溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

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大和の隠し事。

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ーーーーー



翌日、朝10時前にメインホテルに行くと、ホテルのエントランスで大和さんが声をかけてきてくれた。

腕を掴ませてもらいながら大和さんの案内で車に乗り込んでいく。


「お久しぶりです!桜庭さん!」

「その声は・・・佐伯さん?」

「そうです!」


車に乗るなり声をかけてくれた佐伯さん。

相変わらず元気そうだ。


「病院の手配は終わってるので、戻ったらすぐに行きましょうね。」

「ありがとうございます。」

「・・・大変でしたね。」

「・・・まぁ、もうだいぶ慣れてたんで・・・」


最初はぼやけて見えていた視界だったけど、だんだん悪くなっていって今の視界になってしまった。

病院に行ってれば・・・と思ったこともあったけど、全ては自分のせいだとしてこのままでいることに決めたのだった。


「脳神経と目に強い病院を手配してます。きっと良くなりますよ。」

「・・・だといいんですが・・。」


大和さんの側にいるのなら目は見えたほうがいい。

迷惑もかからないし、できることも増える。

ホテルの支配人も接客できる人材を求めてるし、治療は何でもする心づもりはできていた。


「すぐ空港つきますからねー。」


少しの時間走った車はだんだんとスピードを落としていく。

いくつま曲道を曲がったあと止まり、車のドアが開かれた。


「桃、手。」

「ありがとう。」


差し出された大和さんの手を取り、車から降りると目の前に大きな白い塊が見えた。

どうも飛行機の目の前まで車で行ったようだ。


「タラップは上がれる?」

「手すりがあれば助かるけど・・・え・・搭乗の手続きとかは・・・?」


飛行機に乗るためには搭乗の手続きをし、荷物を預けてセキュリティチェックを受けないといけないという記憶が私の中にあった。

でも今からタラップを上がるのなら、手続きはしないことになるのだ。


「あぁ、プライベートジェットだから。手続きは佐伯が全部やってくれてる。」

「ぷ・・プライベートジェット・・・」


もう大和さんのことに驚かないでいようと思いながら、私はタラップを上がっていった。

足元に気をつけながら飛行機の中に入り、案内されるがままついて行って席に座る。

大きいソファーのような椅子に、手触りで高級感を感じてる。


「ちゃんと見えてたらきっとすごいんだろうなぁ・・・。」


そんなことを呟くと、大和さんが私のシートベルトを締めてくれた。


「目が良くなったら旅行とか行く?あー・・でも桃の仕事が忙しくなるかな?」

「どうかな・・・。」

「まぁ、休みくらいあるだろうし、調整していつか行こうよ。この飛行機用意するから。」

「あはは・・・・」


再会してから上機嫌すぎる大和さんに若干怖さを覚えてるうちに飛行機は飛び立ち、私は島に少しの別れを告げた。

外の景色が分からない私はじっと前を向いていたけど、大和さんと佐伯さんは仕事の話をしてるのか難しい会話を繰り返していて、その会話を聞いてるうちにだんだん瞼が重くなってくる。


「ふぁ・・・」

「桃?眠い?あと1時間くらいはかかるから寝とく?」

「だいじょーぶ・・・起きてる・・・」


そう答えたものの、重たい瞼に逆らうことができず、私は次第に船を漕ぎ始めた。

眠たいのと起きていたのがせめぎ合い、体がゆらゆらと揺れていく。


「桃、ほらおいで。」


見かねた大和さんがぐぃっと私の体を引き寄せてくれ、私の頭が大和さんの腕で固定された。

その瞬間に私は眠りに落ちてしまい、大和さんと佐伯さんの声がどんどん遠くになっていったのだった。




ーーーーー



「ん・・・・・」


ふと目を覚ますと、席のリクライニングが倒されていて私の体にブランケットがかけられていた。

どれくらいの時間寝ていたのか知るためにゆっくり体を起こしたとき、佐伯さんの声が聞こえてきた。


「あ、起きました?あと10分ほどで着くのでそろそろ起こそうかと思ってたんですよ。」

「10分・・・」

「はい。結城は今、トイレです。『戻ってきたら起こす』と言ってたんですが・・・結城の楽しみが無くなってしまいましたね。」


そう笑いながら言う佐伯さん。

私はかけてもらっていたブランケットを畳みながら、佐伯さんに聞きたいことを思い出した。


「あの、ちょっと聞きたいことあるんですけどいいですか?」

「はい、何でしょう?」

「大和さん、優しい話し方する人だと思うんですけど、この前・・・口調が変わったんです。まぁ、私が怒られてた時なんですけど・・・もしかして私と話す時だけ優しい口調になってるのかなー・・って思っちゃって・・。」


