながら幸せを感じたかったのだと。

もし私が料理ができない人間だったら一緒にキッチンに立つか、このソファーでゆったりした時間を過ごすのもいいと思っていたそうだ。


「・・・料理はできるけど・・・。」

「だと思った。桜庭店長が作るサンドイッチ、めちゃくちゃおいしいから。」


店内で手作りしていたサンドイッチはフードの中でも人気のものだった。

大和さんも何回か買っていったことがある。


「じゃあ今度、目が良くなって見えるようになったら・・・いっぱい作ってもいい?・・・大和さんの家のキッチンで。」


ご所望とあらば応えたいと思うのが恋心。

好きな人が望むことならなんでもしてあげたいのだ。


(あ・・大和さんが私にしてくれるのってこういうこと・・・?)


大和さんは大和さんのできる範囲で私にいろいろしてくれてる。

私は私のできる範囲でいろいろしたい。

お互いにできる内容が違うけど、好きな人の為ならしてあげたいのだ。


「楽しみにしてていい?」


私の頬にキスをしながら聞いてくる大和さん。

ここで『うんっ』と答えたらきっと・・・

だけど答えないなんて選択肢、私には無かった。


「うんっ、もちろんっ!」

「!!・・・あー・・桃、大好き。」


顔中に落とされていくキスはいつの間にか深くて長いものになっていき、私は服を脱がされていった。

もう大和さんのことしか考えられず、大和さんの全身に愛されていく。


「あぁっ・・・!んぅっ・・・!」

「もうほんとかわいい。明日、酸素カプセルの中で寝たらいいから今日は抱きつくしていいよね?ね?」

「へっ・・!?やっ・・・!あぁぁっ!?」





ーーーーー



ーーーー



ーーー




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

義兄の執愛

真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。 教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。 悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。

処理中です...