この話に加えて私は2年前のことも佐伯さんに話した。

記憶の隅にある『私の知ってる大和さん』じゃないような口調を聞いたような気がすることを。


「あー・・・。」

「何か知ってるんですか?」

「うーん・・・まぁ、結城は隠し通すって言ってたんで・・・ガチでナイショですからね?」

「?」

「実は・・・・」


佐伯さんが話そうとしてくれた時、佐伯さんの言葉が止まった。

どうして話してくれないのかと思ったとき、大和さんの声が聞こえてきたのだ。


「さーえーきー?何を話そうとしてるんだ?」

「!!・・・しゃ・・社長・・・!!」

「お前、ここでパラシュート背負って降りるつもりか?」

「いっ・・いえっ・・・!でも桜庭さん、覚えてますよ!?隠し通せれてないですっ!伝えてもいいんじゃないですか!?」


二人の会話を聞いて、大和さんが何かを隠してることが確かなことになった。

言いたくないなら聞かなくてもいいけど、気になるのは事実だ。


「大和さん・・・?」


私が口を開くと、大和さんは深いため息をついて私の隣に座った。


「はぁー・・・。嫌われたくないから言いたくないんだけど・・・。」

「!!・・・ふふっ、こんなに好きなのに今更嫌いになんてならないよ?大和さんの全部を知りたいな・・・?」


手を伸ばして大和さんの手に触れると、大和さんは少し黙り込んでしまった。

きっと話してくれると信じてる私は、大和さんが口を開くのを待つ。


「社長、そろそろ着陸しますよ。」

「わかってる。」


佐伯さんがそう言った時、飛行機が降下していくのを感じた。

もう着くようだ。


「・・・ちょっとマシな言い方をすると、昔、やんちゃしてたんだよ。」

「やんちゃ?」

「そう。まぁ・・・ちょっと大きな組織の一部にいて・・・起業した会社が軌道に乗る時に抜けたんだよ。今はまぁ・・・あんまり関りがない・・かな?」

「えぇぇ・・・なんだか曖昧な部分が多い・・・」


よくわからない話を聞いてしまったと思ってると、佐伯さんがため息をつきながら話し始めた。


「はぁー・・・社長はヤクザだったんですよ。」

「へっ!?」

「起業した時にバックにヤクザがいるってなったら都合がいい時と悪い時に分かれるんで組を抜けたんです。若頭がまぁ、いい人だったんで傷一つなく抜けれたんですよ。」

「!?!?」

「九条組って聞いたことありません?」

「その名前は知ってますけど・・・まさか・・・」

「その組でナンバー2でした。」


驚きすぎて何も言えない私は、そっと大和さんを見た。

私の目じゃどんな表情をしてるのかわからないけど、きっと気まずい顔をしてそうだ。


「前に『結城に頼めばあの男に二度と会わなくて済む』とお話したことありましたよね?」

「あ、はい。覚えてます。」

「あれはそう言う意味です。人を一人消すなんてこと、この人は造作もなくやります。意味のない人消しはしないですけど、桜庭さんの為なら容赦なく消したでしょうね。」

「わー・・・。」


想像以上の話だった私は、なんて答えたらいいかわからなかった。

私の望みを叶えようとしてくれる大和さんは、私のことが大事でたまらないみたいだ。


(でもなんでも聞いてくれるわけじゃないんだよね・・・。)


私のことを思って怒ってもくれる。

本当に大切にしたいと思う相手じゃないと、怒ってはくれないだろう。


「・・・引いた?」

「え?」

「桃の前では『いい人』でいたかったんだよ。やんちゃしてたなんて・・・桃に引かれると思って・・・」


誰しも隠したいことくらいはある。

私だって慎太郎にされたことは大和さんに一生隠していたいことだったけど、それを全て受け入れてくれたことが私に安心感を与えてくれた。

この人なら大丈夫だと。


「ううん?大和さんのことが知れて嬉しいよ?」

「・・・本当に?」

「もちろん。」


大和さんにどんな背景があったとしても、それらが今の大和さんを作り上げてくれてる。

受け入れこそすれど、否定なんてできるようなことじゃないのだ。


「・・・あ、大和さんに聞きたいことがあるんだけどいい?」

「なに?」

「もし私が『慎太郎と二度と会いたくないの!』って言ってたら・・・どうしたの?」


そう聞くと大和さんは少し低めの声で答えてくれた。


「溶鉱炉に沈めてくるよ?」

「!?」

「海に沈めたら何かしら上がってくるから・・・溶鉱炉が一番いいし。」

「あー・・・そ・・そうなんだ・・・」


しれっと恐ろしいことを口にした大和さん。

聞かなかったことにしようと思ったとき、飛行機は滑走路に着陸した。

また手すりに頼りながらタラップを降りていく。


「降りたら少し歩くよ?空港の外に車を用意させてるから、それで病院に向かおう。」

「うん、ありがとう。」


大和さんの手を頼りに歩いて行き、私はどきどきしながら車に乗せてもらったのだった。


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